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四章
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「二階堂の言うとおり、人間ならそんなの当たり前だ。だからエイミィも、まさにそれをしたのだと俺は推測している。さあ二階堂、思い出してくれ。俺達が紫柳子さんに続いてガレージに足を踏み入れた時、エイミィはどんな行動をした?」
記憶を呼び戻すべく、二階堂はAICAの天井を見上げた。それに釣られ僕も、自分が茹蛸状態であることを忘れて天井を見あげる。そう、たしか・・・
「ガレージに見知らぬ3D美少女がいて驚いたからよく覚えている。紫柳子さんがガレージに入った時、エイミィはこちらを向いて立っていた。そして紫柳子さんが猫将軍に話しかけるより早く、恭しく一礼し消えていった。うん、そのとき俺は『急に消えた』という印象を持ったのを覚えているよ」
同意し盛んに首を縦に振る僕へ、北斗が顔を向ける。
「エイミィと会話しその個性を感じたであろう眠留は、どんな印象を持った?」
「会話中ずっと、エイミィは控えめな落ち着いた子だった。だから僕も二階堂と同じで、急に消えてしまったという印象を持ったよ」
答え終えてから気づく。北斗はきっと、僕が自然に返答できるタイミングを見計い、僕に問いかけてくれたのだ。こいつはホント、優しいヤツだよなあ。
「うむ、俺も二人と同意見だ。あの時のエイミィには、性急な印象が付きまとう。然るに、こう考えてみよう。エイミィは事実、焦っていた。では一体、何を焦っていたのか?」
僕は首を捻るだけだったが、二階堂は即答に近いスピードで答えた。う~むさすがは、人情の機微に敏感な、我らが愛すべきムードメーカーなのである。
「なるほどそうか、エイミィは恐れていたんだ。絶対従わなければならない紫柳子さんから『通常業務に戻りなさい』と命令されるのを、エイミィは恐れていた。なぜならそう命令されたら、いつもの業務に自分の全能力を使わなければならなくなるから、猫将軍を想い続けられなくなる。だからエイミィはその命令が下される前に!」
先を引き継ぐよう二階堂は僕に顔をむけた。でも僕は二階堂の気持ちに応えられず、黙って天井を見上げた。エイミィは皆がガレージに現れる直前、「私はいつもあなたを想っています」と言った。あれは、空虚な演算結果ではなかった。社交辞令でもなかった。エイミィはあの瞬間、真にそう想い、それを実行に移してくれていたのである。溢れ出てきた涙の粒を零れさせぬよう、僕は天井を見あげたまま話を引き継いだ。
「エイミィは命令を受ける前に、自分から姿を消した。別れの挨拶の場面で自分が呼び出された時、僕の呼びかけに直接応えたかったエイミィは、ガレージに自分の一部を残して自分から・・・・」
施した工夫はここで破綻した。たとえ上を向いていようと、溢れる涙をとどめ置くことなどできなかったのである。僕はそれから暫く、ハンカチを顔に押し当て続けた。するとその一事のみが場を占拠せぬよう、
「これから話すのは推測に推測を重ねたことでしかないから、あまり粗を探さないでくれよ」
北斗はそう前置きし、自分の考えを僕らに話してくれた。
――紫柳子さんはエイミィに質の高い接客をさせるため、エイミィの能力の大部分を接客へ振り分け、セキュリティ等は店舗のメインAIに担当させていた。よってエイミィが恭しく一礼しガレージから消えた際、エイミィはいつもどおり接客業務に戻ったのだと判断した紫柳子さんは、「営業エリアでの通常業務に戻りなさい」という絶対命令を下さなかった。それが功を奏し、こんな内容の申請をメインAIへ出すチャンスがエイミィに生じた。「私にエイミィという固有名を付けたお客様がエイミィという名で私を呼び出したなら、私はそのお客様を接客しなければならない。故にそのお客様の要望を叶えるべく、私の機能の一部をガレージに待機させたい」 メインAIはそれを是とし、エイミィに機能の一部を残すことを認めたので、エイミィは眠留の呼びかけに応じガレージに再度現れることができた。しかし所有者である紫柳子さんがそれを糾弾したら、エイミィは良くて再プログラミング、悪くて破棄という、かなり危険な立場に置かれてしまう。よって紫柳子さんは「私を親戚の姉と思ってくれると嬉しい」と明示することにより、エイミィは家族に準ずる者の命令に従っただけという事にしたのだろう――
みたいな感じのことを北斗は淡々と、至極普通の事として話してくれた。僕と二階堂は粗探しをするどころか「コイツの頭の中は一体どうなっているのだろう」と、間抜け面を大いに晒しそれに耳を傾けていた。しかし最後の部分が語られるなり、AICAの窓に映る変化のない寂しげな地下道ばかりを見ていたことが災いし、僕らは哀しくてたまらなくなってしまう。右隣の二階堂が、グスンと鼻をすすった。
「紫柳子さんが自分を親戚の姉と言ったのは、そういう理由だったんだな。エイミィのためを思ってしたことだから優しい行為だと思うが、やっぱ堪えるなあ」
うん、堪えるよねえ。と僕も二階堂と一緒に鼻をすすった。しかし北斗は、
「まったくお前らは、こんなことまで俺に言わせようとするな」
と恨めしげな声を漏らした。僕と二階堂は何が何やらさっぱりわからず、間抜け面を再び一緒にさらす。すると北斗は大きなため息を一つ付き、赤らめた顔を窓の外へ向け渋々言った。
「俺は心の中で紫柳子さんのことを、ずっとお姉さんと呼んでいた。だから紫柳子さんに話しかける時は、お姉さんと口走ってしまわぬよう、何度もイメトレしてから紫柳子さんと呼びかけていた。これ、お前らも同じだろ?」
僕と二階堂は刹那の硬直を経て、大爆発した。
「うわわわ、ゴメン北斗。僕もずっと心の中で、お姉さんと呼びかけていたんだ。なのに北斗にだけそんなこと言わせちゃって、悪かったよ北斗!」
「おっ俺は、年上の女性への憧れが人一倍強い。紫柳子さん、あなたこそは俺の理想のお姉さんですと、俺は心の中で多分百回くらい言っていた。いや言うだけでなく、片膝着いてお姫様に忠誠を捧げる、ナ、ナ、ナイトになっていた。だから北斗、どうかこれで勘弁してくれ~~!!」
ごめんゴメンと手を合わせ頭を下げる僕の横で、二階堂は千手観音のように両手をあたふた動かしまくっていた。そんな僕らに、恨みがましい表情を改めた北斗が、いつもの爽やかな笑顔を浮かべた。
「俺達三人全員がそう思っていたのを、あの優しく聡明な女性が気づかないワケない。かといってそれを口にするのは、紫柳子さんにとっても恥ずかしい事だった。よって別れぎわ、エイミィを守る必要性をきっかけにして、同じ気持ちでいることを紫柳子さんは俺達に伝えてくれたのではないだろうか。あの人は俺達を、本当に優しい瞳で見つめていた。だから俺は、心からそう思うんだ」
丁度その時、AICAが地下道を抜け地上に出る。そこには、馴染み深い池袋の景色が広がっていた。八月半ばの夕方五時すぎ。夏の初めほどではないが、まだ充分眩しい日差しが目を射る。秋葉原と池袋を最速で結ぶ地下道ばかりを走ってきた僕らにとって、それは哀しさを追いやり心を洗い清める、力強い浄光に思えた。それに後押しされ僕は最後にもう一度、今日出会った素敵な女性達へ思いを馳せることにした。
「ねえ二階堂、秋葉原の方角はどっちかな」
「ここは池袋駅東口だから、秋葉原はあっちの方角だ」
二階堂はそう言って、体を後ろへ向けた。僕と北斗も体を捻り、二階堂が指さした方角を見つめる。北斗がポツリと漏らした。
「あれが、秋葉原の空か」
「そうだあれが、あの楽しかった秋葉原の空だ」
「そっかあ、あの空の下に、紫柳子さんとエイミィはいるんだねえ」
僕ら三人は、無言で空を見つめた。
AICAが左折し、空がビルの向こうへ消えてゆく。
僕らは前を向き座席に身を沈める。暫くして、僕はポツリと言った。
「お腹へったなあ」
すると思いがけず、二人が即座に続いた。
「ああ、減ったな」
「今日の夕飯、何だろう」
献立を想像せずにはいられない二階堂のその呟きに、胃がギュッと締め上げられた。
「やばい僕、なんか急に、胃が痛くなるほどお腹が空いてきたんだけど」
「うっ、俺もだ。なあ二階堂、あとどれくらいで家に着く?」
「うわあ俺もだ、腹減った~~!!」
「いや、あのね二階堂、あと何分くらいで家に着くかを僕らは知りたいんだよ」
「お袋の餃子、お袋の肉じゃが、ロールキャベツ、ミネストローネ、ポテトサラダ」
「テメエ二階堂、お前それわざとやってるだろう!」
「そうだよ止めてよ二階堂。僕、つばが出て出て仕方ないよ!」
「酢豚、蛸の酢のもの、レモンの原液、山盛り梅干しの一気食い!」
「うぎゃあ、よだれが、よだれが垂れる~!」
なんてワイワイやっているうちにAICAは終点の、鬼子母神前に到着したのだった。
四章、了
記憶を呼び戻すべく、二階堂はAICAの天井を見上げた。それに釣られ僕も、自分が茹蛸状態であることを忘れて天井を見あげる。そう、たしか・・・
「ガレージに見知らぬ3D美少女がいて驚いたからよく覚えている。紫柳子さんがガレージに入った時、エイミィはこちらを向いて立っていた。そして紫柳子さんが猫将軍に話しかけるより早く、恭しく一礼し消えていった。うん、そのとき俺は『急に消えた』という印象を持ったのを覚えているよ」
同意し盛んに首を縦に振る僕へ、北斗が顔を向ける。
「エイミィと会話しその個性を感じたであろう眠留は、どんな印象を持った?」
「会話中ずっと、エイミィは控えめな落ち着いた子だった。だから僕も二階堂と同じで、急に消えてしまったという印象を持ったよ」
答え終えてから気づく。北斗はきっと、僕が自然に返答できるタイミングを見計い、僕に問いかけてくれたのだ。こいつはホント、優しいヤツだよなあ。
「うむ、俺も二人と同意見だ。あの時のエイミィには、性急な印象が付きまとう。然るに、こう考えてみよう。エイミィは事実、焦っていた。では一体、何を焦っていたのか?」
僕は首を捻るだけだったが、二階堂は即答に近いスピードで答えた。う~むさすがは、人情の機微に敏感な、我らが愛すべきムードメーカーなのである。
「なるほどそうか、エイミィは恐れていたんだ。絶対従わなければならない紫柳子さんから『通常業務に戻りなさい』と命令されるのを、エイミィは恐れていた。なぜならそう命令されたら、いつもの業務に自分の全能力を使わなければならなくなるから、猫将軍を想い続けられなくなる。だからエイミィはその命令が下される前に!」
先を引き継ぐよう二階堂は僕に顔をむけた。でも僕は二階堂の気持ちに応えられず、黙って天井を見上げた。エイミィは皆がガレージに現れる直前、「私はいつもあなたを想っています」と言った。あれは、空虚な演算結果ではなかった。社交辞令でもなかった。エイミィはあの瞬間、真にそう想い、それを実行に移してくれていたのである。溢れ出てきた涙の粒を零れさせぬよう、僕は天井を見あげたまま話を引き継いだ。
「エイミィは命令を受ける前に、自分から姿を消した。別れの挨拶の場面で自分が呼び出された時、僕の呼びかけに直接応えたかったエイミィは、ガレージに自分の一部を残して自分から・・・・」
施した工夫はここで破綻した。たとえ上を向いていようと、溢れる涙をとどめ置くことなどできなかったのである。僕はそれから暫く、ハンカチを顔に押し当て続けた。するとその一事のみが場を占拠せぬよう、
「これから話すのは推測に推測を重ねたことでしかないから、あまり粗を探さないでくれよ」
北斗はそう前置きし、自分の考えを僕らに話してくれた。
――紫柳子さんはエイミィに質の高い接客をさせるため、エイミィの能力の大部分を接客へ振り分け、セキュリティ等は店舗のメインAIに担当させていた。よってエイミィが恭しく一礼しガレージから消えた際、エイミィはいつもどおり接客業務に戻ったのだと判断した紫柳子さんは、「営業エリアでの通常業務に戻りなさい」という絶対命令を下さなかった。それが功を奏し、こんな内容の申請をメインAIへ出すチャンスがエイミィに生じた。「私にエイミィという固有名を付けたお客様がエイミィという名で私を呼び出したなら、私はそのお客様を接客しなければならない。故にそのお客様の要望を叶えるべく、私の機能の一部をガレージに待機させたい」 メインAIはそれを是とし、エイミィに機能の一部を残すことを認めたので、エイミィは眠留の呼びかけに応じガレージに再度現れることができた。しかし所有者である紫柳子さんがそれを糾弾したら、エイミィは良くて再プログラミング、悪くて破棄という、かなり危険な立場に置かれてしまう。よって紫柳子さんは「私を親戚の姉と思ってくれると嬉しい」と明示することにより、エイミィは家族に準ずる者の命令に従っただけという事にしたのだろう――
みたいな感じのことを北斗は淡々と、至極普通の事として話してくれた。僕と二階堂は粗探しをするどころか「コイツの頭の中は一体どうなっているのだろう」と、間抜け面を大いに晒しそれに耳を傾けていた。しかし最後の部分が語られるなり、AICAの窓に映る変化のない寂しげな地下道ばかりを見ていたことが災いし、僕らは哀しくてたまらなくなってしまう。右隣の二階堂が、グスンと鼻をすすった。
「紫柳子さんが自分を親戚の姉と言ったのは、そういう理由だったんだな。エイミィのためを思ってしたことだから優しい行為だと思うが、やっぱ堪えるなあ」
うん、堪えるよねえ。と僕も二階堂と一緒に鼻をすすった。しかし北斗は、
「まったくお前らは、こんなことまで俺に言わせようとするな」
と恨めしげな声を漏らした。僕と二階堂は何が何やらさっぱりわからず、間抜け面を再び一緒にさらす。すると北斗は大きなため息を一つ付き、赤らめた顔を窓の外へ向け渋々言った。
「俺は心の中で紫柳子さんのことを、ずっとお姉さんと呼んでいた。だから紫柳子さんに話しかける時は、お姉さんと口走ってしまわぬよう、何度もイメトレしてから紫柳子さんと呼びかけていた。これ、お前らも同じだろ?」
僕と二階堂は刹那の硬直を経て、大爆発した。
「うわわわ、ゴメン北斗。僕もずっと心の中で、お姉さんと呼びかけていたんだ。なのに北斗にだけそんなこと言わせちゃって、悪かったよ北斗!」
「おっ俺は、年上の女性への憧れが人一倍強い。紫柳子さん、あなたこそは俺の理想のお姉さんですと、俺は心の中で多分百回くらい言っていた。いや言うだけでなく、片膝着いてお姫様に忠誠を捧げる、ナ、ナ、ナイトになっていた。だから北斗、どうかこれで勘弁してくれ~~!!」
ごめんゴメンと手を合わせ頭を下げる僕の横で、二階堂は千手観音のように両手をあたふた動かしまくっていた。そんな僕らに、恨みがましい表情を改めた北斗が、いつもの爽やかな笑顔を浮かべた。
「俺達三人全員がそう思っていたのを、あの優しく聡明な女性が気づかないワケない。かといってそれを口にするのは、紫柳子さんにとっても恥ずかしい事だった。よって別れぎわ、エイミィを守る必要性をきっかけにして、同じ気持ちでいることを紫柳子さんは俺達に伝えてくれたのではないだろうか。あの人は俺達を、本当に優しい瞳で見つめていた。だから俺は、心からそう思うんだ」
丁度その時、AICAが地下道を抜け地上に出る。そこには、馴染み深い池袋の景色が広がっていた。八月半ばの夕方五時すぎ。夏の初めほどではないが、まだ充分眩しい日差しが目を射る。秋葉原と池袋を最速で結ぶ地下道ばかりを走ってきた僕らにとって、それは哀しさを追いやり心を洗い清める、力強い浄光に思えた。それに後押しされ僕は最後にもう一度、今日出会った素敵な女性達へ思いを馳せることにした。
「ねえ二階堂、秋葉原の方角はどっちかな」
「ここは池袋駅東口だから、秋葉原はあっちの方角だ」
二階堂はそう言って、体を後ろへ向けた。僕と北斗も体を捻り、二階堂が指さした方角を見つめる。北斗がポツリと漏らした。
「あれが、秋葉原の空か」
「そうだあれが、あの楽しかった秋葉原の空だ」
「そっかあ、あの空の下に、紫柳子さんとエイミィはいるんだねえ」
僕ら三人は、無言で空を見つめた。
AICAが左折し、空がビルの向こうへ消えてゆく。
僕らは前を向き座席に身を沈める。暫くして、僕はポツリと言った。
「お腹へったなあ」
すると思いがけず、二人が即座に続いた。
「ああ、減ったな」
「今日の夕飯、何だろう」
献立を想像せずにはいられない二階堂のその呟きに、胃がギュッと締め上げられた。
「やばい僕、なんか急に、胃が痛くなるほどお腹が空いてきたんだけど」
「うっ、俺もだ。なあ二階堂、あとどれくらいで家に着く?」
「うわあ俺もだ、腹減った~~!!」
「いや、あのね二階堂、あと何分くらいで家に着くかを僕らは知りたいんだよ」
「お袋の餃子、お袋の肉じゃが、ロールキャベツ、ミネストローネ、ポテトサラダ」
「テメエ二階堂、お前それわざとやってるだろう!」
「そうだよ止めてよ二階堂。僕、つばが出て出て仕方ないよ!」
「酢豚、蛸の酢のもの、レモンの原液、山盛り梅干しの一気食い!」
「うぎゃあ、よだれが、よだれが垂れる~!」
なんてワイワイやっているうちにAICAは終点の、鬼子母神前に到着したのだった。
四章、了
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