『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月

りょう。

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「と……とてつもなく美人じゃない。本当に人間なのかしら」
「おれも心配になりましてね、調べたんですが人間でしたよ」
「なに、馬鹿な事調べてるの!全く、本当にお前は使えないわね!」

窓から望遠鏡を使って庭を覗いているのは、メレディ・ヒストリア。ヒストリア伯爵家の娘である。
忘れられた公爵家の娘の調査に向かった侍従が戻ってきて「本当に美しい方だった」と告げられたメレディは、望遠鏡を用意させ、セスティーナが庭でお茶をするタイミングを伺っていたのだった。

「普通にお茶でも誘えばよいのでは?」という侍従の言葉に理由をつけて断ってきたのは、
知らない令嬢からたくさんの誘いを受けているであろうセスティーナに対して、気遣ったから。という理由だと知るのは、彼女に付いているメイドのマイだけである。


「ひどいですよお嬢様ぁ」
「ぼやっとしてないで、もっと有益な情報を持ってきなさい!」
「はぃぃー!」

慌てて出て行く侍従を見送ると、まったくとメレディは呟いた。
口調は強いが、後ろ姿を心配そうに見つめていたメレディをマイは困った物だとため息をつく。

「素直に仲良くなりたいからと伝えれば宜しいのでは?」
「何言ってるのマイ、私が何もなく美しい人の隣に並べる訳ないでしょう!ナナリィ様みたいに柔らかい感じでも無いし、ローズマリーほど可愛くもないもの」
「メレディ様も十分にお可愛らしいですよ」
「そんな事言うのはマイとお父様、お母様くらいよ……」


実の所、メレディにファンが多い事をマイは知っていた。
口調がキツいものの、その中には相手に対する気遣いがある事を、彼女と関わりがある者は全員分かっているのである。

今回到着が遅れてしまわないかヒヤヒヤしながら馬車をゆっくりと走らせたのも、侍従がずっと気持ち悪そうにしていたから、馬車を揺らさないように指示を出したせいだ。
実際に遅れてしまっても、多少イライラした感情をぶつけただけで彼にその事実は話していない。
自分では可愛くないと思っている外見も、通常ではふわふわとしている柔らかい金髪の髪に少し吊り目な目がまるで猫のようだと評判も良い。


ただ、彼女が全く信じないので、言っても揶揄ならかわれたと思い込んでしまう事をマイは毎回嘆いていた。




メレディにとって事件はその日の午後に起きる。


「あ、あの……お客様がいらしてます」

外で控えていた王城のメイドが、来客を知らせてきた。
マイが内容を伺う為に近寄ると、そのメイドはなぜか頬を染め瞳をうるうるとさせていた。

「どうしましたか?」
「は、ハイ。あの、ハイトランデ公爵家のセスティーナ・ハイトランデ様がいらしてます」

メレディがいる部屋の中からブハーという音が聞こえてきた。
今までベッドの上でダラダラと過ごしていた所に来た奇襲に、中にいる人物は大層驚いたらしい。

「準備があるためお待ちいただく必要があると伝えていただけますか?」
「はい!セスティーナ様も、急に来てしまったので、もし都合が悪ければ改めますと……」
「いいえ!お待ちいただけるならまっったく問題ありません」

力強いマイの受け答えにメイドは少し驚いたようだが、分かりました。と部屋を出て行った。
少しだけ気合の入れたマイは、部屋に戻る。

「メレディ様お着替……」
「ど!どうして良いって言っちゃったの!マイのばか!お土産も何も用意してないのに!」
「どうしてって。メレディ様がぐじぐじなさってるから」

さっ、急いで準備しますよ、と言ってマイはメレディの服を脱がして行く。
メレディは緊張からか顔を真っ赤にしながら、しかし、こうなったマイに抵抗しても負けてしまう事は分かっていたために無抵抗でされるがままになった。
いつもよりも大人しいメイクを施したのち、マイは満足そうに頷く。

気遣い、準備を待ってくれるような御令嬢は、きっとメレディと仲良くなれるだろう。


「はい、早く仲良くなってきてください」
「うう……ばかばか」

そう言って出て行ったメレディは、その2時間後にホワホワとした嬉しそうな顔で部屋に戻り、マイは大変喜んだらしい。


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