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43 君に捧げる愛のメロディ
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* 似たような歌のタイトルがたくさんありますね。作者、春で頭ぽやぽやしてますがコメディです。ぽやぽやはいつもかもしれませんが。
歌う獣人(?)ヒーローが相手です。
******
眠れない。
お風呂は眠る90分前にぬるめの湯に浸かって、足は冷やさないように靴下履いた。
もちろん布団に入る時は脱ぐ。
今夜はしっかり2時間前にはデジタルデトックス。
穏やかな気持ちになれる薄くて尊い本で読書。
部屋の照明は間接照明、アロマはラベンダー。
いつも眠りにつくまで時間がかかる。
音楽は色々試した結果、アルファ波が出るという古典的なクラシック。
あとは楽しいことを考えて……。
今日あった嫌なことなんて、全部忘れてしまいたい!
もともとウジウジ考えちゃうタイプなんだけど、今日は本当にありえない!
帰り際に、会社の先輩に実家で生まれたばかりの犬の動画をみせるつもりが、ハードなBでLなエロアニメのあっはーんなシーンを再生。
前の日に眠れなくて観ちゃったのもいけなかったし、スマホも替えたばかりなのもあってミスした。
『……イヤだッ、あっ、……は♡』
犬好きさんたちに囲まれて、その中には憧れの課長もいたのに!
みんな一瞬で凍りついた。
中の人の演技は素晴らしく、吐息が社内に響いて私は大注目。
イヤーッ!
課長の嫌悪感あふれるあの表情、忘れられない。
アニメ観るんだねー、ってフォローしようとして何も言えなくなった先輩のひきつった顔も。
オタクなんていない陽キャな職場だから、ずっと性癖隠していたのに!
みんな、そよそよしくなっちゃって、サーっと帰っていった。
もしかして明日から1人ランチ?
仕事に支障出たらどうしよう。
常日頃オタクに対して辛口な発言がちらほらあった。
花見、川原でバーベキュー、海、これからイベントたくさんあるのに!
「うわああぁぁ~! 恥ずかしすぎて眠れない~。無理だ、明日仕事行きたくない。消えてしまいたい! 職場に私の居場所はもうないよ、絶対!」
「……消えちまいな。……キャッ♡ 一度言ってみたかったのよね♡ あ、ごめんごめん、半分冗談よ♡」
突然現れたのは凄みある美女で、天真爛漫な笑顔の裏に腹黒が隠れている気がした。
「いやぁねぇ♡ 裏なんてないわよー♡ でも迫真の演技だったってことね⁉︎ おわびにあなたを誰も知らない世界へ連れて行ってあげるわ♡」
それって裏世界?
え? 大丈夫?
不安しかないんだけど!
どこかの組の姐さんだったりして……?
「ふふふ♡ つまり異世界であなたを大切に包んでくれる母性……えーとバブみあふれる男がいるの♡ 私は縁結びの女神だからそういうの得意なんだからぁ♡」
女神って言うけど、きっと姐さんの通り名だよね。
これって断ったら、命ない?
社会的に制裁されちゃうの、私⁇
「そうじゃないわよー♡ 脅かしちゃってごめんね♡ あなたの運命の相手は別の世界にいるの。だからこの世界のことは私に任せて、飛び込んでみない?」
「……みんなの記憶から抹消されます?」
「もっちろん♡ ご両親やご家族にも悲しまないようにするから♡」
「そういうことなら、よろしくお願いしまぁーす!」
磯の匂い。
波の音が聞こえる。
なにここ、海が近い?
「目が覚めたか……そなたがなかなか目を開けないから心配していた」
私はなぜか男のおっぱい(素肌)に顔をうずめていて、包み込むように抱きしめられている!
夕焼けの海と同じ色の瞳は穏やかで優しくて、ニコッと笑って私を安心させるように言う。
「疲れているのか。……それならもう少し眠るといい。歌おう」
私の後頭部をおっぱいに押しつけて、耳元で優しく歌い出した。
あったかくて、柔らかい。
日焼けした浅黒い肌も彼に合ってる。
深みのある声は低音から高音まで安定していて眠気に襲われた。
海に抱かれているみたい……。
え?
すごい……あんなに眠るの苦労していたのに!
うとうとしかけたけど、ハッとする。
女神の姐さんが言ってた相手って彼のことだわ。
絶対そう。
「私の運命、の相手」
自分の口からそんなくさい言葉が飛び出すとか。
でも間違いない。
「そうだ。そなたは私のつがいで、私の唯一。これから長い時を過ごそう」
「はい……」
なんか夢みたいなんだけど!
「なにも心配いらぬ。私は世界の海を渡るザトウクジラ獣人で各地に屋敷がある。苦労などさせない、すでに一生遊んで暮らせるだけの資産があるから、この先の時間はそなたのためだけにある」
「すごいわ……」
なるほど!
クジラの鳴き声って安眠効果あるっていうもんね。
試したことなかったけど効果抜群だわ。
これからは毎晩安心して眠れる。
「なんてステキ……」
「どんな贅沢だって、叶えてみせよう」
ふぉーッ‼︎
どんな贅沢も⁉︎
「もっと歌って!」
彼の歌を聴いていたら嫌なことなんて全部忘れる!
最高‼︎
「私のつがいは可愛いことを言う。もっと欲張りになれ」
私、この世界で幸せになる予感しかない!
歌う獣人(?)ヒーローが相手です。
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眠れない。
お風呂は眠る90分前にぬるめの湯に浸かって、足は冷やさないように靴下履いた。
もちろん布団に入る時は脱ぐ。
今夜はしっかり2時間前にはデジタルデトックス。
穏やかな気持ちになれる薄くて尊い本で読書。
部屋の照明は間接照明、アロマはラベンダー。
いつも眠りにつくまで時間がかかる。
音楽は色々試した結果、アルファ波が出るという古典的なクラシック。
あとは楽しいことを考えて……。
今日あった嫌なことなんて、全部忘れてしまいたい!
もともとウジウジ考えちゃうタイプなんだけど、今日は本当にありえない!
帰り際に、会社の先輩に実家で生まれたばかりの犬の動画をみせるつもりが、ハードなBでLなエロアニメのあっはーんなシーンを再生。
前の日に眠れなくて観ちゃったのもいけなかったし、スマホも替えたばかりなのもあってミスした。
『……イヤだッ、あっ、……は♡』
犬好きさんたちに囲まれて、その中には憧れの課長もいたのに!
みんな一瞬で凍りついた。
中の人の演技は素晴らしく、吐息が社内に響いて私は大注目。
イヤーッ!
課長の嫌悪感あふれるあの表情、忘れられない。
アニメ観るんだねー、ってフォローしようとして何も言えなくなった先輩のひきつった顔も。
オタクなんていない陽キャな職場だから、ずっと性癖隠していたのに!
みんな、そよそよしくなっちゃって、サーっと帰っていった。
もしかして明日から1人ランチ?
仕事に支障出たらどうしよう。
常日頃オタクに対して辛口な発言がちらほらあった。
花見、川原でバーベキュー、海、これからイベントたくさんあるのに!
「うわああぁぁ~! 恥ずかしすぎて眠れない~。無理だ、明日仕事行きたくない。消えてしまいたい! 職場に私の居場所はもうないよ、絶対!」
「……消えちまいな。……キャッ♡ 一度言ってみたかったのよね♡ あ、ごめんごめん、半分冗談よ♡」
突然現れたのは凄みある美女で、天真爛漫な笑顔の裏に腹黒が隠れている気がした。
「いやぁねぇ♡ 裏なんてないわよー♡ でも迫真の演技だったってことね⁉︎ おわびにあなたを誰も知らない世界へ連れて行ってあげるわ♡」
それって裏世界?
え? 大丈夫?
不安しかないんだけど!
どこかの組の姐さんだったりして……?
「ふふふ♡ つまり異世界であなたを大切に包んでくれる母性……えーとバブみあふれる男がいるの♡ 私は縁結びの女神だからそういうの得意なんだからぁ♡」
女神って言うけど、きっと姐さんの通り名だよね。
これって断ったら、命ない?
社会的に制裁されちゃうの、私⁇
「そうじゃないわよー♡ 脅かしちゃってごめんね♡ あなたの運命の相手は別の世界にいるの。だからこの世界のことは私に任せて、飛び込んでみない?」
「……みんなの記憶から抹消されます?」
「もっちろん♡ ご両親やご家族にも悲しまないようにするから♡」
「そういうことなら、よろしくお願いしまぁーす!」
磯の匂い。
波の音が聞こえる。
なにここ、海が近い?
「目が覚めたか……そなたがなかなか目を開けないから心配していた」
私はなぜか男のおっぱい(素肌)に顔をうずめていて、包み込むように抱きしめられている!
夕焼けの海と同じ色の瞳は穏やかで優しくて、ニコッと笑って私を安心させるように言う。
「疲れているのか。……それならもう少し眠るといい。歌おう」
私の後頭部をおっぱいに押しつけて、耳元で優しく歌い出した。
あったかくて、柔らかい。
日焼けした浅黒い肌も彼に合ってる。
深みのある声は低音から高音まで安定していて眠気に襲われた。
海に抱かれているみたい……。
え?
すごい……あんなに眠るの苦労していたのに!
うとうとしかけたけど、ハッとする。
女神の姐さんが言ってた相手って彼のことだわ。
絶対そう。
「私の運命、の相手」
自分の口からそんなくさい言葉が飛び出すとか。
でも間違いない。
「そうだ。そなたは私のつがいで、私の唯一。これから長い時を過ごそう」
「はい……」
なんか夢みたいなんだけど!
「なにも心配いらぬ。私は世界の海を渡るザトウクジラ獣人で各地に屋敷がある。苦労などさせない、すでに一生遊んで暮らせるだけの資産があるから、この先の時間はそなたのためだけにある」
「すごいわ……」
なるほど!
クジラの鳴き声って安眠効果あるっていうもんね。
試したことなかったけど効果抜群だわ。
これからは毎晩安心して眠れる。
「なんてステキ……」
「どんな贅沢だって、叶えてみせよう」
ふぉーッ‼︎
どんな贅沢も⁉︎
「もっと歌って!」
彼の歌を聴いていたら嫌なことなんて全部忘れる!
最高‼︎
「私のつがいは可愛いことを言う。もっと欲張りになれ」
私、この世界で幸せになる予感しかない!
応援ありがとうございます!
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