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「お昼の休み時間になってから、何分経ったと思っているのです? 授業が終わったらすぐに迎えに来てくださいといつも言っているでは──」

 オーブリーの方を向いていた面々が、マルヴィナの剣幕に時間差で振り向いていく。その中にミラベルと、アーノルドの姿を見たマルヴィナは、あら、と急に機嫌をよくした。

「不細工な元婚約者様と、浮気ごときでこのあたしをふった元婚約者様じゃありませんか。奇遇ですわね」

 マルヴィナは、ふふんと二人を横切り、オーブリーの元へと駆け寄ったかと思えば、くるりと振り返った。

「あたし、この方と婚約することになりました。でも、まだ正式にではありません。アーノルド様、いまならまだあたしを取り戻せますよ? どうします?」

 オーブリーが目を見張り、なにを言っているんだ、と声にならない声を出し、口をパクパクさせる。一方のアーノルドは「……冗談にしても笑えない」と、嫌悪感を剥き出しにした。

「容姿だけで婚約者を選んだ父上を、何度恨んだことか。きみの本性を何度説明しても、父上はまったく聞く耳を持ってくれなかった。だからこそ、きみがこの学園の生徒と不貞行為をしてくれて、本当に良かった──なあ、わたしがきみと婚約破棄できたとき、どれほど歓喜したと思う? そんなわたしが、きみと復縁? ありえないよ」

 口角だけは上げながら、瞳孔は開き、アーノルドの全身は、鳥肌が立っていた。


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