27 / 35
27
しおりを挟む
「……またそのような強がりを」
引き攣った笑いを浮かべるマルヴィナに、アーノルドは肩を竦めた。
「話が通じないのは、相変わらずみたいだね。隣にいる彼と一緒だ。いい相手を見つけたものだね」
お似合いだよ。
言い捨てられた台詞に、マルヴィナは目を吊り上げた。
「このあたしと、この男がお似合い? 本当にそんなこと思っているのですか?」
「心の底から思っているよ」
「目、ついてます? この男の容姿が、あたしにつり合うとでも?」
心底馬鹿にしたような口調。これまでの、わがままというにはあまりに横暴な行い、暴言が一気に脳内を駆けめぐり、オーブリーの中のなにかがぷつりと切れた。
「……よくもそんな口が聞けたものだな!」
マルヴィナに唾を飛ばし、オーブリーは声を荒げた。
「お前の元婚約者に聞いたよ。本性がばれて、二、三年には相手にされなくなったそうだね。いままで散々偉そうにしてたけど、もう一年にも噂は広まっているだろうから、もう誰にも、見向きもされなくなるんじゃないのか?」
最初は、はじめて見るオーブリーの剣幕にぽかんとしていたマルヴィナだったが、すぐに持ち直し、負けじとキッと睨み返してきた。
「人のことが言えて? あなたが伯爵家の嫡男でなかったら、近付きもしなかったわよ! なんの取り柄もないばかりか、容姿も醜いくせに!」
「中身が醜いお前よりよっぽどマシだね!」
言い捨て、オーブリーはミラベルの方へ向き直った。
引き攣った笑いを浮かべるマルヴィナに、アーノルドは肩を竦めた。
「話が通じないのは、相変わらずみたいだね。隣にいる彼と一緒だ。いい相手を見つけたものだね」
お似合いだよ。
言い捨てられた台詞に、マルヴィナは目を吊り上げた。
「このあたしと、この男がお似合い? 本当にそんなこと思っているのですか?」
「心の底から思っているよ」
「目、ついてます? この男の容姿が、あたしにつり合うとでも?」
心底馬鹿にしたような口調。これまでの、わがままというにはあまりに横暴な行い、暴言が一気に脳内を駆けめぐり、オーブリーの中のなにかがぷつりと切れた。
「……よくもそんな口が聞けたものだな!」
マルヴィナに唾を飛ばし、オーブリーは声を荒げた。
「お前の元婚約者に聞いたよ。本性がばれて、二、三年には相手にされなくなったそうだね。いままで散々偉そうにしてたけど、もう一年にも噂は広まっているだろうから、もう誰にも、見向きもされなくなるんじゃないのか?」
最初は、はじめて見るオーブリーの剣幕にぽかんとしていたマルヴィナだったが、すぐに持ち直し、負けじとキッと睨み返してきた。
「人のことが言えて? あなたが伯爵家の嫡男でなかったら、近付きもしなかったわよ! なんの取り柄もないばかりか、容姿も醜いくせに!」
「中身が醜いお前よりよっぽどマシだね!」
言い捨て、オーブリーはミラベルの方へ向き直った。
2,508
お気に入りに追加
3,534
あなたにおすすめの小説
アリシアの恋は終わったのです【完結】
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
【完結】円満婚約解消
里音
恋愛
「気になる人ができた。このまま婚約を続けるのは君にも彼女にも失礼だ。だから婚約を解消したい。
まず、君に話をしてから両家の親達に話そうと思う」
「はい。きちんとお話ししてくださってありがとうございます。
両家へは貴方からお話しくださいませ。私は決定に従います」
第二王子のロベルトとその婚約者ソフィーリアの婚約解消と解消後の話。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
主人公の女性目線はほぼなく周囲の話だけです。番外編も本当に必要だったのか今でも悩んでます。
コメントなど返事は出来ないかもしれませんが、全て読ませていただきます。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
貴方は何も知らない
富士山のぼり
恋愛
「アイラ、君との婚約は破棄させて欲しい。」
「破棄、ですか?」
「ああ。君も薄々気が付いていただろう。私に君以外の愛する女性が居るという事に。」
「はい。」
「そんな気持ちのまま君と偽りの関係を続けていく事に耐えられないんだ。」
「偽り……?」
【完結】婚約破棄の明と暗
仲村 嘉高
恋愛
題名通りのお話。
婚約破棄によって、幸せになる者、不幸になる者。
その対比のお話。
「お前との婚約を破棄する!」
馬鹿みたいに公の場で宣言した婚約者を見て、ローズは溜め息を吐き出す。
婚約者の隣には、ローズの実妹のリリーが居た。
「家に持ち帰って、前向きに検討させていただきます」
ローズは、婚約者の前から辞した。
※HOT最高3位!ありがとうございます!
次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛
Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。
全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる