【完結】私は落ちこぼれで構いません! ~未来の大魔術師様が今日も私を困らせて来ます~

Rohdea

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6. ピンク色の髪をした編入生

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  その日。
  6属性の中で最も貴重な光の属性を持つ人間が新たに見つかって学院に編入して来るという噂が学院内を駆け巡った。

「光属性の編入生?」
「らしいぞ。平民として育っていたが貴族の隠し子である事が分かり、最近、父親だと判明した男爵の元に引き取られたらしい」

  ルシアンが説明してくれた。

「それで、この学院に編入……?」

  平民として育って来ていて、更には希少な力の使い手と聞くと……少し親近感が湧く。

「もともと、風属性だと判定されていてずっと市井の学校で過ごしていたらしいが」
「だから、編入なのね」

  (属性が変わった?  それとも誤判定だった?)

  そんな事もあるのかしら?  と、思うけれど、平民の属性判定はあっさりしているのでそういう事もあるのかもしれない。
  ここまでどういう経緯があったのかは分からないけれど、希少な光属性の力が発現してしまって、さぞ大変な思いをしているのだろうなぁ。
  
  この時の私は呑気にそんな事を思っていた。




「エリィ・マドリガルと申します。中途半端な時期の編入となりましたが、よろしくお願いします!」

  (珍しい髪色!)

  あまり見ることの無いストロベリーブロンドのフワフワの髪を靡かせ、希少な光属性の彼女は微笑みながら皆の前て挨拶をする。

  (そして可愛い!  人形みたい!)

  一言で言うなら、とにかく美少女。
  クラスの男性の数名がボーッと鼻の下を伸ばして見惚れているのが私の席からもよく分かった。

「学院の事だけでなく、私は貴族としても仲間入りをしたばかりなので、優しく教えてもらえると嬉しいです」

  にこにこと微笑みながら、そう口にした彼女は確かに思わず見惚れるくらいの可愛らしい笑顔だった。

「マドリガル嬢は貴重な光属性の使い手なので、皆も失礼の無いように」
 
  先生がそんな説明をする間も彼女がその可愛らしい微笑みを絶やす事は無かった。






「えぇ!  そうなんですか?  知らなかったです」

  ふふふ、と笑うエリィ様は顔だけでなく声もとても可愛らしい。

「そうなんだよ!  それでさー……」
「ねぇねぇ、ところで光属性の力ってー」

  明るく物怖じしない性格らしいエリィ様は、編入して数日ですぐにクラスに馴染んだ。
  さらに、貴重な光の使い手でもある事から彼女の周りには自然と人が多く集まるようになっていた。

  (そりゃ、光属性の人なんてそうそう出会えないからねぇ……珍しい気持ちは分かるわ)

「ほらほら、皆。マドリガル嬢を質問攻めにしたい気持ちは分かるけれど、そんなに一度に質問されても彼女も困ってしまうよ?」

  見かねたアレンディス殿下が周囲に軽く諌める程、彼女の周りにはいつも人が集まっていた。

「大丈夫かい?  マドリガル嬢」
「は、はい。ありがとうございます、アレンディス殿下。でも、皆さんとっても優しいので大丈夫ですよ!」

  エリィ様が笑顔でアレンディス殿下にそう答える。

「そう?   なら良いのだけど」
「実は編入するの少し怖かったのですが、これなら楽しく過ごせそうです!」
「それなら良かったよ」

  そう言いながら微笑むエリィ様と、安心した様子のアレンディス殿下は、ここ数日で随分と仲良くなったなぁという印象を受けた。

  (もともと、アレンディス殿下はエリィ様の面倒を見るように言われているそうだけど……)

  しかし、そうすれば彼女の存在を面白く思わない人も出てくるというもの。その筆頭が、当然と言えば当然……リシェリエ様とその取り巻き令嬢達だった。



*****



「なぁ、フィーリー。女って怖いよな……」

  それから更に数日経った日の休み時間。
  ルシアンが私の元にやって来てはそんな事を口にした。

「……私も女ですけど?」
「知ってる」
「……」

  ルシアンに、お前は何を言っているんだ?  っていう不思議な顔をしながら返された。
  ……そのセリフはこっちがそっくりそのままお返ししたい。

  そんな私の気も知らないルシアンはチラッと教室の片隅で話し込んでいる二人に視線を向ける。

「だってさ、光と闇だぜ?  どちらも貴重な使い手。歪みあってどうするんだ?  って俺は思うんだけどなぁ。でさ、何であんな事になってるんだ?」
「……ルシアンって」

  (ルシアンは女心に疎そうよね……)

  私も人の事を言えた義理では無いけれど、ルシアンはきっと昔から魔術の事ばっかりで恋愛ごとに疎そうな気がする。
  そんな目でルシアンを見つめると、
  
「何だ?」
「…………何でもないわ」

  私の視線に何かを感じたルシアンに軽く睨まれた。
  相変わらず鋭くて困る。
  私は慌てて教室の片隅で話している二人──リシェリエ様とエリィ様の方へと視線を向けた。

「エリィ様!  私の話、聞いていますか?」

  リシェリエ様が、エリィ様に絡むのには一応理由がある。
  ほら、今も聞こえてくる……

「聞いてますよー……でも、何でダメなんですか?」
「駄目も何も、私は少しは弁えた方がいいと申し上げているだけですわよ」

  リシェリエ様はクルクルに巻かれた縦ロールをかきあげながらエリィ様に向かってそう口にする。
 
「そんなぁ!  ですが、私からは何もしていませんよ?  むしろ皆様の方が勝手に……あっ!」
「あ、あなた!  なんて言い方をするの……!」
「だってぇ……つい……」

  リシェリエ様からの追求に潤んだ瞳で対抗するエリィ様。
  傍から見れば、リシェリエ様が虐めているようにしか見えない。

  それでもリシェリエ様が、わざわざ憎まれ役をかってでてまで、いったい何を追求しているのかと言うとー……

「リシェリエ。また、君はエリィ嬢に絡んでいるのか?」
「アレンディス!!」
「……殿下」

  困った事にややこしい人が、更にややこしくしにやって来た。

「大丈夫かい?  エリィ嬢」
「ええ!  大丈夫です!  ありがとうございます、アレンディス様」

  アレンディス殿下とエリィ様が微笑み合う。

  (いつの間に名前で呼び合うようになったの?)

  つい、数日前までは“マドリガル嬢”と“アレンディス殿下”と互いを呼んでいたはずなのに。

「あの、アレンディス殿下。私は……」
「見損なったよ、リシェリエ」

  アレンディス殿下はため息と共にリシェリエ様に冷たい視線を送る。

「え?  で、殿下……」

  そんなアレンディス殿下の言葉と態度にリシェリエ様の顔色はどんどん悪くなっていった。

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