【完結】私は落ちこぼれで構いません! ~未来の大魔術師様が今日も私を困らせて来ます~

Rohdea

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3. 私の規格外の力

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  誰しもが持つ、この国の魔術の属性は、

  火、水、土、風、光、闇

  の6つ。
  いずれかの属性1つの適性が現れると言われている。
  ちなみに、光と闇は使い手が少なく大変希少。
  特に、光の属性の持ち主は使い手の少なさもあり、使い手は国に保護されるほど。

  そんな属性だけど、中には2つ持つ人物もいる。
  それが、多くの魔力量を有する、王族と大魔術師だ。

  だから、侯爵家の次男であるルシアンは王族でも無いのに火属性と風属性を持っている。
  これこそが、彼が大魔術師となる定めの何よりの証拠だと言える。

  また、魔力量の多い人の中には“スキル”という特殊能力が発現する人もいる。
  その力は様々で、属性とは関係の無い力。
  ルシアンが将来、大魔術師となるという予言をしたのも、予言のスキルという特殊能力を持つ魔術師の力によるものだ。


  なのに。
  私は全てにおいて“規格外”だった。
  なぜならば……


  私は、無属性では無い。その逆で全ての力が使える。
  ───つまり、全属性の持ち主だった。



  それに気付いたのは、10歳になる少し前。
  自分の魔力に目覚めてすぐだった。
  この時、無意識に発現する力で皆はだいたいの自分の属性を察する。
  そして、魔力測定と属性判定を受けて自分の属性が確定する事になる。


  だけど私は、火をおこし、水を汲み出し、さらには風を吹かせ、大地を芽吹かせた。

  (何これ?  どういう事?)

  これだけでも、尋常じゃないと分かる。
  そこでまさかと思った。
  残っているのは光と闇。

  光───生命力を高める力と言われている。
  庭に植えていた、苗は瞬く間に成長した。

  闇───癒しの力と言われている。
  痛いのは嫌だったけど、わざと軽い怪我をしてみた。
  ……癒せてしまった。

  (嘘でしょう!?)

  自分は人間じゃないのでは?
  そう疑いたくなるレベルだった。
  こんな事、もちろん両親には言えやしない。
  単なる町で商売をしているにすぎない平民の娘が全属性の力を持っているだなんて知られてしまったら……と怖くなった。
  こんな人外の力は王家や大魔術師のための力。私に備わる必要なんて無いのに!

  (隠さなくては)

  この時、本能でそう思った。

「フィーリーの力は何かしらねぇ?」
「楽しみだな」

  そう呑気に話す両親に嘘をつく事はとても心苦しかったけど、きっと、この事が露見する方が不味いだろうと、当時の私は思った。
  だけど、どうすればいい?
  当たり前の話だけど、測定されれば全て解ってしまう。
  私の測定日はすぐそこまで近付いていた。

  (とりあえず、具合悪いフリでもして一度目は測定を逃れるしかない)

  そんな決意をした時、自分の特殊能力に気が付いた。
  全属性だけでなく、特殊能力まであるの?
  と、頭を抱えたけれど、この特殊能力は私にとっての救いとなる。


  ───無効化


  私は、ありとあらゆる魔術の力を無効に出来る特殊能力を授かっていた。

  特殊能力がある事に気付いた時は、一瞬、気が遠くなったけれど、この力は使える。
  この力を利用すれば、私の属性を隠せるのでは?  そう思った。

  そしてその目論見は実際に上手くいった。
  魔力量の多さに関しては正直、どうする事も出来なかったけれど、属性を隠す事には成功した。
  それからの日々、私はこの無効化の力を使用して属性が不明の無属性のフリをして落ちこぼれとして過ごしている。
  多大な魔力量を有する私には、力を使い続ける事は全く苦では無いので困る事も無い。
  この力の事を誰かに知られる事の方が困るし怖かった。



*****



「……だいたい、フィーリーの力は何なんだ?  俺の鑑定も効かないなんておかしいだろう?」

  私の目の前でブツブツと文句を言っているルシアン。
  彼は、“鑑定”の特殊能力持ちだ。
  それも、鑑定の中でも最上位の鑑定スキル持ちらしい。さすが未来の大魔術師(予定)

  彼の手にかかれば、調べられない事なんて無いだろう。

  ───私の力以外は。

  鑑定能力は、自分より強い力を持つ者には効かないらしい。よって、ルシアンが私の鑑定が出来ないという事は……おそらくそういう事だ。

  (そのせいで、ルシアンが私をライバル視して来るというのもあるのよね……)

「私に力が無いからでしょう」
「いや……絶対に違う。絶対に理由がある!」
「……」

  本当に鋭すぎて困る。
  大魔術師になる予言を受けたのは伊達じゃないなと思う。

「……それより、ルシアンはいつ私に鑑定の力を使おうとしたの?」
「え?」
「学院内ではその力って禁止されていたわよね?」

  ルシアンは力が強いのでその分、制約が多い。大変だろうなぁとは思う。

「い、いや、決して、学院の中で使おうとしたわけでは……だ、だが……」
「……」

  急にアタフタし始めたルシアンの様子が可笑しくて私は思わず笑ってしまう。

「ふふ……」
「くっ!  何を笑ってるんだ、フィーリー!」
「だって、一生懸命言い訳しようとしているんだもの。可笑しくて」

  ……バレたら大変よ?  ルシアン。

「くっ……い、いいか、フィーリー!  俺は絶対にお前を解き明かしてみせるからな!  か、覚悟しろ!」
「……」

  この5年間、毎日聞いている相変わらずの宣言が今日も元気にルシアンの口から飛び出していた。

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