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大神くん編

後日談 大神くんは魔王になれない

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「何か探し物?」
 僕の家に遊びに来た江崎さんは、机やベッドの下をチラチラとうかがい、落ち着かない様子を見せていた。
 実家暮らしなので、あまり部屋に呼ぶことはないけど、初めてと言う訳でもない。
 いつもは自分の部屋のように寛いでいるのに、今日の江崎さんは明らかに様子がおかしかった。

「ごめん、黒歴史ノートはどこかなと思って」
「……」
 そう言えば、江崎さんがアレを思い出してから、部屋に呼ぶのは初めてかもしれない。
「ないよ」
「もう捨てちゃった?」
「黒歴史ノートって言うのは例えで、別にノートに纏めていた訳じゃない」
「そうなんだ。残念」
 江崎さんはそう言うと、僕のベッドに寝転がった。
「魔王がどんな人か、知りたかったんだけどなー」
「あっても、見せないからね」
「気持ちは分かるけど、大神くんの魔王、カッコよかったよ?」
 時折、江崎さんは魔王の方が好きなんじゃないかと思う時がある。

「僕が魔王になったら、もっと好きになってくれる?」
 ベッドに寝転ぶ江崎さんに覆いかぶさり、腕で囲むようにして見下ろすと、江崎さんは不思議そうな顔をした。
「……いつも、見せてもらってるよ?」
 江崎さんの返事に僕も不思議に思う。特に魔王になった覚えはない。
 江崎さんはいつも魔王を思い出していると言うことだろうか。


「私は魔王クバール=アインザーム……ごめん、やっぱムリだ」
 僕は恥ずかしさから、顔を江崎さんの胸に埋める。
 ほんの少しの嫉妬心から、魔王になろうと思った僕がバカだった。
 恥ずかし過ぎて顔が上げられない。
「大神くん?」
 江崎さんが優しく頭を撫でる。
「魔王な大神くんもカッコいいけど、私はいつもの大神くんが、大好きだよ」
 少しだけ顔を上げて江崎さんを覗き見ると、楽しそうに笑いながら僕を見つめていた。
 恥ずかしさを誤魔化すように、再び顔を江崎さんの胸に埋めてグリグリ擦り付ける。フカフカで気持ちがいい。
 僕は頭を撫でる江崎さんの手を退かすと、耳元でそっと囁いた。
「僕も、リンが大好きだ」
 
 
「ふっ……んっ……んんっ……」
 舌を絡ませるキスをすると、江崎さんは直ぐにその身体から力を抜いた。
 僕にしがみつくように抱きつき、懸命に舌を動かす姿に、僕の身体は痛い程反応してしまう。
「ああ、すぐに我慢できなくなる」
 耳に噛りつくようにそう言うと、江崎さんはビクリと身体を震わせた。
 あの時の事を思い出してから、江崎さんの反応は格段に良くなった。
「大神、くん……」
 熱を帯びた瞳で見つめられ、僕は服を脱がしながら首元や胸元、目につく所全てにキスをした。

「あ、んっ……」
 目の前に晒された江崎さんの胸を、じっと見つめながら揉みしだくと、あっという間に乳首が硬く立ち上がった。
「ふっ、あっ……んんっ……」
 硬くなった乳首を指の間に挟んだまま、大きく円を描くように胸を揉むと、江崎さんは腰を揺らした。
「リン、舐められるか、摘まれるか、どちらがいい?」
 硬い乳首に息を吹きかけるようにして問うと、江崎さんは身体をくねらせた。
「大神くんが……あうっ……したい方で、んんっ……いいよ……」
「リンは、どちらがいい?」
「ううっ……両方、して……あうっ……」
「リンは、欲張りだな」
 僕は笑いながら、江崎さんの乳首にかぶり付き、口の中で転がすと、反対の乳首を捏ねるように摘んだ。
「ああっ……んっ……あっ……ああっ……」
 身体をビクつかせながら反応する江崎さんが、堪らなく可愛い。
 暫くそうしていると、江崎さんは僕の物を求めるように、腰を擦りつけてきた。
「大神、くんっ……もうっ、あんっ……したい、ああっ……」
 縋るような瞳で見つめられ、僕の頬は喜びに緩む。

「そうだな、僕もしたい」
 僕はそう言いながら江崎さんのスカートとパンツを脱がしていく。
 恥ずかしいのか感じているのか、腰がヒクヒクと動いていて、とてもいやらしい。
 閉じられた足をグイッと大きく開くと、江崎さんのアソコは既に充分濡れていた。
「うっ……あっ……」
 見られただけで声を漏らす江崎さんには、もっといっぱい気持ちよくなって欲しい。
 僕は江崎さんのアソコに顔を近づけ、舌先だけで割れ目を舐め上げた。

「やっ……ダメっ……あっ、あっ……やあっ……」
 江崎さんは口でされるのをあまり好まない。その癖、すぐに快感に負けて、されるがままになる。
 ダメと言いながら、腰を押し付けてくる江崎さんが見たくて、僕は江崎さんを攻め続けた。
「やだあっ……ああっ……んんっ……やっ……」
 舌でクリトリスを突くと、江崎さんは面白いように身体を仰け反らせた。
「ダ、メ……やっ……いやあっ……」
 止めどなく溢れる蜜を、音をたてるように啜ると、江崎さんは口だけは激しく抵抗する。
 手で頭を押してどかそうとするけど、全然力が入っていない。
 むしろ抱え込んで、離さないようにしているように見える。
 尖らせた舌を抜き差ししながら、指でクリトリスを弄ると、僕の口に押し付けるように、江崎さんの腰がガクガクと揺れた。

「ああんっ……あっ……あああっ……」
 アソコから口を離して、快感に身体をくねらせる江崎さんを見下ろす。何度見ても、ゾクゾクする光景だ。
 我慢できなくなり、手早く服を脱ぐと、江崎さんがゆっくりと起き上がった。
 潤んだ瞳で、勃ちきった僕の物を見つめてから、江崎さんは口を開けて僕ににじり寄ってきた。
「私も、口でする……」
 舌を出して咥えようとする江崎さんには、すごくそそられるけど、僕はもう限界だった。
「ダメだ、もうこっちに挿れる」
 少し強引に江崎さんを押し倒すと、身体を押さえつけるようにして指を差し入れた。
 濡れきったそこは、すんなりと僕の指を受け入れ、イッたばかりだからか既にヒクついていた。
「リンも、その方がいいだろ?」
 グチュグチュと抜き差ししながら耳元で囁くと、江崎さんのアソコは痛い程キュウキュウ締まった。

「ずる、い……あっ……んっ……ああっ……」
「リン、可愛い」
「ああっ……あんっ……ああっ……」
「リン、愛してる」
 指で中をかき混ぜながら、耳を舐めて名前を呼ぶと、江崎さんはすぐにイッてしまった。
「ふっ……うっ……」
 グッタリする江崎さんを見ながら、僕はズボンのポケットからゴムを取り出すと、手早くつけた。
「なんで、そんな、ところに……」
「いつでもリンに、挿れられるように」
 僕はそう言って笑うと、江崎さんの中にゆっくりと入っていった。
 
「リン……」
「大神くん……」
 甘く名前を呼び合うと、僕は江崎さんにキスをした。
 溶けて混ざり合って一つになるような、幸せな錯覚に、思考が飛んでしまいそうになる。
「やっぱり……んっ……魔王な大神くんも、好き……」
 それは、もっと激しく攻めて欲しいと言うことなのか。
「あんっ……こう言う、時……ああっ……魔王みたいに、なるの……はあっ、気付いて、ないの?」
 途切れ途切れに告げられる言葉に首を傾げる。
「私にしか……見せちゃ、ダメだよ……」
 江崎さんがそんな事を言うのは珍しくて、嬉しさから腰の動きが早まる。
「リン、だけだ……」
 僕はそう呟くと、全てを注ぎ込むように、腰を打ちつけた。
 

「はあっ、まだ、足りない」
 江崎さんの上で脱力しながら呟くと、江崎さんは分かりやすく、ビクリと身体を強張らせた。
「誰か帰ってくるまで、あと何回できるかな」
 胸を揉みながら、家族の予定を考える。両親は仕事だからいいとして、弟はいつ帰ってくるか分からない。
「大神くん、今日は旅行の計画をたてようって、言ってたよね」
 そう言えばそうだった。
「しながら、考えよう」
「いや、もう決まったよ。一人旅に変更した」
「すみませんでした」
 僕は胸を揉むのを止めて、江崎さんの上から退いた。江崎さんの決断の早さと実行力を甘く見てはいけない。

「また今度、いっぱいしてね」
 江崎さんは僕に抱きつくと、そっと耳元で囁いた。
 すぐに離れてしまう江崎さんは、その行為がどれだけ男をその気にさせるのか、深く考えていない。
 魔王なら、今度と言わずすぐに押し倒して、朝まで離さない。
「やっぱり、僕は魔王にはなれないな」
 欲に溺れた熱っぽい瞳の江崎さんも好きだけど、僕はキラキラと輝く瞳の江崎さんの方が好きだ。
「何か言った?」
「旅行が楽しみだなって」
「うん」
「いっぱいしようね」
「うん?」 
 取り敢えず今日は、両方の江崎さんが見られるような、旅行の計画を練ろう。
「二日目は起きられないだろうから、泊まるところはしっかり選ばないと」
「大神くん?」
「すごく、楽しみだ」
 いつの間にか服を着てしまった江崎さんに、裸のまま抱きつくと、江崎さんはそっと背中に手を添えてから、ふふっと笑った。
「……そうだね、私も楽しみ」
 どんな僕でもあっさりと受け入れてしまう江崎さんが、堪らなく愛おしい。
「江崎さん、大好きだ」
「うん、まずは服を着ようか」
 いつまでも裸のまま抱きつく僕の腕を振り解き、江崎さんは旅行雑誌を読み出してしまう。
 僕は急いで服を着て、後ろから江崎さんを抱きしめた。
「江崎さん、大好きだ」
「言い直さなくていいのに……私も、大好きだよ」
 服を着た僕の腕は、もう振り解かれることはなかった。
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