父は異世界で魔王してます。

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父とアルフレッドと私

疲れた

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大学の校舎を巡り、近くの喫茶店に入る。

友人に会うかもと、違う場所に行きたかったが、アルフレッドがここがいいと店に連れ込まれた。

2階の窓辺の席に座り、お互いコーヒーを頼んだ。
カップに口をつけながら、外を見る。

そこからは、大学の正門から入る学生達が見えた。

「ここからなら、美咲が大学に通うのが見えますね。」

そうなんだけど、確かにいつも正門から入ってるけど……何かたくらんでる??
物凄く微笑んでる。

他の席に座っている女性人の視線も怖いけど…

「次は何処を案内してくれますか?いつも帰りはどの道で?寄り道とかは?」
「アルフレッドの行きたい所に行きましょう。どこが良いですか?公園?図書館?それとも??」

魔族が何処を好むのかは知らないけど、父さんはよく公園とか図書館とか、あと水族館や植物園が好きで出かけてたから、そういう所しか浮かばない…

母さんと出かけてるのもあるけど……

「私の行きたい所は美咲がよく行く場所ですよ。だめですか?」

アルフレッドに顔を覗き込まれた。
イケメンは何をしてでもカッコいい。
向こうの席の女性人がキャッキャウフフと楽しんでますよ。

私は恥ずかしい…

「だめではないけど……」
そう言うのが精一杯だった。

父さんが母さんをエスコートしてるのは何度も見たことがあるが、まさか私がされるとは…

アルフレッドの紳士的対応で、たじたじになりながら、いつも行く店や、バイト先など案内して自宅に戻る。
周りの反響がすごくて、いつも以上に疲れた。

店の出入口には女性人がたむろして、まるでアイドルの追っかけみたいだった。

花屋の女性店主も、キラキラした視線でサービスしてくれるし、いつも行く洋菓子店でも、女性スタッフがよってくるし…

それをスマートに対応していくから、思わず離れて逃げようとしてしまった。(捕まったけど)

「私を置いて何処に行こうとしてるのですか?」
と、腰に手を回されたり、手をしっかり繋がれたり、肩を抱かれたりして逃げれなかった……

時折、何かを考えているふうにも見えたけど、よくわからない。だって恥ずかしいのが勝ってしまったんだから……

自宅にかえり、疲れたからと、自室にこもる。アルフレッドが心配して、入ってこようとしたけど、そこはお断りした。
「女性の部屋だから…」と言って
しぶしぶ諦めてくれたみたいだけど……

今後は父が相手をしたら良いと思うのよね。
私も学校があるから…

よし、明日はそう言って逃げ切ろう!!
そう固く決意した。

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