オメガ転生。

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学園生活

そんな事が(…)

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「これはいったいどう言う事だ!!」

神殿の奥深くに描かれた魔法陣は、一瞬光り輝き稼働したが、目的の者は現れなかった。
本来は、ここにあの少年が現れるはずだった。

神殿側と貴族側、そして皇族の極一部で、かの家に圧をかけ、あの少年をこちら側に引き渡して貰う手筈をしていた。

あの男が番いとして求め、自分のそばに置き、人生を共にする。
そして、国に対しては、長年勤めてきたのだからと、引き継ぎをし、後継に後を委ねると宣言していた。

あの男がこの国宰相として護り、導いていたから護れていたことも多い。
そして、今まで誰にもなびかず、独り身であったあの美しい…
男性ではあるが、妖艶で美しく、しかも強い…
誰しもが憧れ、側に居たいと求めていた事もあった。

あまりにも靡かないから、誰のものにもならないなら…そう思っていた者も多い。
かく言う自分もその1人であった。
神殿に仕えるとはいへ、人である自分は…勿論欲もある。
人にはわからないように誤魔化してはきたが…

あの少年を引き離し、消し去りたかった。消してしまえば、あの人はどうするだろうか…
自分を恨み、憎しみの目で見るのだろうか…
例えそれでも、あの人の心に自分が刻まれるのなら…そうも考えた。

密かに手を回し、好色の者の手に落とすよう、密かに手を回した事もある。
失敗したが…
色々画策しても上手くいかず、結果的に周りを巻き込み、神殿側に引き渡してもらい、聖職者として囲い込む予定とした。実際は聖職者の修行用に利用しようと考えていたのだ。
公にはしてはいないが、神力を高めるために考案されたとされている修行方法用に…
そして、それによって子を成したのならば、優秀なアルファが生まれ、神殿においても最高の功績となると…

まずは自分が…
そう思い待っていたのだが…

「どこかで別の力が働いたのか?」

側に控える者達に指示する。

「速やかに探し出し、極秘で連れてくるように。失敗は許されません!」

側に控える者達は、すぐさま姿を消した。

「絶対に見つけ出す。そして……彼の方をこの国に…」

そう呟き、光が消えた魔法陣を後に部屋を出て行った。
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