兄様達の愛が止まりません!

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悪役令嬢回避

希望(ギルベルト)

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俺に抱きしめられていた妹のレインは、「私達の側にいた侍女達は、見えたままみたいだ。」と呟いていた。その後、自分に納得させるように「そうそう、確か、一度見え出したら、その場にいる妖精達だけ、その時だけ見えるって本に書いてあったんだ。一時的なんだとか…」とも呟いていた。
レイン達の側にいた者達は、今も見えているようだ。侍女達も騎士達もだ。

確か、屋敷の書庫にそのような事が書かれていたものがあった。レイン達から話を聞いて、何かないかと探していた時に見つけて読んだんだ。まさかと思ったけれど、それが実際に体験できるとは…。
俺とアシュも、エルとレインのおかげで見ることができていた。
少し鬱陶しいぐらいに、二人の側を嬉しそうに飛び交っているが…。

まだ背後にしている湖のものは大暴れ中だし、そっちに集中する必要性がある。
さて、どうするか…。

すると、目の前に見えていた触手は、飛び交う妖精を湖に引き込んだりしていたんだ。
これをエルとレインは見ていたのか。
で、指をさしていた…。

エルとレインが言うことが正しいなら、直ぐに魔法を使う必要性があるがある。
何せ、目の前の妖精達は、引き込まれる者もいれば、触手にぶつかって飛んでいく者もいるんだ。
飛んでいっても…まぁ無事なようだが…
直ぐに引き返す様に飛んできているからな…。

それよりもだ、水飛沫もひどくなり出したし、色々な物が飛んできそうだ。

「父様達にも見える様に…」
「そうね…」

エルとレインが考え出したことは、間違いではないが…ないんだが…させたくないんだ!!
俺達にした事と同じ事を、父上やレイ、他の騎士達にしようとする事は…許せない。
よって、俺と弟は、二人を羽交い締めするように捕まえたんだ。

僕が持っている物を使えば、多分上手く行くはずだから。

「エル達が手を握らなくても大丈夫。良いものがある。」

そう言って、俺は持っている魔道具に魔力を流して作動させたんだ。
この魔道具は、魔力感知ができるもので、他者との共有・共鳴もできる優れものだ。

昔、叔父が「上手くできたから、プレゼントするよ。誕生日プレゼント。」と言って渡してくれたものだ。
当時の小さかった俺のために、使いやすいようにと、工夫されていた代物。
亡くなった叔父は研究熱心だったんだ。伯爵として領地経営もしながら、「仕事は仕事。趣味は趣味」と言って作業場まで作っていた。もうないかもしれないけれど…。

そうだ、別物として、懐中時計にもその機能をつけてみようか。少し工夫したらできそうだし。弟も多分欲しがるだろうから、一緒に考えるのもいいかも知れない。
実は、あの廃墟から叔父の研究ノートが見つかったらしいんだ。父上にお願いすれば、見せてもらえて、参考にもできるだろう。父上にとっては可愛い弟の遺品の一つであるから、丁寧に扱わないと怒られるだろうがな。もっとも雑に扱うなんてあり得ないけれど…。

ふぅ~。僕が持っているこれは、一定範囲にはなるが、今いる者達ぐらいなら余裕で情報共有できる。視覚や聴覚といったものに対してもそうだけれども、今見えている精神体とも言える妖精達ぐらいはな。視覚が共有できれば見えるそ、聴覚が可能なら共鳴もだ。まぁ、見る事ができれば十分だろう。ただし、一度作動させてできるのは、この場限りだけれどもな。
しかも、そんなに長時間の共有はできないんだ。ここも調整したらきっと…。

発動が成功したおかげか、父上達も一瞬驚き、直ぐに納得したようだ。

「兄様、あの触手が見えてますよね。あれは、この湖の主らしいんです。」
「兄様、あの主様は、いつもは奥の方に住んでるらしいの。この湖を守ってくれてるらしいの。」

エルとレインが僕達に訴えてきたんだ。
それを駆けつけた父様とレイ、エレイン達や護衛の者達が武器を持ったまま聞いていた。

触手の被害はこっちにはまだ…

あっ、触手にぶつかって飛んできたのか、魚が飛んで来るな。

「危ないな!」と言うと同時に弟は魔法を展開させた。
魔法で氷の壁を築き上げて、防ぐようにしたようだ。
氷であるから、向こうが見える。
急ぎでしたから、透明度は…このぐらいなら十分だ。

しかも、俺と同じで、しっかりと大切な者は確保している。
エルはアシュの腕の中にすっぽり入っていた。
エルは一瞬驚いたようだけど、耳まで真っ赤にして大人しくしているようだ。
俺の腕の中にはレインがしっかりとおさまっている。
こんな状況でなければ、しっかりと観察してたのだが…。
しかし鬱陶しいな…。湖ごと凍らせてもらうか?

俺はレインを抱き上げて、目の前に飛んで来たもの全てを得意な火魔法で燃やし尽くしてた。
真っ黒に焼けた魚などは、ことごとく消し炭になってしまっていた。
イライラが溜まりすぎて、八つ当たりだ。自分たちの身を守るためだと誤魔化してしまうか…。

魚が悪いわけではないけれどな…

それよりもだ。

「兄様、あの主様、兄様達が使っていた疑似餌を間違って食べてしまったのかもしれないの。」
「兄様、それで痛くて暴れてるのかもしれないから、どうにかしてあげて欲しい。妖精達も心配して近づいたら、あんな感じになってるみたいで…」

そう言ってエルとレインが暴れる触手の方に指差して示したんだ。
そこで、ふと思いあたる事がある。
「そういえば…」と呟いて、魔法を展開させた。
そんな特別なものではないが、範囲はかなり広いから、結構魔力を持っていかれそうだが、まぁ大丈夫だろう。

その間、アシュに守りの補助に徹してもらった。
協働魔法。エルとレインは、アシュが魔法で作った氷の壁の背後にいる。
直ぐにエレインが近づき側にいるから大丈夫だと判断した。

すると…

切れた糸がついた疑似餌がぽとって俺の側に落ちた。
落ちたのは二つ。

で…
バシャバシャと大きな水飛沫をあげて暴れていた触手は、徐々に落ち着いて…
飛び回る妖精とまるで会話をするように触れ合って、水の中に消えていったんだ。
その様子は神秘的にも思えたんだ。

湖の水面も落ち着き、アシュと護衛の騎士達とで、生きている魚達を魔法で湖に帰しいく。
魚にとっては、人の肌の熱は、長く触れると火傷するのと同じだと聞いたことがある。火傷を負う感覚は魚側だ。
で、この対処法だ。こうすると、魔法って便利だと思うよ。
そんな事を考えていたら、湖は美しい景色をかもしだしていた。

「原因はこの疑似餌か。主が餌だと勘違いして喰いついて切れたんだろう。で、暴れた…。」

俺が落ちた疑似餌を拾って、そう呟いていた。

「まだ釣りを楽しんでいる者もいたから、回収していなかったんだ。最後にまとめて回収することが多くてね…今度からは、切れた後はこまめに回収した方がいいかもしれない。」
「そうですね…」

アシュと共に、その事を父様達に伝えた。
エルとレインは俺達の腕の中に確保中だ。
いつ抱き上げたのか、エルは考え事に夢中で気が付かなかったようだ。

思わずハッとして気がついたようで、アシュがにこやかに笑って見せていた。
レインはそんなエルの姿を見て、アシュに抱き上げられたままの姿だけど、笑ってた。

そうだ、もう一つ大切な事が…

エルとエレインが下ろして欲しいと訴えて来るから、俺達は仕方なく下ろしたんだ。
多いに残念だけど…。

そこで、さっきのふわふわと飛び回っていた妖精に声をかけていた。
エルの側に飛んでいっていたから、聞きたい事があったんだろうか?
なぜか妖精達はエルとレインに懐いているようにも見えた。
特にエルにだ。あの時捕らえていたからだろうか?
レインの方にも妖精が集まっていた。

妖精との会話は短めにしようとしているようだが…。

余りにも馴れ馴れしい態度で、ついついイラついてしまう。
妖精に嫉妬してるんだ。僕は…。

俺達の視線に気がついたのか、少しビクビクした感じで会話をしている。
聞きたい事があるのは…理解できている。多分、今後起こりうることに対して、同族であるから助言をもらえればと言った感じだろう。

一瞬消えたかと思えば、また姿を現したんだ。
何やっているのか…
気になる…。

やっと終わったのか、今度こそ飛び交って消えた光。
それは幻想的で綺麗だった…けれどだ…。

「兄様、お伝えしなければいけない重大な事が…」
「あぁ、レインを庇うように蔓が伸びていた件か?」
「そうです。そうですけど…」

「ちょっとだけ待ってね。」と言うと、直ぐに父様に伝えに行く。
レイは父様の指示での行動か、既に緘口令を出して、しかも、契約魔法までしていた。
これだけの人数といっても、護衛と一部の侍従と侍女だから、十人ぐらい。レイとエレインを退けてだけど…だから、直ぐなんだろう。皆素直に頷き対応していた。
父上には、今回のような事がないよう、釣りの際には切れたら直ぐに魔法で回収する事から始まり、エルの魔法発動、妖精の事で気になる事があるなどを伝えたんだ。

父上と俺はレイン達がいる所に戻る。

「お待たせ。エルとレイン。ここでは何だから、屋敷に戻って父様達とお話ししよう。屋敷で少し休んでからでもいいけれどね。時間は作るし、大丈夫だよ。」

「はい。とても大切な事なので、お時間ください。」
「絶対にお伝えしないといけない事だから。お時間ください。」

「わかった。」

そう言って、父上はエルとレインをひょいと同時に抱き上げたんだ。
俺たちの隙をついて…。

「うん、あの時よりも大きくなっている。よかった。」

そう言って笑っていた。

「父上、エドを降ろしてください。」
「父上、レインを降ろしてください。」

そう言って俺達は抗議した。父上の気持ちもわかるが、それでも嫌なものは嫌なんだ。
心が狭いと言われるかもしれないが、そんな事は関係ない!!

「良いじゃないか。いつもお前達が抱っこしてるんだ。父様だって、この可愛らしい我が子を抱っこしたいよ。お前達も可愛い我が子だけど、少し大きくなってるから、抱き上げさせてくれないし…」

そう言って、ニコニコ笑顔だ。

エル達は思わず父上と俺達の顔を交互に見てしまったようだった。

「母様には騒動のお話はしない方がいいかなぁ。心配したらいけないからね。」

父上はウインクしながらそう言われたんだ。
確かにこの事件を聞けば母上はかなり驚くだろう。妊娠中であるから、あまり刺激の強い話はどうかと思うが…でも、内緒にしたらしたらで、後でバレたら怖い気が…

「父様の方からちょっとだけ、お話ししておくよ。」

「その件はお願いします。」
「確かに、母上なら怒ると思いますので、よろしくお願いします。」

そう言って父上にお任せすることにした。それ以外にも大人としての仕事もあるだろうし…

「「父様、お願いします。」」

エル達も、二人揃ってお願いしていた。

父上は、「任せて!」といい笑顔で言っていた。
ちょうど「帰る準備ができたと」レイが伝えに来たのとほぼ同じでだ。

父上や俺達はいつも通り口笛を吹く。そうすると愛馬達は側に駆けて来た。
近くで草を食べたりしてたのだろうがな。来るのが早かったから。

そして、行きと同じように、俺の前にはレインを乗せて支えながら騎乗して屋敷に帰って行ったんだ。
途中でレインはうとうとしだした。向こうではエルが…もう寝てるな。アシュが愛おしそうに支えてる。
アシュがあんなに執着するとは…
そう言えば、この子達が生まれた時に会いに行って…、あの時もあんな顔をしていたか…。

あの時以外では、魔法に関して以外はあまり興味を示していなかったと思う。
俺が知らないだけかもしれないけれど。

あれだけの魔力をこの小さな体で使ったんだ。眠くもなるだろう。
こっちも…。
ふっと笑い、しっかりと支え直す。

「支えているから大丈夫。絶対に落とさないから、おやすみ…」

極力優しく聞こえるように気をつける。
俺の愛しい者は、夢の世界に落ちていったんだ。
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