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19龍の習性 Sideイスベルク
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使用人たちが遠巻きで見てる中。俺が直接ルミエールを客間に案内する。先ぶれの手紙は出していたはずなのに。ルミエールに対しての周りの態度がなってないぞ。グラソンめ、どんな教育をしてるのだ。
苛立ち気味でいると僕は大丈夫だから後でねと見送る笑顔が可愛い。使用人たちの手前、威厳のある態度を見せないといけなくて頷くだけにするのがツライ。抱きしめて頬ずりだけでもすればよかった。
「父上お待たせしました」
二人きりで話しをするのは何年ぶりだろうか?普段は皇帝陛下として接することが多く宰相のグラソンや俺の護衛のユージナルや父の護衛など周りに人がいることが多い。人払いをした部屋で向かい合って座るなんて本当に久しぶりだ。
「呼び出して悪いが、イスベルク。お前に伝えておくことがある」
「はい」
「龍というのは執着心が強い。お前はなかなかその傾向がでなかったのでな。いつ伝えるべきかと迷っておったのじゃ」
「執着心ですか?」
「特に番に関してはな。会った瞬間に惹かれ、目が離せなくなり、囲いたくなったりするのじゃよ。心当たりはあるだろう?」
「番……ではルミエールが俺の……」
「くくく。やはりか。龍の習性でな、番を自分のテリトリーに連れて帰って囲いたくなるのじゃよ」
そうだったのか。だからあんなにも早く連れて帰りたいと思っていたのか。
「思ったよりも早くに見つけることが出来たのじゃな。まずはおめでとうと言わせてもらおう」
「あ、ありがとうございます!」
「さて、ここからが本題じゃ。お前も知っての通り、竜人と竜人族の違いは龍になれるかなれないかだ。わしのチカラをかなり強く受け継いだお前はわずか12歳でその力を扱いだした」
「ええ。城をぶち壊したのを覚えてます」
「あ~、あの時はさすがに驚いたぞ。本来はそのチカラは成人の儀前後に現れるものなのだ」
また成人の儀か。以前から言われてる成人の儀とは大人になる事かと思っていたがそうではないのか?
「なぜかお前には早くからそのチカラが現れてしまった。そのためそれに追いつくように体も急に成長したのだ。だがな、龍になれない体でいつまでもこのチカラを使いすぎるのは危険なのじゃ。すでにお前は7年も使っておる。そろそろ支障が出るのではないかと心配しておった」
「俺の身体に支障が?」
そういえば炎の国についたときにめまいがしていたがあれは魔力の使い過ぎではなかったのか?
「ああ。このままだと寿命がのびないどころか縮まる可能性が高い」
「だからグラソンはしつこく俺に言っていたのか」
「そうじゃな。だがあやつも詳細は知らんのだ。成人の儀とは龍になると言う事じゃ。何がきっかけでなれるのかは本人しだいなのだ」
「……本人次第……」
「そうじゃ。ある者は鍛錬を極めた時に、ある者は目覚めた途端に。わしは国を守るために戦った時だった。規則性がないのじゃ」
「俺は別に竜人族でいても良いと思っているのですが」
「それは後継を弟のフラウに譲ると言う事か?」
「はい」
「はぁ。お前ってやつは。フラウはまだ7歳じゃ。もう少し考えてくれ」
父上の目が細くなる。縦に開かれる虹彩は龍の目だ。怒らせたか?
「もちろん。すぐに退くことはしません」
「そうか。後継よりも今は婚儀が先だしな」
表情が和らいでくれた。後継の話は難航しそうだが今すぐしないといけない問題ではない。
「ちなみに……。龍になることができれば性別に関係なく相手を孕ませることは出来るぞ」
「え?……孕ませる?え?」
「ああ。わしらは男性、女性関係なく番となる者に惹かれるからな」
「そ、そうなのか。では俺がルミエールに惹かれても何もおかしくはないのですね」
「当たり前じゃ。子供は可愛いぞ。わしはルミエールに似た女の子とか見てみたいとは思うぞ」
子供?俺とルミエールの?それは可愛いに違いない!世界一可愛いだろう!
「だが無理はいかんぞ。執着しすぎて番を壊してしまってはならん。真綿でくるむ様に大事大事にしてやらねば。愛情深く、そして時には思慮深く、守ってやるのだ」
「はい。肝に銘じます!」
「ところで、お前ルミエールの気持ちはちゃんと確認してるのだろうな」
「え?……気もちですか?」
「ああ。一方的ではあるまいな。相手の恋愛感情も確かめているのか?なにやらゴタゴタのうちに結婚するつもりだったわけじゃないよな?」
「……ぐ……それは」
「やはりか。お前な、相手はヒトだぞ。それも王子だ。閨教育は済んでいるのか?竜人族の話はしたのか?お前まさかと思うがすでにむりやり……」
ううう。痛いところをつかれた。とにかく手に入れたくて焦ったことは認める。
「してません。まだです!まだ手はだしていません!」
「ならばこの機会に。落ち着いてからでよいのでじっくり二人で話し合ってみるんだな」
俺たちはまだ恋愛的な意味で二人きりになったことすらないと言ったら父上はどんな顔をするだろう。
「では、そろそろ晩餐会の準備もできただろう。ルミエールを会場に連れてきなさい」
「はい。呼んでまいります」
苛立ち気味でいると僕は大丈夫だから後でねと見送る笑顔が可愛い。使用人たちの手前、威厳のある態度を見せないといけなくて頷くだけにするのがツライ。抱きしめて頬ずりだけでもすればよかった。
「父上お待たせしました」
二人きりで話しをするのは何年ぶりだろうか?普段は皇帝陛下として接することが多く宰相のグラソンや俺の護衛のユージナルや父の護衛など周りに人がいることが多い。人払いをした部屋で向かい合って座るなんて本当に久しぶりだ。
「呼び出して悪いが、イスベルク。お前に伝えておくことがある」
「はい」
「龍というのは執着心が強い。お前はなかなかその傾向がでなかったのでな。いつ伝えるべきかと迷っておったのじゃ」
「執着心ですか?」
「特に番に関してはな。会った瞬間に惹かれ、目が離せなくなり、囲いたくなったりするのじゃよ。心当たりはあるだろう?」
「番……ではルミエールが俺の……」
「くくく。やはりか。龍の習性でな、番を自分のテリトリーに連れて帰って囲いたくなるのじゃよ」
そうだったのか。だからあんなにも早く連れて帰りたいと思っていたのか。
「思ったよりも早くに見つけることが出来たのじゃな。まずはおめでとうと言わせてもらおう」
「あ、ありがとうございます!」
「さて、ここからが本題じゃ。お前も知っての通り、竜人と竜人族の違いは龍になれるかなれないかだ。わしのチカラをかなり強く受け継いだお前はわずか12歳でその力を扱いだした」
「ええ。城をぶち壊したのを覚えてます」
「あ~、あの時はさすがに驚いたぞ。本来はそのチカラは成人の儀前後に現れるものなのだ」
また成人の儀か。以前から言われてる成人の儀とは大人になる事かと思っていたがそうではないのか?
「なぜかお前には早くからそのチカラが現れてしまった。そのためそれに追いつくように体も急に成長したのだ。だがな、龍になれない体でいつまでもこのチカラを使いすぎるのは危険なのじゃ。すでにお前は7年も使っておる。そろそろ支障が出るのではないかと心配しておった」
「俺の身体に支障が?」
そういえば炎の国についたときにめまいがしていたがあれは魔力の使い過ぎではなかったのか?
「ああ。このままだと寿命がのびないどころか縮まる可能性が高い」
「だからグラソンはしつこく俺に言っていたのか」
「そうじゃな。だがあやつも詳細は知らんのだ。成人の儀とは龍になると言う事じゃ。何がきっかけでなれるのかは本人しだいなのだ」
「……本人次第……」
「そうじゃ。ある者は鍛錬を極めた時に、ある者は目覚めた途端に。わしは国を守るために戦った時だった。規則性がないのじゃ」
「俺は別に竜人族でいても良いと思っているのですが」
「それは後継を弟のフラウに譲ると言う事か?」
「はい」
「はぁ。お前ってやつは。フラウはまだ7歳じゃ。もう少し考えてくれ」
父上の目が細くなる。縦に開かれる虹彩は龍の目だ。怒らせたか?
「もちろん。すぐに退くことはしません」
「そうか。後継よりも今は婚儀が先だしな」
表情が和らいでくれた。後継の話は難航しそうだが今すぐしないといけない問題ではない。
「ちなみに……。龍になることができれば性別に関係なく相手を孕ませることは出来るぞ」
「え?……孕ませる?え?」
「ああ。わしらは男性、女性関係なく番となる者に惹かれるからな」
「そ、そうなのか。では俺がルミエールに惹かれても何もおかしくはないのですね」
「当たり前じゃ。子供は可愛いぞ。わしはルミエールに似た女の子とか見てみたいとは思うぞ」
子供?俺とルミエールの?それは可愛いに違いない!世界一可愛いだろう!
「だが無理はいかんぞ。執着しすぎて番を壊してしまってはならん。真綿でくるむ様に大事大事にしてやらねば。愛情深く、そして時には思慮深く、守ってやるのだ」
「はい。肝に銘じます!」
「ところで、お前ルミエールの気持ちはちゃんと確認してるのだろうな」
「え?……気もちですか?」
「ああ。一方的ではあるまいな。相手の恋愛感情も確かめているのか?なにやらゴタゴタのうちに結婚するつもりだったわけじゃないよな?」
「……ぐ……それは」
「やはりか。お前な、相手はヒトだぞ。それも王子だ。閨教育は済んでいるのか?竜人族の話はしたのか?お前まさかと思うがすでにむりやり……」
ううう。痛いところをつかれた。とにかく手に入れたくて焦ったことは認める。
「してません。まだです!まだ手はだしていません!」
「ならばこの機会に。落ち着いてからでよいのでじっくり二人で話し合ってみるんだな」
俺たちはまだ恋愛的な意味で二人きりになったことすらないと言ったら父上はどんな顔をするだろう。
「では、そろそろ晩餐会の準備もできただろう。ルミエールを会場に連れてきなさい」
「はい。呼んでまいります」
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