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6 暑くるしくて面倒な国 sideイスベルク
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うだるような暑さ。息をすると熱風が鼻や口から入ってくる。これが熱砂か。
「あっちぃ。うげぇ。暑い~」
「黙れ! 俺まで暑くなる!」
あの後すぐ俺とユージナルは宰相であるグラソンの目を盗む様に国を出た。そこまでは良かった。だが南に南下するにつれてこれほど気温が上昇していくとは。そんなことまで考えてはなかった。鍛えてあるので体力的には問題はないのだが、この暑さには精神的に参った。
「いやあ、俺たち北の者にはこの暑さはちぃっと堪えますよね」
「ふん。俺は何ともないぞ。お前の鍛え方がわるいんじゃないのか?」
「いや、イスベルク様だって汗だくじゃないですか!」
まったく、こんなに暑いとは思ってなかった。砂漠に入ってからは俺は早々と氷魔法を展開させた。進行方向に氷の壁を作りながら進んで行くと涼しい風が身体の周りに集まってくる。
「いやあ。こんな長時間同じ魔法を発動し続けるなんてさすがイスベルク様」
先ほどとは違いユージナルがにこにことしている。いや、口には決して出さないがこれ結構辛いんだが?お前わかってるのか?
「そろそろ変わってやってもいいんだぜ。ここから先はお前が魔法を展開させるか?」
「いや。俺は護衛のほうに力を使いたいんで。移動の間はよろしくお願いします」
こいつ、言い切ったな。まあ景色が変わってきたからもう少しこのままでいてやろう。
砂漠を抜けると色鮮やかな宮殿と南国の植物が目に入ってきた。葉っぱが広くてデカイものが多い。花々の色もカラフルで目がチカチカする。食べ物も違うようでスパイシーな香りが充満していた。行きかう人々も褐色の肌に赤やオレンジの髪の者が多い。異国に来たと実感できた。
「にぎやか過ぎて目が痛いぞ」
「俺も始めて見るものが多いです」
その日は街の様子を堪能し夜は宿屋でユージナルと軽く飲んで眠りについた。
ところが、朝になると城からの使いの者がやってきたのだ。城へと招待するという。晩餐会への招待状も携えていた。どうやら俺たちは目立っていたようだ。風魔法を身体に巡りあわせていたから頭にターバンも巻かずにいた。というか忘れていた。
「そうでしょうね。肌の色と髪の色が違いすぎる」
「それにしてもよく俺の事が分かったな」
「そりゃ、吹雪だしてたからじゃないですか?」
そういえば暑かったから食事のときに少し。ほんの少しだけ吹雪かせたな。
「真顔であんな技とか出すから冷酷王子とかよばれるんですよ。ここって炎の国だし」
「暑いのだから仕方がないだろ」
「あ~。ひらき直らないで下さいよ~」
「とにかく、公式行事で来てるんじゃないんだ。面倒なことは嫌いだ。お忍びということで断ってくれ」
しかし使いの者は一歩も引かず。追い返してもすぐにまた倍の人数でやってくる。とうとう宿屋の主人が土下座をして謝ってきた。
「申し訳ございません。そんな高貴な方とは思いもせず、どうぞお城の招待を無下にしないでください。あたしが丸焼きにされてしまいますっ。お慈悲をとお思いでしたらどうかどうかお城に行ってくださいませ」
仕方なく俺とユージナルが城に向かうとあっという間に人だかりとなった。門番は? 兵はどにいるんだ?
「わあ。綺麗なお客様だねえ」
「ええ? もう来られたのかい? まだ用意はできてないよ」
まるで俺たちが来るのがすでに決まってたような口ぶりが癇に障る。
「身にまとわれているのはミスリルじゃないのか?」
ミスリルの事を知っていたのか。ミスリルは魔法効果を高めることが出来る鉱物だ。俺の衣装には細かく砕かれたミスリルがふんだんに使われている。北の国ではミスリルだけでなく貴重な鉱物がたくさん取れるのだ。
城に入った途端から魔力が滞るような感覚がした。急に旅の疲れが出たような感覚がする。ここ数日無理しすぎたか? 軽くめまいがした。
「イスベルク様がふらつくなんて。少し休んだ方が良いですね」
お前のせいじゃないのか?きっとそうだ。最後まで氷魔法交代しなかったろうが。
「おい。イスベルク様と俺は少し休ませてもらうぞ。晩餐会の時に謁見させてもらう。先に部屋を教えろ」
ユージナルが使用人を捕まえて問いただす。
「は、はい。ですが、まだお部屋がご用意できておりません。しばしお待ちを」
「待てない。寝る場所があればよいのだ。空いてる部屋はないのか」
「で、では二階の……い、一番奥の客間が開いております。そちらの階段を上がってくださいませ」
「わかった。しばらくは立ち入りを禁ずる。用があればこちらから出向く。城の者達にはそう伝えろ」
「は、はい!」
速足で階段を登るとといきなり業火がこちらに飛んできた。刺客か?階段なんて狙い撃ちの的になるような場所じゃないか。まさか罠だったのか?
咄嗟に魔法を展開したユージナルの氷の壁に炎はかき消される。だがその反動で俺の身体が傾いた。
「ダメだ! 危ないっ」
階段から踏み外しそうになった身体を押し戻されたと思った瞬間、少年が俺の目の前で落ちていくのが見えた。
「うそだろ……」
「あっちぃ。うげぇ。暑い~」
「黙れ! 俺まで暑くなる!」
あの後すぐ俺とユージナルは宰相であるグラソンの目を盗む様に国を出た。そこまでは良かった。だが南に南下するにつれてこれほど気温が上昇していくとは。そんなことまで考えてはなかった。鍛えてあるので体力的には問題はないのだが、この暑さには精神的に参った。
「いやあ、俺たち北の者にはこの暑さはちぃっと堪えますよね」
「ふん。俺は何ともないぞ。お前の鍛え方がわるいんじゃないのか?」
「いや、イスベルク様だって汗だくじゃないですか!」
まったく、こんなに暑いとは思ってなかった。砂漠に入ってからは俺は早々と氷魔法を展開させた。進行方向に氷の壁を作りながら進んで行くと涼しい風が身体の周りに集まってくる。
「いやあ。こんな長時間同じ魔法を発動し続けるなんてさすがイスベルク様」
先ほどとは違いユージナルがにこにことしている。いや、口には決して出さないがこれ結構辛いんだが?お前わかってるのか?
「そろそろ変わってやってもいいんだぜ。ここから先はお前が魔法を展開させるか?」
「いや。俺は護衛のほうに力を使いたいんで。移動の間はよろしくお願いします」
こいつ、言い切ったな。まあ景色が変わってきたからもう少しこのままでいてやろう。
砂漠を抜けると色鮮やかな宮殿と南国の植物が目に入ってきた。葉っぱが広くてデカイものが多い。花々の色もカラフルで目がチカチカする。食べ物も違うようでスパイシーな香りが充満していた。行きかう人々も褐色の肌に赤やオレンジの髪の者が多い。異国に来たと実感できた。
「にぎやか過ぎて目が痛いぞ」
「俺も始めて見るものが多いです」
その日は街の様子を堪能し夜は宿屋でユージナルと軽く飲んで眠りについた。
ところが、朝になると城からの使いの者がやってきたのだ。城へと招待するという。晩餐会への招待状も携えていた。どうやら俺たちは目立っていたようだ。風魔法を身体に巡りあわせていたから頭にターバンも巻かずにいた。というか忘れていた。
「そうでしょうね。肌の色と髪の色が違いすぎる」
「それにしてもよく俺の事が分かったな」
「そりゃ、吹雪だしてたからじゃないですか?」
そういえば暑かったから食事のときに少し。ほんの少しだけ吹雪かせたな。
「真顔であんな技とか出すから冷酷王子とかよばれるんですよ。ここって炎の国だし」
「暑いのだから仕方がないだろ」
「あ~。ひらき直らないで下さいよ~」
「とにかく、公式行事で来てるんじゃないんだ。面倒なことは嫌いだ。お忍びということで断ってくれ」
しかし使いの者は一歩も引かず。追い返してもすぐにまた倍の人数でやってくる。とうとう宿屋の主人が土下座をして謝ってきた。
「申し訳ございません。そんな高貴な方とは思いもせず、どうぞお城の招待を無下にしないでください。あたしが丸焼きにされてしまいますっ。お慈悲をとお思いでしたらどうかどうかお城に行ってくださいませ」
仕方なく俺とユージナルが城に向かうとあっという間に人だかりとなった。門番は? 兵はどにいるんだ?
「わあ。綺麗なお客様だねえ」
「ええ? もう来られたのかい? まだ用意はできてないよ」
まるで俺たちが来るのがすでに決まってたような口ぶりが癇に障る。
「身にまとわれているのはミスリルじゃないのか?」
ミスリルの事を知っていたのか。ミスリルは魔法効果を高めることが出来る鉱物だ。俺の衣装には細かく砕かれたミスリルがふんだんに使われている。北の国ではミスリルだけでなく貴重な鉱物がたくさん取れるのだ。
城に入った途端から魔力が滞るような感覚がした。急に旅の疲れが出たような感覚がする。ここ数日無理しすぎたか? 軽くめまいがした。
「イスベルク様がふらつくなんて。少し休んだ方が良いですね」
お前のせいじゃないのか?きっとそうだ。最後まで氷魔法交代しなかったろうが。
「おい。イスベルク様と俺は少し休ませてもらうぞ。晩餐会の時に謁見させてもらう。先に部屋を教えろ」
ユージナルが使用人を捕まえて問いただす。
「は、はい。ですが、まだお部屋がご用意できておりません。しばしお待ちを」
「待てない。寝る場所があればよいのだ。空いてる部屋はないのか」
「で、では二階の……い、一番奥の客間が開いております。そちらの階段を上がってくださいませ」
「わかった。しばらくは立ち入りを禁ずる。用があればこちらから出向く。城の者達にはそう伝えろ」
「は、はい!」
速足で階段を登るとといきなり業火がこちらに飛んできた。刺客か?階段なんて狙い撃ちの的になるような場所じゃないか。まさか罠だったのか?
咄嗟に魔法を展開したユージナルの氷の壁に炎はかき消される。だがその反動で俺の身体が傾いた。
「ダメだ! 危ないっ」
階段から踏み外しそうになった身体を押し戻されたと思った瞬間、少年が俺の目の前で落ちていくのが見えた。
「うそだろ……」
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