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5章【外交編・モットー国】

18 疲労

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「うへぇ……疲れたぁ……」

ぼふん、とふとんに雪崩れ込む。

あのあと、メリッサと組み手をしたが思いのほか強くてびっくりした。師匠から護身用にと直接稽古をされているのもそうだが、飲み込みが早く勘もいい。

私が動くその先の先まで読んでしまうし、私がさらにその先を読むと裏を取られる。そして小さい上にやたらとすばしっこくて、対応するのがやっとだった。

幼いし寡黙だし、多少の足手まといになるかも、とも思ったがとんでもなく優秀で、自分の能力との差を見せつけられてちょっと心が折れかけた。

でも考えてみれば、メリッサも私も同じくらいから1人で生きていることを思うとこれくらいの能力がないと実際に生き抜くのはつらいというのが現状だ。

能力は高いとはいえ、実際に動いても非力だし、まだまだ至らない部分は多々ある。その分は私が補わなければならない。

「えーっと……もらったメモ書きどこやったっけ……」

既に筋肉痛になって重たくなっている腕をのろのろと持ち上げ、布団に転がりながら机の上をゴソゴソと探す。

そして、クシャっとそれを握るとごろんと体勢を変えながら目を通していく。

「えー……アイダンは活気があって、人口も多く……帝国、との交流あり、ギュナナは明るく社交的な……、ぐぅ……っダメだ、寝転がってたら寝ちゃう……」

うとうとと瞼が段々重くなってくる。さすがにまだ体力が戻っていないため、転がっていると睡魔から逃れられそうになかった。

渋々起き上がり、大きく伸びをする。そして軽くストレッチしたあとに、地図を見ながらメモ書きの情報を照らし合わせた。

「どっかしらの川は越えなきゃいけなそうね」

地図を見ながら想像する。あくまで想像しかできないが、ここの気候と以前の見聞きした地形的に砂漠などもあるし、朝夕の寒暖差も大きいだろう。

現在は海沿いにいるからさしてそこまで感じないが、ブライエに行けば行くほどそのような場所になっていたはず。

とすれば、何かしら足になる乗り物があるといい。できれば馬がいいが、ないならラクダでもいい。

とにかく川を渡ったり、荷物を運搬するのに何かしらのサポートが必要だ。

「どっかの街で調達するのが無難だけど……」

街の状況や場所を頭の中でまとめつつ、地図にマークを記載していく。

危険度が高いところはバツ、人が少ないところはマル、人がそこそこ多いものの、栄えているわけではなく保守的なところはニジュウマル、と言った感じで記載し、頭を整理させる。

「食糧、寝具、防寒具、武器に……あと何かいるかしら」

必要最低限の装備だとしても、これだけいるとなるとこのメンバーで運ぶとなると結構厳しい。この近辺の街で先に調達できるならしておきたい気もするが、できるだろうか。

「明日師匠に聞けばいいか……」

やはり睡魔によって鈍った頭ではなかなか思考がまとまらない。明日起きてから考えるか、とそのまま布団に潜り、いさぎよく寝ることにする。

「あとどれくらいで出発できるかしら」

ヒューベルトはまだ痛みがあるそうで、まだすぐには出発できそうにないと師匠が言っていたし、かと言って悠長に待っていられるほど余裕もないだろう。

帝国の介入があるというくらいだし、帝国かえあ派遣された人も駐在しているはずだし、先日の海賊との一件でもし勘づかれていたら捜索に来るかもしれない。

となると、できるだけ早く準備は整えておき、いつでも出られるようにしなくてはいけない。

「ダメだ、やっぱりもう寝よう」

難しいことを考えすぎて、頭痛がしてくる。たまには頭を休めないとオーバーワークで爆発してしまいそうだ。

「よし、寝るぞー。うん、寝る……」

目を閉じて改めて寝る態勢に入ると、すぐさま意識は遠くへ行っていた。
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