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4章【外交編・サハリ国】
97 追加情報
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「そういえば」
「まだ何かあるの?」
思いのほかマルダスの情報を得られてホクホクとしていたが、まだあるのか、と再び食いつく。
まさか、ここサハリでこれほどまでにマルダスの情報が得られるとは。当初行きたくなかったものの、来れて良かったと思う。
まぁ、今回のここまでの道のりは相当厳しかったが、これだけの褒美があったのなら頑張ったかいがあるというものである。
「いや、大した情報ではないというか、おまけみたいなものだけど」
「いいから勿体ぶらないで言ってよ」
「マルダス国には1人跡取り息子がいるらしいんだが、その人物はどうにもボンクラ息子なようでね」
「前の、ブランシェみたいな?」
「そこは僕を引き合いに出してほしくはないが、まぁそうだよ」
ボンクラ、というといいイメージがないが、敵国となれば話は別だ。戦場での采配などがおかしかったり、国民の支持を得られなかったりすると勝手に自滅してくれる場合が多い。
ある意味、この情報は朗報である。
「それでね、あくまで噂だそうだが……国王にはもう1人、私生児がいるらしいんだ」
「私生児……?」
頻度は低いが、たまに聞く事例である。
大体の国王や権力を持つ貴族などは、基本的に政略結婚だ。だから、こうしてよそで恋愛をして、愛ある家族を持とうとする場合があるのだが、大抵そういうときは様々な問題が生じてしまうことが多い。
そのため、表立って公表しなかったり、ある程度公認だったり、もしくは我慢をしたりするものなのだが。
「その私生児がとてもよくできた子のようでね。国民の支持も厚いらしい」
「私生児が?」
それはまた、珍しい話である。そもそも私生児、という表現からきちんと王家に迎え入れていないのだろう。それなのに表舞台で活躍して、国民の信頼が厚いというのは不可思議な話だ。
今後、活躍次第で養子としてでも迎え入れるのだろうか。
「あぁ。それほど時期国王候補があまりに酷いということだろう。そもそもそれで、元々捨てた私生児を拾ったらしいからな」
「なるほど、色々と訳ありってわけね。じゃあ、今後はその私生児が時期国王候補ってこと?」
「いや、そういうわけでもないらしい」
またしても「うん?」と首を傾げる。私生児とはいえ、皇子として迎えるのが無理であれば、どこかの貴族に養子入りしてから、さらに養子として迎え入れるということもできるだろう。
わざわざ捨て子を拾ってきて、しかも才能があるのに国王候補ではないというのは疑問であった。
「何で?よくできて、国民の信頼も厚いのでしょう?今後の成果次第で時期国王ってわけじゃないの?」
「それがね、その私生児は娘なんだ」
「娘、なるほど。そういうことね」
そういうことなら合点がいく。カジェ国のアーシャしかり、基本的に国王は男性なことが多い。歴史的に見ても、女性が国の長として君臨してたところはあまりない。
我が国ペンテレアも、姉妹だったこともあり、本来なら姉が婿養子を取る予定ではあったが、ゴードジューズ帝国から所望されたことで嫁いでしまったので、私が婿養子を取るということで話は決まっていた。
(そうか、あの女性団員ばかりのサーカス団もその私生児である娘の発案か)
女性だけのサーカス団は珍しいし、そもそも女性を起用しようとは男性は普通思わないだろう。
世界各国旅させているようだが、恐らくあれは情報収集のためなはずだ。貿易のことはもちろん、何かしらつけ込む隙があればつけ入るつもりなのだろう。
女性であれば相手も油断し易いし、貴族の男性などは特に、驕り高ぶるふしがある人物が多い。すべてがすべてではないが、要人につけ入るには女性の刺客というのは丁度いい。
(そういえば、女性の刺客といえば……)
出発前夜、クエリーシェル宅で襲われたことを思い出す。あれは確か、女性の刺客だった。ということはつまり、あの一件はマルダス、しかも私生児である娘の企てたということであることの証明にもなるだろう。
「僕が調べられたのはこのくらいだが、役に立てたかな?」
「えぇ、とても。今後もご贔屓にしてもらいたいくらいだわ」
「それであれば、定期的にカジェを経由して定期便と一緒に情報を送ろう。さすがにカジェを間にやれば多少は目眩しになるだろう」
「ありがとう。そうしてもらえると助かるわ」
その後、定期便の話やカジェ国からちゃっかり紛れこまされた武具の数々の話をする。また新たに入れる積荷などの話や海域をうろついている海賊のことなど色々な話を詰めると、日はとっぷりと傾いていた。
「まだ何かあるの?」
思いのほかマルダスの情報を得られてホクホクとしていたが、まだあるのか、と再び食いつく。
まさか、ここサハリでこれほどまでにマルダスの情報が得られるとは。当初行きたくなかったものの、来れて良かったと思う。
まぁ、今回のここまでの道のりは相当厳しかったが、これだけの褒美があったのなら頑張ったかいがあるというものである。
「いや、大した情報ではないというか、おまけみたいなものだけど」
「いいから勿体ぶらないで言ってよ」
「マルダス国には1人跡取り息子がいるらしいんだが、その人物はどうにもボンクラ息子なようでね」
「前の、ブランシェみたいな?」
「そこは僕を引き合いに出してほしくはないが、まぁそうだよ」
ボンクラ、というといいイメージがないが、敵国となれば話は別だ。戦場での采配などがおかしかったり、国民の支持を得られなかったりすると勝手に自滅してくれる場合が多い。
ある意味、この情報は朗報である。
「それでね、あくまで噂だそうだが……国王にはもう1人、私生児がいるらしいんだ」
「私生児……?」
頻度は低いが、たまに聞く事例である。
大体の国王や権力を持つ貴族などは、基本的に政略結婚だ。だから、こうしてよそで恋愛をして、愛ある家族を持とうとする場合があるのだが、大抵そういうときは様々な問題が生じてしまうことが多い。
そのため、表立って公表しなかったり、ある程度公認だったり、もしくは我慢をしたりするものなのだが。
「その私生児がとてもよくできた子のようでね。国民の支持も厚いらしい」
「私生児が?」
それはまた、珍しい話である。そもそも私生児、という表現からきちんと王家に迎え入れていないのだろう。それなのに表舞台で活躍して、国民の信頼が厚いというのは不可思議な話だ。
今後、活躍次第で養子としてでも迎え入れるのだろうか。
「あぁ。それほど時期国王候補があまりに酷いということだろう。そもそもそれで、元々捨てた私生児を拾ったらしいからな」
「なるほど、色々と訳ありってわけね。じゃあ、今後はその私生児が時期国王候補ってこと?」
「いや、そういうわけでもないらしい」
またしても「うん?」と首を傾げる。私生児とはいえ、皇子として迎えるのが無理であれば、どこかの貴族に養子入りしてから、さらに養子として迎え入れるということもできるだろう。
わざわざ捨て子を拾ってきて、しかも才能があるのに国王候補ではないというのは疑問であった。
「何で?よくできて、国民の信頼も厚いのでしょう?今後の成果次第で時期国王ってわけじゃないの?」
「それがね、その私生児は娘なんだ」
「娘、なるほど。そういうことね」
そういうことなら合点がいく。カジェ国のアーシャしかり、基本的に国王は男性なことが多い。歴史的に見ても、女性が国の長として君臨してたところはあまりない。
我が国ペンテレアも、姉妹だったこともあり、本来なら姉が婿養子を取る予定ではあったが、ゴードジューズ帝国から所望されたことで嫁いでしまったので、私が婿養子を取るということで話は決まっていた。
(そうか、あの女性団員ばかりのサーカス団もその私生児である娘の発案か)
女性だけのサーカス団は珍しいし、そもそも女性を起用しようとは男性は普通思わないだろう。
世界各国旅させているようだが、恐らくあれは情報収集のためなはずだ。貿易のことはもちろん、何かしらつけ込む隙があればつけ入るつもりなのだろう。
女性であれば相手も油断し易いし、貴族の男性などは特に、驕り高ぶるふしがある人物が多い。すべてがすべてではないが、要人につけ入るには女性の刺客というのは丁度いい。
(そういえば、女性の刺客といえば……)
出発前夜、クエリーシェル宅で襲われたことを思い出す。あれは確か、女性の刺客だった。ということはつまり、あの一件はマルダス、しかも私生児である娘の企てたということであることの証明にもなるだろう。
「僕が調べられたのはこのくらいだが、役に立てたかな?」
「えぇ、とても。今後もご贔屓にしてもらいたいくらいだわ」
「それであれば、定期的にカジェを経由して定期便と一緒に情報を送ろう。さすがにカジェを間にやれば多少は目眩しになるだろう」
「ありがとう。そうしてもらえると助かるわ」
その後、定期便の話やカジェ国からちゃっかり紛れこまされた武具の数々の話をする。また新たに入れる積荷などの話や海域をうろついている海賊のことなど色々な話を詰めると、日はとっぷりと傾いていた。
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