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4章【外交編・サハリ国】
95 再び会談
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翌日になり、再び今後の進路のことを詰める。思いのほかサハリに滞在していたので、そのぶん会談は駆け足だ。
「これが、ルートだ」
「ありがとう、ブランシェ」
御礼を述べながら渡された2枚の地図を眺める。1枚は海図、もう1枚はモットーとブライエが描かれている地図だ。
他国の地図は手に入ることがなかなかないので、とても貴重である。サハリは貿易もそうだが、各地にそれぞれ人を派遣していることが多いので、諜報員さながらに様々な情報を仕入れることができるのだろう。
まぁ、武装国家ではないサハリだからこそできることでもあるだろうが。そして、各国それぞれにそれなりの信頼を勝ち得ていることの証拠でもあるだろう。
今後、帝国の動き次第で状況が一変する可能性もなくはないが。
「我が国を出てすぐ、この入り江に海賊の拠点がある。最近はやたらと活動が盛んなようでな。……恐らくだが、モットーが帝国側についたことで輸送ルートが変更になったらしく、この辺りを通る船籍が激減したことが理由だろう」
「ということは、最近だとサハリからこの辺りの海域には船を出していないの?」
「あぁ、そのせいで余計に活発に活動している。サハリ沖までやってくることもあって、少々手を焼いている」
「それは困ったわね」
前途多難なことばかりだ。ある程度想定外のことは覚悟していたものの、こうして都合の悪いことばかり聞くとやはりどうしても気が滅入る。
元々、私は不利な立場だ。長引けば長引くほど身の危険は迫ってくるし、いつコルジールとマルダスが開戦するかもわからない状況である。
時間はあまりない。だから何としても短期間で成果を上げたいのだが、どうにももどかしい。
あまりに深く考え込みすぎたせいか、思考に集中していると不意に眉間をつつかれる。顔を上げると、ブランシェに酷い顔だな、と笑われた。
「煩いわね。元々よ」
「いや、そうではなくて。……あまり考えすぎもよくない。考えたところで結果が全て思い通りになるとは限らないからね。もちろん、様々な想定をすることは大切だけど」
至極真っ当なことを言われて押し黙る。まさか、ブランシェに諭されるとは思わなかった。
「本当、変わったわね」
「今更かい?」
「いや、まぁ、そうなんだけど。……とにかく、そうね。考えられるだけのことは考えるわ。あとは行き当たりばったりでも、どうにかなるでしょう」
考えすぎるなんて私らしくない。なせばなる、何事も。ピンチだって、いつだってどうにか乗り越えてきたじゃないか。
例えそれが全て自分の力でなくとも、皆がいたからこそだとしても、それも含めて私は未来を切り拓いてきた。
自分で自分に言い聞かせる。ネガティブになったって仕方ない。私は私ができることをしよう、とそう誓ったのだから。
「それはそれで極論だけど……。まぁ、僕も少なからず色々と協力できるとこはさせてもらうよ」
「ありがとう、ブランシェ」
(あぁ、私は1人じゃない。みんながいて、そのみんなに支えられている。だからこそ、期待に応えられるように頑張らねば)
元はペンテレアからの縁だが、その縁を繋ぐために多くの人達の協力を得てきた。自分の想いに賛同し、協力をしてくれる人がいるというのはとてもありがたかった。
そのみんなが私に期待し、力を貸してくれる。それは何よりも心強かった。
「何を言ってるんだい。僕こそありがとう、だよ。キミには僕だけでなく、国も国民達もいい未来へと導いてくれた。その御礼はきっちりさせてもらうよ」
「そうね。なんだってサハリの救世主だものね」
「はは、いつものステラだな」
笑われて、髪を乱される。素早くその手を払い「すぐに調子に乗らない!お触りは禁止!!」と抗議すれば、「相変わらず、手厳しいな」と再び笑われた。
「これが、ルートだ」
「ありがとう、ブランシェ」
御礼を述べながら渡された2枚の地図を眺める。1枚は海図、もう1枚はモットーとブライエが描かれている地図だ。
他国の地図は手に入ることがなかなかないので、とても貴重である。サハリは貿易もそうだが、各地にそれぞれ人を派遣していることが多いので、諜報員さながらに様々な情報を仕入れることができるのだろう。
まぁ、武装国家ではないサハリだからこそできることでもあるだろうが。そして、各国それぞれにそれなりの信頼を勝ち得ていることの証拠でもあるだろう。
今後、帝国の動き次第で状況が一変する可能性もなくはないが。
「我が国を出てすぐ、この入り江に海賊の拠点がある。最近はやたらと活動が盛んなようでな。……恐らくだが、モットーが帝国側についたことで輸送ルートが変更になったらしく、この辺りを通る船籍が激減したことが理由だろう」
「ということは、最近だとサハリからこの辺りの海域には船を出していないの?」
「あぁ、そのせいで余計に活発に活動している。サハリ沖までやってくることもあって、少々手を焼いている」
「それは困ったわね」
前途多難なことばかりだ。ある程度想定外のことは覚悟していたものの、こうして都合の悪いことばかり聞くとやはりどうしても気が滅入る。
元々、私は不利な立場だ。長引けば長引くほど身の危険は迫ってくるし、いつコルジールとマルダスが開戦するかもわからない状況である。
時間はあまりない。だから何としても短期間で成果を上げたいのだが、どうにももどかしい。
あまりに深く考え込みすぎたせいか、思考に集中していると不意に眉間をつつかれる。顔を上げると、ブランシェに酷い顔だな、と笑われた。
「煩いわね。元々よ」
「いや、そうではなくて。……あまり考えすぎもよくない。考えたところで結果が全て思い通りになるとは限らないからね。もちろん、様々な想定をすることは大切だけど」
至極真っ当なことを言われて押し黙る。まさか、ブランシェに諭されるとは思わなかった。
「本当、変わったわね」
「今更かい?」
「いや、まぁ、そうなんだけど。……とにかく、そうね。考えられるだけのことは考えるわ。あとは行き当たりばったりでも、どうにかなるでしょう」
考えすぎるなんて私らしくない。なせばなる、何事も。ピンチだって、いつだってどうにか乗り越えてきたじゃないか。
例えそれが全て自分の力でなくとも、皆がいたからこそだとしても、それも含めて私は未来を切り拓いてきた。
自分で自分に言い聞かせる。ネガティブになったって仕方ない。私は私ができることをしよう、とそう誓ったのだから。
「それはそれで極論だけど……。まぁ、僕も少なからず色々と協力できるとこはさせてもらうよ」
「ありがとう、ブランシェ」
(あぁ、私は1人じゃない。みんながいて、そのみんなに支えられている。だからこそ、期待に応えられるように頑張らねば)
元はペンテレアからの縁だが、その縁を繋ぐために多くの人達の協力を得てきた。自分の想いに賛同し、協力をしてくれる人がいるというのはとてもありがたかった。
そのみんなが私に期待し、力を貸してくれる。それは何よりも心強かった。
「何を言ってるんだい。僕こそありがとう、だよ。キミには僕だけでなく、国も国民達もいい未来へと導いてくれた。その御礼はきっちりさせてもらうよ」
「そうね。なんだってサハリの救世主だものね」
「はは、いつものステラだな」
笑われて、髪を乱される。素早くその手を払い「すぐに調子に乗らない!お触りは禁止!!」と抗議すれば、「相変わらず、手厳しいな」と再び笑われた。
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