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4章【外交編・サハリ国】
42 求婚
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「美味しいか?」
「美味しいけど、一々聞かないでちょうだい」
なぜだかずっとブランシェに食事中見られている。そのせいでせっかくの美味しい料理なのに、落ち着かなくて味が頭に入ってこない。
「ねぇねぇ、ステラ。国王とはどういう関係なのですの?」
コソコソとマーラが私に話しかけてくる。その表情はどことなく不信感に満ちていた。
(どういう関係……?どういう関係と言われても……)
「特に関係はないというか……知人?」
自分の認識的には友人ですらないのだが、マーラから見てもどうにもそのようには見えないようだ。クエリーシェルもしきりにこちらを気にしながら食事をしているのが目に入ってくる。
「本当にですのぉ?……どう考えても、ただならぬ関係のようにしか見えませんが」
「た、ただならぬ……って!そ、そんなんじゃないですし。てか、そういう言葉をどこで覚えてくるんですか」
「そんな言葉くらい、本に書いてありますわ」
耳年増だな……、といらぬ心配をしてしまう。そもそもマーラは15歳でまだ未成年であるし、王族で箱入りなのならばそういういかがわしい言葉などに関して規制が入るだろうに。
と自分のことを棚に上げてついつい考えてしまう。これは確かに周りが手を焼くのも無理はない、じゃじゃ馬娘である。
(方向性は違うにしても、なんだかんだ似てるのかしら)
認めたくはないものの、私とマーラは似ている要素があるのは事実だ。環境の違いもあって全部が全部似ているわけではないが、根本的な部分は同じなのかもしれない。
少なからず好奇心の赴くまま貪欲に行動してしまう部分は当てはまると言っていいだろう。
「何をコソコソと喋っているんだ?」
「別に。ブランシェとはどういう関係かって」
「あぁ、そのことか。僕はキミのことを好きだし、ぜひとも我が国の妃になって欲しいと思っているが……」
ぶっ……!
ガターン……っ!!!!!
私が食事を吹き出すのと、クエリーシェルが突然立ち上がって席をひっくり返したのは同時だった。
「大丈夫ですか?ヴァンデッダ卿」
「あ、あぁ、大丈夫だ」
隣にいたヒューベルトが、慌ててフォローする。クエリーシェルはおろおろした様子で、席を直しながらもこちらに聞き耳を立てているのは明白だった。
というか、
「は、え、ちょっと。……冗談でしょう?」
「冗談なものか。キミが死んだと聞いて我が国は喪に服したくらいだぞ?我が国の救世主だからな、ステラは」
「きゅ、救世主……!??」
道理で待遇がいいはずである。何となく今までのサハリの人々の言動をスルーしてきたが、これで辻褄が合う。
「いや、でも……!それなら、私が牢に入れられたのおかしいでしょ!!」
死んだとされていたから、普通は疑うのも無理はないと思う。だが、各国2人からの直筆の書簡に私本人が来たなら、私のことを疑いようもないと思うのだが。
「あぁ、そのことなんだが……。僕が話をしていた見た目や性格等々が脚色されすぎていたらしくてな。それに関しては、本当にすまない」
兵から「このちんちくりん」と言われたということは相当な脚色が加えられていたに違いないと頭が痛くなる。全く、とんだ迷惑である。
そして、さっきから周りの従者や侍女達が色めき立っている。自らの王の告白に、誰もが私のことを注視していた。
「ステラ、注目されてますわよ」
「わかってますよ!」
マーラから指摘されるが、明らかにその問いは浮き足立っていて、目の前で繰り広げられる色恋の話に興味津々というのが如実に現れていた。
「私のことよく知りもしないくせに好きだとか言わないで。そもそも、もう国に来るな!と言ったのはどこのどいつよ」
「その辺りはあとで詳しく話そう。何、時間はたっぷりとあるのだし、キミのことをたくさん知りたいし、キミには僕のことをたくさん知ってもらいたい。そしてキミに僕を好きになってもらえるよう努力しようじゃないか」
(どうしてこんなことに……)
とにかく、食事を済ませようか、とブランシェから促されるが、その後の食事は何一つ味がわからなかった。
「美味しいけど、一々聞かないでちょうだい」
なぜだかずっとブランシェに食事中見られている。そのせいでせっかくの美味しい料理なのに、落ち着かなくて味が頭に入ってこない。
「ねぇねぇ、ステラ。国王とはどういう関係なのですの?」
コソコソとマーラが私に話しかけてくる。その表情はどことなく不信感に満ちていた。
(どういう関係……?どういう関係と言われても……)
「特に関係はないというか……知人?」
自分の認識的には友人ですらないのだが、マーラから見てもどうにもそのようには見えないようだ。クエリーシェルもしきりにこちらを気にしながら食事をしているのが目に入ってくる。
「本当にですのぉ?……どう考えても、ただならぬ関係のようにしか見えませんが」
「た、ただならぬ……って!そ、そんなんじゃないですし。てか、そういう言葉をどこで覚えてくるんですか」
「そんな言葉くらい、本に書いてありますわ」
耳年増だな……、といらぬ心配をしてしまう。そもそもマーラは15歳でまだ未成年であるし、王族で箱入りなのならばそういういかがわしい言葉などに関して規制が入るだろうに。
と自分のことを棚に上げてついつい考えてしまう。これは確かに周りが手を焼くのも無理はない、じゃじゃ馬娘である。
(方向性は違うにしても、なんだかんだ似てるのかしら)
認めたくはないものの、私とマーラは似ている要素があるのは事実だ。環境の違いもあって全部が全部似ているわけではないが、根本的な部分は同じなのかもしれない。
少なからず好奇心の赴くまま貪欲に行動してしまう部分は当てはまると言っていいだろう。
「何をコソコソと喋っているんだ?」
「別に。ブランシェとはどういう関係かって」
「あぁ、そのことか。僕はキミのことを好きだし、ぜひとも我が国の妃になって欲しいと思っているが……」
ぶっ……!
ガターン……っ!!!!!
私が食事を吹き出すのと、クエリーシェルが突然立ち上がって席をひっくり返したのは同時だった。
「大丈夫ですか?ヴァンデッダ卿」
「あ、あぁ、大丈夫だ」
隣にいたヒューベルトが、慌ててフォローする。クエリーシェルはおろおろした様子で、席を直しながらもこちらに聞き耳を立てているのは明白だった。
というか、
「は、え、ちょっと。……冗談でしょう?」
「冗談なものか。キミが死んだと聞いて我が国は喪に服したくらいだぞ?我が国の救世主だからな、ステラは」
「きゅ、救世主……!??」
道理で待遇がいいはずである。何となく今までのサハリの人々の言動をスルーしてきたが、これで辻褄が合う。
「いや、でも……!それなら、私が牢に入れられたのおかしいでしょ!!」
死んだとされていたから、普通は疑うのも無理はないと思う。だが、各国2人からの直筆の書簡に私本人が来たなら、私のことを疑いようもないと思うのだが。
「あぁ、そのことなんだが……。僕が話をしていた見た目や性格等々が脚色されすぎていたらしくてな。それに関しては、本当にすまない」
兵から「このちんちくりん」と言われたということは相当な脚色が加えられていたに違いないと頭が痛くなる。全く、とんだ迷惑である。
そして、さっきから周りの従者や侍女達が色めき立っている。自らの王の告白に、誰もが私のことを注視していた。
「ステラ、注目されてますわよ」
「わかってますよ!」
マーラから指摘されるが、明らかにその問いは浮き足立っていて、目の前で繰り広げられる色恋の話に興味津々というのが如実に現れていた。
「私のことよく知りもしないくせに好きだとか言わないで。そもそも、もう国に来るな!と言ったのはどこのどいつよ」
「その辺りはあとで詳しく話そう。何、時間はたっぷりとあるのだし、キミのことをたくさん知りたいし、キミには僕のことをたくさん知ってもらいたい。そしてキミに僕を好きになってもらえるよう努力しようじゃないか」
(どうしてこんなことに……)
とにかく、食事を済ませようか、とブランシェから促されるが、その後の食事は何一つ味がわからなかった。
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