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2章【告白編】
65 講義最終日
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「リーシェ先生ー!」
「ジューク様、どうかなさいました?」
今日は、王城で行なっているカジェ国語講義の最終日だ。
一応船上でも行う予定ではあるが、船上では酔って講義どころではない人もいるということが想定されるので、今回が実質最後の講義とも言えるだろう。
ニコニコと人懐こい笑みをしている彼、ジューク・ダストラは、男爵家の3男で、今回のカジェ国への婚活メンバーの1人だ。
「カジェ国について、聞きたいことがありまして」
「何でしょう?私でよければお答え致しますよ」
「せっかくですし、この講義が終わったあとお茶しながらでもいかがでしょうか?」
以前から、このようにお茶や屋敷などに誘われることは何度かあったが、出発までの準備が忙しくて、いつも断っていた。
「お茶、ですか?すみません、私はちょっとまだやることがありまして」
「でもでも、今日で最後ではないですか!船に乗ったら乗ったでなかなかお茶を飲みながらお話、っていうのは難しいでしょうし、僕もこの国にはとうぶん帰って来れないのであれば、ね?ダメですか?」
まるで、子犬のようなつぶらな瞳で訴えかけてくる彼。私よりも1つ年下の彼は、なんというか甘えるのがとても上手な人だった。
(私も、これくらい甘えられる性格だったらよかったのになぁ)
そんなことを思いつつも、自分がジュークのようにクエリーシェルに甘えることを想像して、慌てて却下する。うん、あり得ない。というか無理だ。
「船ではたくさん時間はあるでしょうが、確かにその意見も一理あるかもしれませんね。あまり時間は取れませんが、やるなら他の方もいっぺんにやるのがいいかもしれませんね」
「いや、えーっと、他の方々は質問ないんじゃないですかね?」
「そうですか?ですが、とりあえず声をかけるだけかけてみましょう」
ジュークはなぜか不服そうな顔をしていたが、特に気にせずに講義の始まりのときに、もし質問がある方は講義後に別で時間を設けます、とアナウンスする。
(まぁ、さほど集まらないでしょうけど)
そして、講義を終えると、ずらっと並んだ男性の多さに、思わず慄いてしまった。
(まさかこんなに来るとは想定外だったわ。みんな勉強熱心だなぁ)
確かに、奥様を獲得するのは大事なことである。しかも今回、これが国交となって、さらに両国の発展も兼ねればとても重要なことだということは事実ではあるが。
それにしても、今回連れていく講義参加者のうち10人中9人が参加とはある意味すごいことである。
「では、参りましょうか」
ぞろぞろと男性を連れ立って歩くというのは、なんか変な気分だ。皇女をやっていたときでさえ、こんなことはなかった。
というか、年齢も皆んなバラバラだし、階級も違うし、不思議な光景である。はたから見たら、きっと奇妙な一団に見えることだろう。
「何をやっている」
「国王陛下」
急に顔を出してくる国王。全然気付かなかった。というか、いくら王城にいるとは言えど、オーラを消すというのはどうなのか。無用心ではないのか、と思いながら振り返ると、皆一様にピシッと背筋を伸ばし頭を下げていた。
(それもそうか、これでも国王だしな)
「何だ、男を侍らせているのか?」
「人聞き悪いことをおっしゃらないでください。カジェ国語講義の生徒の方々です」
「あぁ、例の、婚活組か。ふーん、なるほど?」
何を考えているのか、明らかにろくでもないことを考えているのは想像できるが、こんな往来でする会話ではないと思い、早々に会話を切り上げて立ち去ることにした。
「また執事の方からお逃げですか?」
「またではない。私もたまには息抜きが必要なのでな」
「……あら、執事長様」
言うないなや、振り返りもせずにすぐさま駆け出し姿を消す国王。相変わらず、逃げ足だけは早い。
(ま、嘘も方便ということで)
「では、参りましょうか」
後ろからついてくる彼らに声をかけると、彼らはポカンとしたまま私のあとをついてくるのだった。
「ジューク様、どうかなさいました?」
今日は、王城で行なっているカジェ国語講義の最終日だ。
一応船上でも行う予定ではあるが、船上では酔って講義どころではない人もいるということが想定されるので、今回が実質最後の講義とも言えるだろう。
ニコニコと人懐こい笑みをしている彼、ジューク・ダストラは、男爵家の3男で、今回のカジェ国への婚活メンバーの1人だ。
「カジェ国について、聞きたいことがありまして」
「何でしょう?私でよければお答え致しますよ」
「せっかくですし、この講義が終わったあとお茶しながらでもいかがでしょうか?」
以前から、このようにお茶や屋敷などに誘われることは何度かあったが、出発までの準備が忙しくて、いつも断っていた。
「お茶、ですか?すみません、私はちょっとまだやることがありまして」
「でもでも、今日で最後ではないですか!船に乗ったら乗ったでなかなかお茶を飲みながらお話、っていうのは難しいでしょうし、僕もこの国にはとうぶん帰って来れないのであれば、ね?ダメですか?」
まるで、子犬のようなつぶらな瞳で訴えかけてくる彼。私よりも1つ年下の彼は、なんというか甘えるのがとても上手な人だった。
(私も、これくらい甘えられる性格だったらよかったのになぁ)
そんなことを思いつつも、自分がジュークのようにクエリーシェルに甘えることを想像して、慌てて却下する。うん、あり得ない。というか無理だ。
「船ではたくさん時間はあるでしょうが、確かにその意見も一理あるかもしれませんね。あまり時間は取れませんが、やるなら他の方もいっぺんにやるのがいいかもしれませんね」
「いや、えーっと、他の方々は質問ないんじゃないですかね?」
「そうですか?ですが、とりあえず声をかけるだけかけてみましょう」
ジュークはなぜか不服そうな顔をしていたが、特に気にせずに講義の始まりのときに、もし質問がある方は講義後に別で時間を設けます、とアナウンスする。
(まぁ、さほど集まらないでしょうけど)
そして、講義を終えると、ずらっと並んだ男性の多さに、思わず慄いてしまった。
(まさかこんなに来るとは想定外だったわ。みんな勉強熱心だなぁ)
確かに、奥様を獲得するのは大事なことである。しかも今回、これが国交となって、さらに両国の発展も兼ねればとても重要なことだということは事実ではあるが。
それにしても、今回連れていく講義参加者のうち10人中9人が参加とはある意味すごいことである。
「では、参りましょうか」
ぞろぞろと男性を連れ立って歩くというのは、なんか変な気分だ。皇女をやっていたときでさえ、こんなことはなかった。
というか、年齢も皆んなバラバラだし、階級も違うし、不思議な光景である。はたから見たら、きっと奇妙な一団に見えることだろう。
「何をやっている」
「国王陛下」
急に顔を出してくる国王。全然気付かなかった。というか、いくら王城にいるとは言えど、オーラを消すというのはどうなのか。無用心ではないのか、と思いながら振り返ると、皆一様にピシッと背筋を伸ばし頭を下げていた。
(それもそうか、これでも国王だしな)
「何だ、男を侍らせているのか?」
「人聞き悪いことをおっしゃらないでください。カジェ国語講義の生徒の方々です」
「あぁ、例の、婚活組か。ふーん、なるほど?」
何を考えているのか、明らかにろくでもないことを考えているのは想像できるが、こんな往来でする会話ではないと思い、早々に会話を切り上げて立ち去ることにした。
「また執事の方からお逃げですか?」
「またではない。私もたまには息抜きが必要なのでな」
「……あら、執事長様」
言うないなや、振り返りもせずにすぐさま駆け出し姿を消す国王。相変わらず、逃げ足だけは早い。
(ま、嘘も方便ということで)
「では、参りましょうか」
後ろからついてくる彼らに声をかけると、彼らはポカンとしたまま私のあとをついてくるのだった。
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