41 / 52
超人
しおりを挟む
闘技場では先客がいたが、王子がやってくると皆順番を譲り闘技場を開けた。
「それを使え」
王子は護衛に指示して護衛の所持していた剣をラセルに手渡させた。
ラセルはパッシブスキルで剣の性質を感知する。
なかなかの良剣であったが、ラセルが打ち直した風の剣より質は低いと思った。
ヒュンヒュン……
軽く左右に振って剣のバランスを見る。
「ククク、いいぞ」
それを見た王子は満面の笑顔で嬉しそうに言う。
戦いを前にした彼はさらに闘気が漲り、頭髪が逆立つように見えるほどである。
「剣王」だとかいう噂は、過小評価ではないのか?とラセルは感じ始めた。
寧ろ戦闘狂とでも言った方がしっくりくる。
この王子はいざ戦争が始まったら狂喜して先陣を切るような男に違いなかった。
根っから戦いが好きなのだ。
「いつでもいいですよ」
ラセルは静かに審判役の男に言った。
「では、両者初め」
「どれ、味見してやるかククク」
王子は嬉しそうに笑いながら剣技を繰り出してくる。
バヒュヒュ!
早くて重い二段切りが飛んできて、それをラセルは余裕を持って躱す。
「では少し本気を出すぞ」
ラセルに軽く避けられたのが意外であったようで笑顔が消える。
「ふん!」
ドババババ
的確に急所を狙ってくる五段連続斬りを、ラセルは無表情で躱し続けた。
「そんなものか?」
「言いやがる……ならば秘技千獄衝!」
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!
王子は剣技を発動し超速の連衝がラセルを襲い掛かった。
一突きごとの速度も超人的な速度があったが、それ以上にラセルを関心させたのは躱した先に次の衝きがとんでくるように計算されつくされていることだった。
王子の技の動きに全く無駄がなく、達人の域に達している技術の高さはタイマン勝負ならSランク冒険者といい勝負か、それを上回るのではないかとすら感じる。
だが、人間の速度域を遙かに超えているラセルは確実に避け続けて掠りもしなかった。
その動きは傍目には幻のようにすら見えていた。
動きが早すぎて実体がないかのように見えるのだ。
「あれは武神転舞!?王子、そいつは化け物です!」
側近の一人が堪らずそう叫んでいた。
「ぐぉお!なぜ当たらん!」
「そろそろ本気を出していいか?」
剣技の最中に余裕を持ってラセルが静かにいうと王子はそれを中断し、初めて後ろに下がった。
ラセルの冷静で鋭い言葉に畏怖を覚えていた。
「よしこい!闘神防御壁!」
バババババ!
それでも王子はなおも勝ち気で受けの武技を唱えて手を素早く左右上下に動かすと空中に魔法陣に似た円弧が現れる。
すると、ゲルとの戦闘の時に見たような結界防壁がうっすらと現れた。
「なるほど、ガントレットハンド」
ドゴ!ガシャーン!
バヒュ!
ラセルは瞬間に迫りパンチでその防壁を破壊して横に回り込み剣を王子の喉元に突きつけていた。
観衆には一瞬何が起こったのかすら分からず、勝負はついていた。
「……俺の負けだ」
おおおおおおおおおお……
闘技場全体からどよめきが湧き起こる。
審判が勝敗を宣言するまでもなく王子が降参して勝負はついた。
「これをやろう」
闘技場を出た後に、王子は護衛から刀を受け取りそれをラセルに手渡した。
「これは俺の一番の宝の剣、次元の剣だ、約束だからお前にやる」
「そうですか、ありがたく頂戴します」
ラセルはそれを受け取ると異常なものを感じた。
通常の6属性魔法だとかそういう種類の範囲には収まらないものだ。
「それで斬れぬものはこの世にないと言われる剣だ」
王子が簡単に説明をしてくれる。
「だが、当たらなければ意味がない……それが今回分かった、その剣はお前にこそ相応しい」
王子は自らの腕をグッと握り、拳を残念そうに見て言った。
「大切に使わせていただきます」
「うむ、俺の代わりに外の世界で使ってやってくれ」
……きっと王子は帝宮から自由に出歩くことすら難しいのだろう。
そう感じたら、ラセルは少し王子に同情する気になった。
「それを使え」
王子は護衛に指示して護衛の所持していた剣をラセルに手渡させた。
ラセルはパッシブスキルで剣の性質を感知する。
なかなかの良剣であったが、ラセルが打ち直した風の剣より質は低いと思った。
ヒュンヒュン……
軽く左右に振って剣のバランスを見る。
「ククク、いいぞ」
それを見た王子は満面の笑顔で嬉しそうに言う。
戦いを前にした彼はさらに闘気が漲り、頭髪が逆立つように見えるほどである。
「剣王」だとかいう噂は、過小評価ではないのか?とラセルは感じ始めた。
寧ろ戦闘狂とでも言った方がしっくりくる。
この王子はいざ戦争が始まったら狂喜して先陣を切るような男に違いなかった。
根っから戦いが好きなのだ。
「いつでもいいですよ」
ラセルは静かに審判役の男に言った。
「では、両者初め」
「どれ、味見してやるかククク」
王子は嬉しそうに笑いながら剣技を繰り出してくる。
バヒュヒュ!
早くて重い二段切りが飛んできて、それをラセルは余裕を持って躱す。
「では少し本気を出すぞ」
ラセルに軽く避けられたのが意外であったようで笑顔が消える。
「ふん!」
ドババババ
的確に急所を狙ってくる五段連続斬りを、ラセルは無表情で躱し続けた。
「そんなものか?」
「言いやがる……ならば秘技千獄衝!」
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!
王子は剣技を発動し超速の連衝がラセルを襲い掛かった。
一突きごとの速度も超人的な速度があったが、それ以上にラセルを関心させたのは躱した先に次の衝きがとんでくるように計算されつくされていることだった。
王子の技の動きに全く無駄がなく、達人の域に達している技術の高さはタイマン勝負ならSランク冒険者といい勝負か、それを上回るのではないかとすら感じる。
だが、人間の速度域を遙かに超えているラセルは確実に避け続けて掠りもしなかった。
その動きは傍目には幻のようにすら見えていた。
動きが早すぎて実体がないかのように見えるのだ。
「あれは武神転舞!?王子、そいつは化け物です!」
側近の一人が堪らずそう叫んでいた。
「ぐぉお!なぜ当たらん!」
「そろそろ本気を出していいか?」
剣技の最中に余裕を持ってラセルが静かにいうと王子はそれを中断し、初めて後ろに下がった。
ラセルの冷静で鋭い言葉に畏怖を覚えていた。
「よしこい!闘神防御壁!」
バババババ!
それでも王子はなおも勝ち気で受けの武技を唱えて手を素早く左右上下に動かすと空中に魔法陣に似た円弧が現れる。
すると、ゲルとの戦闘の時に見たような結界防壁がうっすらと現れた。
「なるほど、ガントレットハンド」
ドゴ!ガシャーン!
バヒュ!
ラセルは瞬間に迫りパンチでその防壁を破壊して横に回り込み剣を王子の喉元に突きつけていた。
観衆には一瞬何が起こったのかすら分からず、勝負はついていた。
「……俺の負けだ」
おおおおおおおおおお……
闘技場全体からどよめきが湧き起こる。
審判が勝敗を宣言するまでもなく王子が降参して勝負はついた。
「これをやろう」
闘技場を出た後に、王子は護衛から刀を受け取りそれをラセルに手渡した。
「これは俺の一番の宝の剣、次元の剣だ、約束だからお前にやる」
「そうですか、ありがたく頂戴します」
ラセルはそれを受け取ると異常なものを感じた。
通常の6属性魔法だとかそういう種類の範囲には収まらないものだ。
「それで斬れぬものはこの世にないと言われる剣だ」
王子が簡単に説明をしてくれる。
「だが、当たらなければ意味がない……それが今回分かった、その剣はお前にこそ相応しい」
王子は自らの腕をグッと握り、拳を残念そうに見て言った。
「大切に使わせていただきます」
「うむ、俺の代わりに外の世界で使ってやってくれ」
……きっと王子は帝宮から自由に出歩くことすら難しいのだろう。
そう感じたら、ラセルは少し王子に同情する気になった。
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる