【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

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記憶喪失……?

2-18 石の中には秘密があった

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宝浜で拾ったお宝を買い取ってもらおうとハリーの知り合いの雑貨屋さんに持ち込んだところ、ただの丸い石だと思っていたものが晶洞というやつで、しかも中は虹水晶という貴重な石だった。

それが分かると割るための道具を借りた先の芸術家(自称?)のイシドロさんも欲しがり、雑貨屋のお爺さんと揉めている。

どうしようかなぁ?

今のところ貝殻や珊瑚で大銀貨6枚と銀貨6枚、だいたい6万6千円だ。それに磨いてみないと価値がわからない翡翠もある。虹水晶はすぐに売らなくてもいいかも?

オークションに出してみるのも面白そうだし。

「せっ、せめて1カケラだけでも売ってくれないか!?」
「まぁ、それくらいなら……」
「ワシはどうなるんじゃ!」

お爺さんの迫力にタジタジになっていたらウィシェールさんが割って入ってくれた。

「売るかどうか決めるのはタカラだ。そうだろう?」
「ぐぅ……」

大きな手で優しく肩を抱かれ、他のことがどうでも良くなってくる。いやダメだ! せっかく仲裁してくれているのに! はぁ、大きな手に包まれる幸福感……♡

さっそく幸福がやってきたぁ♡

じゃなくて。

オレは結局、イシドロさんに加工してもらってお爺さんのお店でいくつか販売してもらうことにした。そもそも結晶をバラしてどれだけ使えるか、やってみないと分からないらしいからね。

1番大きな結晶がついてる方をバラすことにして、残りの半分はそのまま保存する。綺麗に半分になってるなぁ。

「そうか! 『虹のカケラと星のカケラ』か!!」

「ど、どうしたの? ハリー」

今まで黙っていたハリーが突然大きな声をあげた。

「いや、虹水晶をもらった英雄の話だよ。英雄物語のタイトル。思い出せなくて気持ち悪かったんだ。スッキリしたー!!」

あ、うん。そういうのモヤモヤするよね。
でも声でかいよ。心臓がバクバクするから落ち着いてね? それより……

「虹のカケラが虹水晶なら星のカケラは何だ?」

心の声がイケボになった!?
と思ったらウィシェールさんが質問したのか。オレも気になるので答えをお願いします!

「それはラピスラズリだって言われてるよ! 幸運へ導く石を英雄に、英雄は幼馴染に厄除けのラピスラズリを贈ったんだよ。ラピスラズリはそんなに高い石じゃないけど、英雄は青い髪に金の瞳だったらしいから自分を忘れないで欲しかったんじゃないかな?」
「そんで帰ってきたら結婚したんだよなー。厄除けって男避けだったのかな? にゃははは」

ハリー……、子供向けのお話でそれはないだろう。でも史実ならありえるかも。

英雄になっても思い続けてもらえた幼馴染みかぁ。羨ましい。ウィシェールさんなら英雄にもなれそうだけど、オレは幼馴染みどころか異世界人だしなぁ。切ない……。

我が旦那様よ。
もう、いっそのこと早く出てこいやぁ!
こんなモヤモヤむらむらしているなんて性に合わないんだよ! せっかくどストライクなウィシェールさんがフリーなのに、オレがフリーじゃないなんて!!

生まれてこの方フリーだったのに、どストライクが目の前にいる今、フリーじゃないとか……! 意味わからん!!

先ほどまでの幸福感はどこへやら。心の中で荒ぶっているうちにイシドロさんが晶洞をバラして使える部分を選別している。大きな結晶は女性の親指第一関節ほどもあり、広範囲に虹が浮かんでいる。かなりの質らしくお爺さんとイシドロさんが興奮している。

2番目が親指の爪くらいでそれ以外は大きくても小指の爪くらい。虹の入っているものは3分の1程度で小さいものにはほとんど入っていなかった。

虹入りはオーダーに合わせて加工するので保管して、ただの水晶はオレの指輪についてる石のカットを練習したいって。ダイヤモンドみたいなカットはこちらの世界ではあまりないらしくて喜んでいる。今のところキアトリル王国ってところの工房でだけ作られているらしいけど、隣り合ってもいないからこの国まで入ってきてはいない。

それに宝飾品と言えば貴族なので庶民にはまだまだ見る機会もない。イシドロさんも噂で聞いただけなんだって。

「でも貴族を差し置いて庶民に売っていいの?」
「貴族に売り込むから大丈夫だ」

あぁ、パトロンがいるのか。
良いのができたら買い取るよー、って感じの緩いお付き合いで、生活費の面倒までは見てもらえないレベル、ってそれはパトロンじゃなくてただの知り合いか。

オレは早速、ブリリアントカットのだいたいの形をその辺にあった木切れに描いた。角度の調整とか細かいことは分からないので口頭で伝えて頑張ってもらうしかないだろう。

「タカラ、珍しいものを見せてくれて感謝する」
「そっ、それはたまたまで! 感謝されるようなことじゃ……」

ウィシェールさんに感謝された!
でもオレ自身は幸運だっただけで大したことをしていない。どう返事をしたらいいのだろう。

「やりたい事ができたので少しの間会えないが、待っててくれ」
「えぇっ!? どっか行っちゃうの?」
「少しの間だ。……忘れないで欲しい」
「忘れないよ!!」
「2人の世界を作るなー!」

ハリー邪魔!!

船を降りるわけではないのでまたすぐ会える。でもデートしたかったよぅ……。

「ハリーのお姉さんのお店で雇ってもらうから、いつでも来てね」
「分かった。店の名は?」
「……ハリー、あのお店なんて名前?」
「…………………………」

呆れないで!!
え? 呆れて無言な訳じゃない?
名前がアレだから?
どういうこと?

「……バル・無口なアニタ」
「ブハッ!!」

あの賑やかなお姉さんが無口って!!

「無口な、はアニキのことで、ねーちゃんと2人の特徴を合わせたんだって! ちなみにねーちゃんは『アニタはアニタだよな』ってみんなから言われてそのまま名前を使ったんだ」

ハリーはおいらがつけた訳じゃない、と憤慨している。いや、インパクト大事だよね!

「何だか知らんが『バル・無口なアニタ』だな」
「そう。タカラも人気だからすぐ分かるよ。東のサンマ横丁な」

お、港町だけあって横丁の名前は魚なのか。
宿からの道順は覚えているけど横丁の名前とか店の名前とか、全然知らなかったな。困らなかったし!!

そしてウィシェールさんはお昼も食べずにどこかへ行ってしまった。くすん。



*******



「こん……」
「タカラじゃないの! よく帰ってきたわねぇ」

むぎゅっ!

「ねーちゃん、おいらよりタカラかよ……」
「やだハリーったらヤキモチ? あんたはいつまでもアタシのかわいい弟だよ!!」

2人まとめて抱きしめられる。
女性のおっぱいって不思議な安心感があるなぁ。相変わらず興奮はしないけど。

「じゃあ、今日から早速手伝ってもらうよ!」
「はい!」

お店に着いたのはお昼過ぎだったのでお店が開くまでチビちゃんと戯れる。前回会えなかったハリーのお母さんにようやく挨拶ができた。腰を痛めていたおばあちゃんは元気になったらしい。

「あんたがタカラかい? 初めまして。聞いていた通りかわいい子ねぇ」

ハリーママは小柄で少しぽっちゃりした、おっとり癒し系の人だった。編み物全般が得意で彼女の作った漁網はしなやかで強くて長持ちするらしい。

……漁網って編み物だっけ?

「あーっ! タカラだー! 1、2のさーんてして!!」

お友達の家から帰ってきた7歳の妹ちゃんがリフトジャンプをせがむ。両手をしっかり持ってジャンプに合わせて持ち上げるとふわりと浮かぶ感覚がして楽しいんだよね。2歳の末っ子には高い高いをしてあげる。

きゃーきゃー喜ぶ子供、最高だな。

「タカラー、そろそろ開店だよ!」

アニタさんから声がかかり、遊び足りない子供たちを宥めてからお店に出る。相変わらず賑やかなアニタさんと、お兄さんの美味しい料理でお店ではいつも通り満席だ。

ほんの4~5時間だけど、お仕事楽しかった!




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