【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

文字の大きさ
7 / 66

7.研究所と治療院

しおりを挟む
「悪いが私は仕事に戻る。エルンスト、タカラに無理させるなよ」
「はいはーい」

ベイセルとエルンストはずいぶん気安いな。

「しょ、所長……、師団長殿はお帰りですか?」
「とりあえずはね。お前、そんなにベイセルが怖い?」
「怖いっす! 所長は親戚だから気にならないでしょうが、普通はあの威圧にやられるっす!」
「親戚なの?」
「従兄弟だね」

ベイセルの母の妹が男爵家に嫁入りして生まれたのがエルンストなのか。全然似てないな。それに、あの気さくなベイセルが威圧?

「そんなことはどうでもいいから、調べさせてね」
「あ、うん。何をしたらいい?」

まずは鑑定板で測定。ツルツルに磨かれた黒い石に手を乗せると、手から漏れ出す魔力によって石の色が変わる。手の周りをなぞるように、黄色くなった。

「うん、量は普通の貴族程度、質も平均的。他人の治癒力に干渉できる理由はなんだろうな」
「所長、カルテがスカスカですよ。埋めていいっすか?」
「ん? あぁ、頼む」

自分の考えにのめり込みはじめたらしいエルンストをフォローする助手くん。この研究所ってこの2人だけなのかな?

「僕はジョシュアと言います! よろしくお願いします!」

助手のジョシュア!?
いや、こっちの言葉では違う音なんだろうから、ダジャレじゃない、はず。

改めて名前、身長、体重、経歴を聞かれたので答えたけど、経歴は異世界転移してきた学生でいいのかな?

「自宅にいたはずなのに気がついたらリンホウ王国の牢の中にいた?」
「そう」
「転移魔術の研究でもしてたんすか?」
「いや、魔法のない世界だったので」
「え? 魔法ないんすか? つまんなくないっすか?」
「あったらいいな、とは思うけどないのが当たり前だったし、夢物語だったしなぁ」
「いや、現実でしょ?」
「ここではね」

ただの雑談にしか思えないけど、これ真面目な研究なの?

「じゃ、ちょっと服脱いで下さい」
「はぁい」

帯は巻き付けて挟んでいるだけだから簡単に脱げる。シャツも前をかき合わせるタイプだし、ズボンは腰を紐で縛ってあるだけだから自分で脱ぎ着できる。下着も腰紐タイプのトランクスだから脱げなくはないけど、流石に恥ずかしいから脱がなくていいよね?

「これでいい? って、あれ?」
「……ふぐ、……うっ、な、なん……」
「え? 何? どうして服脱いでるの? サービス?」

ジョシュアが急にしゃがみ込んだ。どうしたんだろう? エルンスト、身体検査のために脱いだのに、どうしてサービスになるの?

「脱ぐよう言われたんだけど、この人、急にしゃがみ込んじゃって」
「あぁ……、刺激が強すぎたんだな」
「男の裸なんて自分と同じでしょ?」
「いやいやいや、タカラの裸は普通じゃないよ」

普通だよ?
こんなので刺激が強すぎなんて、ちょっとからかいたくなっちゃうじゃないか。

「ジョシュア? ほら、脱いだよー。見てくれなきゃ困るんだけどー!」
「いや、あの……、す、すみません……。ちょっとした、冗談のつもりで……!!」

仕事中のちょっとしたジョークを真面目に返され、恥ずかしくなってしまったらしい。え? 恋人いない歴=年齢? 研究オタクなら仕方ないか。

頑なに俯いたまま、耳まで赤く染めて震える。

「ひゃっ」
「せっかくだから感度も調べてみる?」
「エルンスト!? 感度なんて、は、ん……」
「所長! 勘弁してください!!」

エルンストの指が絶妙な力加減で乳首をつまむ。それ、気持ちいい……。

「乳首触られるの好き?」
「ん……、気持ちいい……」
「しょーちょーうー!!」

気持ちよかったのに。
ジョシュアが本気で泣きそうだから、えっちないたずらはお終いです。

後は真面目に薬草や傷薬に魔力を流し込んだり、エルンストの肌荒れや目の下のクマを治したりした。目の下のクマは薬を使わなくてもマッサージで治せたよ!

3人で食堂でお昼を食べ、ジョシュアが治療院へ案内してくれた。エルンストは戻って研究方法を検討するって。


*******


「治療院院長のナゼールです。ご協力感謝いたします」
「タカラです。よろしくお願いします」

院長さん、若い! 30代前半かな?
保健室のえっちな先生みたい、なんて言ったら失礼だよね。でも長い銀髪、濃いまつ毛、白い肌、形の良い薄い唇に泣きぼくろ。

そう言えばエルンストはもっと若かったっけ。でもあそこは2人しかいなかったし。ここは治療院……、病院なんだからたくさんのお医者さんがいるだろうに、トップがこんなに若いなんて!

優秀なんだろうな。

「あなたの能力の検証は研究所でやってもらうので、ここでは実践していただきます。よろしいですか?」
「治療の手伝いをすればいいのですね」
「はい。とにかく治りが早くなるよう、薬を塗ってください」

おれは言われるままに薬を塗った。手で塗るのが1番効くけど、外傷がひどい時には怖くて塗れないので、薬を塗ったガーゼを当ててから撫でて魔力を馴染ませた。

魔力を送ることが何となくでできちゃうのって、ある意味チートかな?

「そろそろ休憩にしましょう。体調はいかがですか?」
「少し身体が重い気がします」
「魔力を使い過ぎたかも知れません。今日はこれで終わりましょう」

あっけらかんと終業を告げられた。

「働き足りないのですか?」
「えぇ、まぁ……」
「ですが魔力が枯渇すると身体の自由がきかなくなります。私にその身を任せてみますか?」

色気ダダ漏れ先生にからかわれた!!

「無理せず帰ります」

先生は笑って治療士見習いを呼び、ベイセルのところに送るよう言いつけた。

「次は送ってもらわなくていいように、ちゃんと道を覚えるからね」
「……お1人で歩くのは良くないと思います」
「そうかなぁ?」
「それに、騎士塔に応急薬を届けるついでなので気遣いは無用です」
「あ、そうだったんだ。なら良かっ!?」
「!?」

俺のスキル『何もないところで転ぶ』が発動した。咄嗟に支えようとしてくれた見習いくんが諸共に倒れ込む。巻き込んでごめん。

それにしても何だこの体勢。
受け身を取ろうと体を捻った結果、床の上で仰向けの俺は、四つん這いの見習いくんに両脚を担がれたような状態だ。見習いくんの顎が会陰を刺激する。

「あふ……」
「しっ、失礼しました!!」
「ん……、いや、ごめんね。助けようとしてくれてありがとう」
「いっ、いえ、支えられなくて申し訳ありません!!」

慌てて跳びすさり、手を差し伸べて立たせてくれる。

見習いくんはほんの少し無愛想で口数が少ない気もするけど、紳士だ。残念ながら会話はここまでで、あとは無言で送り届けられました。

「タカラ、おつかれさん」
「ベイセルもお疲れ様。そういえばベイセル、今日は帰れるの?」
「まぁな。……まだもう少しかかるが」
「大変だね」
「戦争だからな」

戦後処理ってむずかしいんだろうな。

「手伝えることがあればいいのに」
「あるぞ。家に帰ったら、な?」
「家……? ふふふ、家まで我慢できるの?」
「ここでしたら後で思い出して仕事ができなくなるだろう」

中学生じゃないんだから!

「タカラ様、もう少々こちらでお待ちください」
「ロニー、ありがとう」

お茶を淹れてもらってソファで休む。
できる従卒のロニーは俺にお茶を淹れた後、すぐに書類整理に戻り、ベイセルの書類の山を捌いていった。

「ロニーって、本当に16歳?」
「何ですか突然」
「だって、なんか有能すぎない?」
「コイツは王都中央学園を飛び級で卒業した強者だ」
「いやすごいじゃん。天才か!」
「すごいだろ」

何故かベイセルがドヤってる。

「騎士科の実技では万年2位でした。……天才なんかじゃ……、ありません……」

憂い顔の美少年、尊いな。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...