95 / 185
95話、サンフラワー教といわしのピラフ
しおりを挟む
花が有名な町フラメイズには、もう一つ有名なものがある。
それが町はずれにある大きな教会、その名もメイズリー教会だ。メイズリーとは教会のある地区名である。
メイズリー教会はこの町で主に信仰されている宗教を教えているらしく、一見さんでも中々見所ある所らしい。
フラメイズの町二日目は、せっかくなのでこのメイズリー教会の観光に来ていた。
メイズリー教会は町はずれにあるが、そこは決して寂れた風景が広がる所ではなく、むしろ逆だ。閑散とした原っぱの中央に立つ教会の周りは、色んな種類の花が彩るように咲き誇っている。
教会周囲は人の気配がほとんどなく、閑散としていた。本当に入っていいのだろうかと不安になったが、開け放たれている教会の門へと近づいてみた。
教会の門前から中を覗いてみる。左右に細長い机が設置され、ステンドグラスの窓。奥には祭壇が設置されているようだ。
お祈りに来ているのか、一般の訪問者がぽつぽつと居るので、私もライラを連れ中に入ってみる。
教会の中へ入ってみると、天井が高くて思わず見上げてしまう。所狭しと机が置かれているが、頭上が広いせいで妙な開放感があった。
教会はいつも礼拝が行われているイメージだが、基本的にはどこも決められた日時だけ行っている。それ以外は信者以外にも開放されていて、好きに訪問して観光できるようになっていた。
ひとまず、壁に飾られてる額縁を見てみることにした。これは観光客などの一見の人に向けているのか、このメイズリー教会の成り立ちや、フラメイズの町で信仰されている宗教の説明が絵と文字で解説されている。
「リリア、宗教っていったい何なの?」
メイズリー教会の成り立ちを説明する小難しい額縁を眺めていると、ライラが退屈そうに聞いてきた。妖精からすると宗教という存在がピンとこなくてつまらないのだろう。
「宗教っていうのは……なんだろう、結構説明するのが難しいんだよね。簡単に言うと、人間の力が及ばない存在を信仰すること……かな?」
「人間の力が及ばない存在?」
「大体は空想上の神様だったりするよ。ほら、生きていたら一度くらい、この世界を生み出したのは誰なんだろうって思うでしょう? ……あ、妖精は思うかどうか分からないけど、人間は大体気になったりするんだよ、そういう妙なところ。で、こんな広い世界を生み出せるなんて、人間どころか生物の力を超えているから、世界を生み出したのは人間よりはるかにすごい存在。つまり神様だって事にしたの」
多分神様って概念が生まれたのはそんな所だろう。
「じゃあその世界を生み出したって思われる神様を信仰するのが宗教?」
「んー……そこらへんちょっと微妙かも。まず、神様ってのがいっぱい存在すると思う。だいたい生活や風習の中から生まれる概念だからね。色んな生き方があるから、色んな神様の概念も生まれると思うよ」
「……? なんだかよく分からなくなってきたんだけど」
「正直その辺の話になると私もよく分からない。とりあえず、宗教の成り立ちとかはややこしいけど、現在の宗教観はどんな生き方をするかの道しるべ程度のものになってると思う」
それこそ昔は宗教ごとの対立とかあったかもしれないが、今の時代、食べ物も豊富で満たされた生活ができるから、そこまで強烈な信仰心なんて生まれない。
だから現在の宗教の立ち位置は、どのような生き方をするか、その道しるべを示す程度。簡単に言えば、何日かに一度お祈りするとか、決まった日に決まった食べ物を食べるとか、絶対に口にいれない食べ物を決めるとか、そんな所だろう。
もともと宗教は生活に根付くものだ。例えばある村で牛が労働力として重宝されていたら、その村では牛は神聖な物と祀られ絶対食べてはいけないと定められるかもしれない。
ある意味で魔女として生きるのも宗教の一つだろう。昔からある魔女の慣習とかはやっぱり存在するし。
「よく分からないけど、小難しいものだって事は分かったわ。それで、この町の宗教って何なの? リリアの説明だと、やっぱりお花関連?」
確かにこの町はお花が有名で、どこもかしこも花が咲いている。お花に関する宗教なのは間違いないだろう。
飾られる額縁をいくつか横切り、この町の宗教を説明する物を探す。
すると四枚目の額縁にそれが書かれていた。
それを見て、私とライラはまず絶句する。
「……なに、この絵」
ようやくライラがそう言って、私も小さく頷いた。
額縁には絵が飾られており、その絵の傍に宗教の説明が書かれている。まずその絵がおかしい。
子供の落書きとしか思えない程に雑な、大きな花が描かれているのだ。しかも花には顔がある。花がにこにこ笑ってる絵なのだ。
なんだよこの絵……と思いつつ、私は宗教の説明文を読んでいく。
それによると……この町で信仰される宗教の名はサンフラワー教で、やはりお花の宗教らしい。
ただし信仰対象はただの花ではなく、かつてこの地に存在していたと信じられる、巨大花サンフラワーというものだ。
それはどうも巨大樹のように大きくそびえたつ花だったらしく、太陽のような花弁を咲かせて周囲を照らしていたというのだ。
「んなアホな」
思わず声がついて出る。中々ぶっとんでるよこの宗教。
で、このサンフラワーを見習って、花を育てながら周りを明るく照らすような生き方をしよう、というのがサンフラワー教の教えらしい。
すごく良い教えだけど……信仰対象ぶっとんでない? つまり、この子供の落書きのような雑な絵が想像上のサンフラワーなんでしょ?
さすがに異文化の宗教すぎて頭がくらくらしていた私だが、ライラはうってかわって深く息を吐いていた。
「お花を育てて周りを明るく照らす……サンフラワー教、いいじゃない」
感銘を受けているのか、ライラはうんうんと頷く。
「そうよ、お花よ。世界にはお花が足りないわ。もっと街道とかにもお花を植えて、どこもかしこも妖精でいっぱいにしましょうっ。そしてお花の妖精帝国を築き上げるのよ!」
「その発想、ラズベリーで世界を支配するとか言いだしたベアトリスと良い勝負だよ……」
ライラが変な宗教に目覚めかけていて、更に頭が痛くなる。
「ふぅ……妙にインパクトある宗教説明文を読んだせいか、お腹が空いてきたかも……」
「あっ、私もちょうどお腹空いてるわ。どこかでごはん食べましょうよ、リリア」
「……妖精帝国を作るのをやめるなら食べに行く」
「ならやめるわ。帝国よりごはんよ」
現金な妖精だ。でも良かった、ライラがごはんに興味あって。妖精帝国は阻止できた。
サンフラワー教の存在を知って見る目が完全に変わってしまった教会をさっさと後にして、町の中心部に繰りだす。
それにしても何を食べようか……お花の町ではあるが、今は花とは縁もゆかりもないものが食べたい。
そんな気持ちを抱いて選んだのは、この町では珍しく暖色系の外観をしていて、花モチーフのデザインも一切ない硬派なお店だった。
店内に入り、テーブル席に座って一息つく。
テーブルにメニューが置かれていたが、今回は壁にかけられている木札のメニューを眺めてみた。
今回はインスピレーションというか、ピンと来たのを適当に頼んでみよう。
選んだのは、いわしのピラフとヨーグルトスープ。何というか、ピラフとスープは地に足がついた料理だと思えたのだ。
注文して少し経った頃にやってきた料理は、思っていた通り平凡な見た目をしていた。
いわしのピラフはぶつ切りにされたいわしの他、マッシュルームとトマトが入っていて彩りが良い。
ヨーグルトスープは乳白色で、赤、黄、緑の三食パプリカのみじん切りが入っている。これもまた見た目が良い。
ますはスープから味わうことに。ヨーグルトスープはその名前からヨーグルト味が強そうに感じられるが、大体はコンソメやブイヨンなどが味のベースだ。
スープに牛乳を使うのも別に珍しくは無いので、ヨーグルトを使っているのも変ではない。
スプーンですくい、パプリカごと数口飲んでみる。しっかりしたコンソメ味にヨーグルトの酸味、そしてパプリカの匂いがさっと通り抜ける。さっぱりとしつつもしっかりとした味が主張するスープだ。
口の中がさっぱりしたところで、いわしのピラフを食べることに。
ピラフはブイヨンなどのスープでお米を炊くので、ヨーグルトスープとの相性は悪くないはず。
こちらもスプーンですくって、ぱくっと一口。仕上げにバターを使ってあるのか、バター風味が強い。
いわしはしっかり下処理してあるのか、臭みもなくピラフと高相性。噛むとほろっと崩れる肉厚の身が、ブイヨン味のピラフと混じっておいしい。
変な宗教が伝わってるけど、料理はしっかりおいしいんだな、と一安心。
ライラはそんな私の横で、取り分けた小皿に入ったピラフを身の丈に合わないスプーンではぐはぐ食べている。
……もしかしたら、妖精を崇める宗教もどこかにあるのだろうか。
あったとしても、それは想像上の神秘的な妖精を崇めているんだろうな。
いわしのピラフを頬張るライラから生まれる宗教は絶対に無いだろう。そう断言できるほど妙に現実的な愛らしさがあった。
それが町はずれにある大きな教会、その名もメイズリー教会だ。メイズリーとは教会のある地区名である。
メイズリー教会はこの町で主に信仰されている宗教を教えているらしく、一見さんでも中々見所ある所らしい。
フラメイズの町二日目は、せっかくなのでこのメイズリー教会の観光に来ていた。
メイズリー教会は町はずれにあるが、そこは決して寂れた風景が広がる所ではなく、むしろ逆だ。閑散とした原っぱの中央に立つ教会の周りは、色んな種類の花が彩るように咲き誇っている。
教会周囲は人の気配がほとんどなく、閑散としていた。本当に入っていいのだろうかと不安になったが、開け放たれている教会の門へと近づいてみた。
教会の門前から中を覗いてみる。左右に細長い机が設置され、ステンドグラスの窓。奥には祭壇が設置されているようだ。
お祈りに来ているのか、一般の訪問者がぽつぽつと居るので、私もライラを連れ中に入ってみる。
教会の中へ入ってみると、天井が高くて思わず見上げてしまう。所狭しと机が置かれているが、頭上が広いせいで妙な開放感があった。
教会はいつも礼拝が行われているイメージだが、基本的にはどこも決められた日時だけ行っている。それ以外は信者以外にも開放されていて、好きに訪問して観光できるようになっていた。
ひとまず、壁に飾られてる額縁を見てみることにした。これは観光客などの一見の人に向けているのか、このメイズリー教会の成り立ちや、フラメイズの町で信仰されている宗教の説明が絵と文字で解説されている。
「リリア、宗教っていったい何なの?」
メイズリー教会の成り立ちを説明する小難しい額縁を眺めていると、ライラが退屈そうに聞いてきた。妖精からすると宗教という存在がピンとこなくてつまらないのだろう。
「宗教っていうのは……なんだろう、結構説明するのが難しいんだよね。簡単に言うと、人間の力が及ばない存在を信仰すること……かな?」
「人間の力が及ばない存在?」
「大体は空想上の神様だったりするよ。ほら、生きていたら一度くらい、この世界を生み出したのは誰なんだろうって思うでしょう? ……あ、妖精は思うかどうか分からないけど、人間は大体気になったりするんだよ、そういう妙なところ。で、こんな広い世界を生み出せるなんて、人間どころか生物の力を超えているから、世界を生み出したのは人間よりはるかにすごい存在。つまり神様だって事にしたの」
多分神様って概念が生まれたのはそんな所だろう。
「じゃあその世界を生み出したって思われる神様を信仰するのが宗教?」
「んー……そこらへんちょっと微妙かも。まず、神様ってのがいっぱい存在すると思う。だいたい生活や風習の中から生まれる概念だからね。色んな生き方があるから、色んな神様の概念も生まれると思うよ」
「……? なんだかよく分からなくなってきたんだけど」
「正直その辺の話になると私もよく分からない。とりあえず、宗教の成り立ちとかはややこしいけど、現在の宗教観はどんな生き方をするかの道しるべ程度のものになってると思う」
それこそ昔は宗教ごとの対立とかあったかもしれないが、今の時代、食べ物も豊富で満たされた生活ができるから、そこまで強烈な信仰心なんて生まれない。
だから現在の宗教の立ち位置は、どのような生き方をするか、その道しるべを示す程度。簡単に言えば、何日かに一度お祈りするとか、決まった日に決まった食べ物を食べるとか、絶対に口にいれない食べ物を決めるとか、そんな所だろう。
もともと宗教は生活に根付くものだ。例えばある村で牛が労働力として重宝されていたら、その村では牛は神聖な物と祀られ絶対食べてはいけないと定められるかもしれない。
ある意味で魔女として生きるのも宗教の一つだろう。昔からある魔女の慣習とかはやっぱり存在するし。
「よく分からないけど、小難しいものだって事は分かったわ。それで、この町の宗教って何なの? リリアの説明だと、やっぱりお花関連?」
確かにこの町はお花が有名で、どこもかしこも花が咲いている。お花に関する宗教なのは間違いないだろう。
飾られる額縁をいくつか横切り、この町の宗教を説明する物を探す。
すると四枚目の額縁にそれが書かれていた。
それを見て、私とライラはまず絶句する。
「……なに、この絵」
ようやくライラがそう言って、私も小さく頷いた。
額縁には絵が飾られており、その絵の傍に宗教の説明が書かれている。まずその絵がおかしい。
子供の落書きとしか思えない程に雑な、大きな花が描かれているのだ。しかも花には顔がある。花がにこにこ笑ってる絵なのだ。
なんだよこの絵……と思いつつ、私は宗教の説明文を読んでいく。
それによると……この町で信仰される宗教の名はサンフラワー教で、やはりお花の宗教らしい。
ただし信仰対象はただの花ではなく、かつてこの地に存在していたと信じられる、巨大花サンフラワーというものだ。
それはどうも巨大樹のように大きくそびえたつ花だったらしく、太陽のような花弁を咲かせて周囲を照らしていたというのだ。
「んなアホな」
思わず声がついて出る。中々ぶっとんでるよこの宗教。
で、このサンフラワーを見習って、花を育てながら周りを明るく照らすような生き方をしよう、というのがサンフラワー教の教えらしい。
すごく良い教えだけど……信仰対象ぶっとんでない? つまり、この子供の落書きのような雑な絵が想像上のサンフラワーなんでしょ?
さすがに異文化の宗教すぎて頭がくらくらしていた私だが、ライラはうってかわって深く息を吐いていた。
「お花を育てて周りを明るく照らす……サンフラワー教、いいじゃない」
感銘を受けているのか、ライラはうんうんと頷く。
「そうよ、お花よ。世界にはお花が足りないわ。もっと街道とかにもお花を植えて、どこもかしこも妖精でいっぱいにしましょうっ。そしてお花の妖精帝国を築き上げるのよ!」
「その発想、ラズベリーで世界を支配するとか言いだしたベアトリスと良い勝負だよ……」
ライラが変な宗教に目覚めかけていて、更に頭が痛くなる。
「ふぅ……妙にインパクトある宗教説明文を読んだせいか、お腹が空いてきたかも……」
「あっ、私もちょうどお腹空いてるわ。どこかでごはん食べましょうよ、リリア」
「……妖精帝国を作るのをやめるなら食べに行く」
「ならやめるわ。帝国よりごはんよ」
現金な妖精だ。でも良かった、ライラがごはんに興味あって。妖精帝国は阻止できた。
サンフラワー教の存在を知って見る目が完全に変わってしまった教会をさっさと後にして、町の中心部に繰りだす。
それにしても何を食べようか……お花の町ではあるが、今は花とは縁もゆかりもないものが食べたい。
そんな気持ちを抱いて選んだのは、この町では珍しく暖色系の外観をしていて、花モチーフのデザインも一切ない硬派なお店だった。
店内に入り、テーブル席に座って一息つく。
テーブルにメニューが置かれていたが、今回は壁にかけられている木札のメニューを眺めてみた。
今回はインスピレーションというか、ピンと来たのを適当に頼んでみよう。
選んだのは、いわしのピラフとヨーグルトスープ。何というか、ピラフとスープは地に足がついた料理だと思えたのだ。
注文して少し経った頃にやってきた料理は、思っていた通り平凡な見た目をしていた。
いわしのピラフはぶつ切りにされたいわしの他、マッシュルームとトマトが入っていて彩りが良い。
ヨーグルトスープは乳白色で、赤、黄、緑の三食パプリカのみじん切りが入っている。これもまた見た目が良い。
ますはスープから味わうことに。ヨーグルトスープはその名前からヨーグルト味が強そうに感じられるが、大体はコンソメやブイヨンなどが味のベースだ。
スープに牛乳を使うのも別に珍しくは無いので、ヨーグルトを使っているのも変ではない。
スプーンですくい、パプリカごと数口飲んでみる。しっかりしたコンソメ味にヨーグルトの酸味、そしてパプリカの匂いがさっと通り抜ける。さっぱりとしつつもしっかりとした味が主張するスープだ。
口の中がさっぱりしたところで、いわしのピラフを食べることに。
ピラフはブイヨンなどのスープでお米を炊くので、ヨーグルトスープとの相性は悪くないはず。
こちらもスプーンですくって、ぱくっと一口。仕上げにバターを使ってあるのか、バター風味が強い。
いわしはしっかり下処理してあるのか、臭みもなくピラフと高相性。噛むとほろっと崩れる肉厚の身が、ブイヨン味のピラフと混じっておいしい。
変な宗教が伝わってるけど、料理はしっかりおいしいんだな、と一安心。
ライラはそんな私の横で、取り分けた小皿に入ったピラフを身の丈に合わないスプーンではぐはぐ食べている。
……もしかしたら、妖精を崇める宗教もどこかにあるのだろうか。
あったとしても、それは想像上の神秘的な妖精を崇めているんだろうな。
いわしのピラフを頬張るライラから生まれる宗教は絶対に無いだろう。そう断言できるほど妙に現実的な愛らしさがあった。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる