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21.婚約者同士
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ウィリアム、メラニー、ルイは部屋から出て行ったが、侍女と近衛騎士は1人ずつだけ残された。だが、彼らはドアの脇に立っており、エドワードとユージェニーが小声で話せば話の内容までは理解できないだろう。
「ここは2人だけですから、両親や義兄上がいては話せないことも、お互い憂いがないように本音で話しましょう。私にもっと聞きたいことはありますか?」
「いえ、貴方はステファニー様をまだ忘れられない、でも今更どうこうできないとおっしゃいました。それ以上、何を聞けばよいのですか?」
「私は元婚約者にまだ未練が残っていると告白しました。それでも私達は後継ぎを作らなくてはなりません。そうなる以上、義務のような閨になってしまうかと思います。失礼とは思いますが、それは承知していただけるでしょうか?」
ユージェニーは、身体を繋げても自分の恋心が届かないであろうことに思いを馳せて胸が痛くなったが、その感情を顔に出さないように微笑んだ。
「失礼だなんてことありません。私達王族は、後継ぎを作ることも仕事でしょう?」
「そうですね、そう言っていただけてほっとしました。結婚5年経っても子供がいなかったら側妃を娶る条項は、両親と重臣の反対で削除できませんでした。力及ばず申し訳ありません。ただ、そうならないように私も努力します」
「王族に後を継ぐ世代を作る義務がある以上、仕方ありませんわ。私もそのぐらい承知しております。他にも何かお聞きしたいことがありますか?」
「いえ、でも私も似たようなことをお聞きしたいのですが、辛いことを思い出させてしまうかもしれません。聞かないほうがよろしいでしょうか?」
「いえ、私も貴方の辛い思いを聞かせていただいたのです。結婚の前に疑問は全て話し合って解決しましょう。私の亡くなった元婚約者アルバート様のことをお聞きしたいんでしょう?構いませんよ」
「・・・ではお言葉に甘えて・・・その方のことを今でも忘れられないですか?」
「幼い時から婚約してお会いしたのは15歳の時の婚約式が最後でした。確かに初めて会った時、見目麗しくて優しい王子様に一目惚れしました。でもそれは仕組まれた初恋のようなものだったかもしれません。亡くなった時はとても悲しかったですが、今となってはその恋が本当の愛だったのかどうかはわかりません」
「ではその後、好きになった男性はいますか?もしくはいましたか?」
「私は王女として国のためになる婚姻関係を結ぶことになると教えられてきました。ですから、アルバート様が亡くなった後も恋はしませんでしたし、してはいけないと思っていました」
「それは建前で本当の気持ちではどうだったのですか?」
「恋をしたい気持ちはなくもありませんでしたが、恋に落ちたら政略結婚が辛くなるだけでしたので、恋をしないようにしていました」
「では、今まで新たに婚約されなかったのは、義兄上の溺愛ゆえという噂は本当だったのですね」
「フフフ、当たりと言っても差し支えないかもしれませんね」
エドワードは本音で話し合えたと満足していたが、ユージェニーはエドワードがまだステファニーを想っていることを知った以上、エドワードに恋していることを言い出せなかった。だがもし言い出せていたら、エドワードとユージェニーの未来も変わったかもしれなかった。
「ここは2人だけですから、両親や義兄上がいては話せないことも、お互い憂いがないように本音で話しましょう。私にもっと聞きたいことはありますか?」
「いえ、貴方はステファニー様をまだ忘れられない、でも今更どうこうできないとおっしゃいました。それ以上、何を聞けばよいのですか?」
「私は元婚約者にまだ未練が残っていると告白しました。それでも私達は後継ぎを作らなくてはなりません。そうなる以上、義務のような閨になってしまうかと思います。失礼とは思いますが、それは承知していただけるでしょうか?」
ユージェニーは、身体を繋げても自分の恋心が届かないであろうことに思いを馳せて胸が痛くなったが、その感情を顔に出さないように微笑んだ。
「失礼だなんてことありません。私達王族は、後継ぎを作ることも仕事でしょう?」
「そうですね、そう言っていただけてほっとしました。結婚5年経っても子供がいなかったら側妃を娶る条項は、両親と重臣の反対で削除できませんでした。力及ばず申し訳ありません。ただ、そうならないように私も努力します」
「王族に後を継ぐ世代を作る義務がある以上、仕方ありませんわ。私もそのぐらい承知しております。他にも何かお聞きしたいことがありますか?」
「いえ、でも私も似たようなことをお聞きしたいのですが、辛いことを思い出させてしまうかもしれません。聞かないほうがよろしいでしょうか?」
「いえ、私も貴方の辛い思いを聞かせていただいたのです。結婚の前に疑問は全て話し合って解決しましょう。私の亡くなった元婚約者アルバート様のことをお聞きしたいんでしょう?構いませんよ」
「・・・ではお言葉に甘えて・・・その方のことを今でも忘れられないですか?」
「幼い時から婚約してお会いしたのは15歳の時の婚約式が最後でした。確かに初めて会った時、見目麗しくて優しい王子様に一目惚れしました。でもそれは仕組まれた初恋のようなものだったかもしれません。亡くなった時はとても悲しかったですが、今となってはその恋が本当の愛だったのかどうかはわかりません」
「ではその後、好きになった男性はいますか?もしくはいましたか?」
「私は王女として国のためになる婚姻関係を結ぶことになると教えられてきました。ですから、アルバート様が亡くなった後も恋はしませんでしたし、してはいけないと思っていました」
「それは建前で本当の気持ちではどうだったのですか?」
「恋をしたい気持ちはなくもありませんでしたが、恋に落ちたら政略結婚が辛くなるだけでしたので、恋をしないようにしていました」
「では、今まで新たに婚約されなかったのは、義兄上の溺愛ゆえという噂は本当だったのですね」
「フフフ、当たりと言っても差し支えないかもしれませんね」
エドワードは本音で話し合えたと満足していたが、ユージェニーはエドワードがまだステファニーを想っていることを知った以上、エドワードに恋していることを言い出せなかった。だがもし言い出せていたら、エドワードとユージェニーの未来も変わったかもしれなかった。
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