【完結保証】婚約破棄されましたが、私は勘違いをしていたようです。

りーふぃあ

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旅立ち

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 いよいよ出発のときがやってきた。

「なかなかの旅立ち日和だな」

 ロドリオットが言う通り、空は青く澄み渡っていた。
 まるで私たちの出発を祝福してくれているかのようだ。

「すみません、ロドリオット。わざわざ馬車を用意していただいて」
「構わんさ。どうせ目的地は同じなんだからな」
「ご実家の方はなんと?」
「歓迎するつもり満々だったぞ。『息子が留学中に世話になったから』と言っていた」

 隣国に行くにあたって、私はロドリオットの家で面倒を見てもらうことになっていた。

 隣国の要人である彼の家と、私の両親には、以前からつながりがあった。

 ロドリオットの家に滞在するなら心配ない、と私の両親も安心している。

 どうでもいい話だけど、今回の私の留学は『短期留学』という扱いだ。
 一か月の間、隣国で過ごして、その後戻ってくる。

 その一か月の間に、レンバート殿下との婚約破棄に関するいざこざが落ち着くといいのだけど。

「それでは出発するか」
「わかりました」

 私はロドリオットに手を引かれて馬車に乗り込んで――
「……」

 ん?

 今、ロドリオットがなぜか小さく笑みを浮かべたような……
 しかも、普段仏頂面なロドリオットからは信じられないような、会心の笑みといった感じだった。

 ……気のせいだろうか?

「? どうかしたのか?」
「いえ、なんでもありません」

 質問してくるロドリオットに私は首を横に振った。

 せっかくの旅立ちだ。
 細かいことは気にしないでおこう。




 隣国とはいえ、移動には数日かかる。
 窓を流れる景色を眺める。
 ずきん。

「うっ……」
「どうした、リオナ?」
「すみません。なんだか頭痛が」

 ずきずきと頭の奥が痛む。

 レンバート殿下に婚約破棄を告げられた日から、頻繁に頭痛を感じるようになっていた。

 両親にも相談したし、医者にもかかったけど、まったく理由がわからない。
 気休めに両親にもらったペンダントに触れるけれど、なかなか痛みが引かない。
 むしろ強くなっているような……

 不意に、ぽん、と頭を撫でられる。

「え? ろ、ロドリオット?」
「こういうときは人肌を感じると痛みがやわらぐと聞いたことがある」
「だからといって急に頭を撫でられるのは……」
「……嫌か?」
「い、嫌というわけではありませんが」

 私がどきどきと心臓を鳴らしながら言うと、ロドリオットは淡く微笑んだ。
 目つきの悪い彼がそうすると、意外と笑顔はあどけないことに気付く。

「子どもではないんですから……」
「はは、悪かったな」

 そう言ってロドリオットはあっさりと手を離した。

 え、そんなにあっさり……

「……」
「どうした?」
「なんでもありませんっ」

 微妙に名残惜しく感じてしまったのが悔しい。

 私は拗ねる気分を誤魔化すように、ロドリオットから視線を逸らすのだった。
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