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ロドリオット4
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「屋上に行かないか? ここでは人の目が多くて落ち着かない」
「そうですね」
ロドリオットに誘われて屋上に行く。
じろじろと見てくる生徒はいたけれど、ロドリオットがひと睨みすると散っていった。
不意にロドリオットが私を振り返ってくる。
「……リオナ。いま何を考えている?」
「え? い、いえ別に。目つきが鋭いと便利だな、なんて思ってませんよ?」
「なるほどな。お前も俺の目つきが悪いと思ってることがわかった」
「ご、誤解です!」
特に悪い意味合いはない。何ならロドリオットの目つきの悪さも愛嬌と言えなくもないし。
屋上には人がいなかった。
私とロドリオットは並んでベンチに腰掛ける。
「……レンバート殿下に婚約破棄されたというのは本当か?」
ロドリオットの質問に頷く。
「……もう聞いていましたか。本当ですよ。なんでも愛する人を見つけたそうです」
「何が愛する人だ、馬鹿が……! リオナがどれほど過酷な努力を続けてきたのか知らないわけではないだろうに!」
そう吠えるロドリオット。
私の身に起こったことを、まるで自分のことのように思ってくれている。
それが今の私には嬉しかった。
「大丈夫ですよ、ロドリオット。実はそこまで落ち込んでいないんです」
「そうなのか?」
「はい。学院に来てから……マリアナに会ってから、レンバート殿下は変わってしまいました。私とは話そうともしませんでしたし。正直、開放感のほうが大きいくらいです」
これは事実だ。
両親はがっかりするかもしれないけれど、今の気分はわりと晴れやかである。
長年抱えていた悩みがなくなってすっきりした。
「だが、お前はよくても周りはどう思うかわからないぞ」
「……そうですね」
さっきの令嬢たちがいい例だ。
私がレンバート殿下と結婚すると考えていた貴族たちは、もう一度婚約しろと押しかけてくることだろう。私とレンバート殿下の間には、修復不可能な溝があるというのに。
「一つ提案がある」
「なんですか?」
私が首を傾げると、ロドリオットが真面目な顔で告げた。
「ほとぼりが冷めるまで、俺の祖国に来ないか?」
「ロドリオットの国に?」
「そうだ。そちらにも貴族が通う学院はある。リオナは留学してこればいい」
「そ、そんなことを急に言われても」
「俺も転校する。向こうでの面倒は俺が責任を持って全部見る。……こちらの学院で世話になったぶん、きちんと恩を返すつもりだ」
本気だ。
ロドリオットは本気で私を隣国に留学させようとしている。
「この国を出る、ですか」
「ああ。そのほうがいいはずだ」
真剣に頷くロドリオットを見て。
私は――不意に、ずきり、と脳の奥が痛むのを感じた。
「っ……」
「どうした? 体調が悪いのか?」
「そういうわけではないと思いますが……」
いまの頭痛はなんだろう?
無意識に、胸元のペンダントに触れる。
このペンダントは家族が贈ってくれたものだ。魔除けとして、この国で神聖とされる『聖剣』をかたどったデザインとなっている。
それに触れて深呼吸をすると、だんだんと頭痛は引いていった。
「すみません。もう大丈夫です」
「……やはりリオナ、お前は疲れているんだ。無理もない。いきなり婚約破棄なんてされては、精神的にダメージもあるだろう」
「そうかもしれませんね……」
「お前が心配だ。少しの間でいい。俺の言う通り、この国を離れてみないか」
そう告げるロドリオットの言葉に、そうかもしれないと私は思った。
自覚していないだけで、この学院での生活は私を激しく苦しめていたのかもしれない。
少しの間だけでもこの学院を……国を離れることはいいことな気がする。
「……わかりました。両親に相談してみます」
「ああ。それがいい」
私が言うと、ロドリオットは微笑んでそう告げた。
「そうですね」
ロドリオットに誘われて屋上に行く。
じろじろと見てくる生徒はいたけれど、ロドリオットがひと睨みすると散っていった。
不意にロドリオットが私を振り返ってくる。
「……リオナ。いま何を考えている?」
「え? い、いえ別に。目つきが鋭いと便利だな、なんて思ってませんよ?」
「なるほどな。お前も俺の目つきが悪いと思ってることがわかった」
「ご、誤解です!」
特に悪い意味合いはない。何ならロドリオットの目つきの悪さも愛嬌と言えなくもないし。
屋上には人がいなかった。
私とロドリオットは並んでベンチに腰掛ける。
「……レンバート殿下に婚約破棄されたというのは本当か?」
ロドリオットの質問に頷く。
「……もう聞いていましたか。本当ですよ。なんでも愛する人を見つけたそうです」
「何が愛する人だ、馬鹿が……! リオナがどれほど過酷な努力を続けてきたのか知らないわけではないだろうに!」
そう吠えるロドリオット。
私の身に起こったことを、まるで自分のことのように思ってくれている。
それが今の私には嬉しかった。
「大丈夫ですよ、ロドリオット。実はそこまで落ち込んでいないんです」
「そうなのか?」
「はい。学院に来てから……マリアナに会ってから、レンバート殿下は変わってしまいました。私とは話そうともしませんでしたし。正直、開放感のほうが大きいくらいです」
これは事実だ。
両親はがっかりするかもしれないけれど、今の気分はわりと晴れやかである。
長年抱えていた悩みがなくなってすっきりした。
「だが、お前はよくても周りはどう思うかわからないぞ」
「……そうですね」
さっきの令嬢たちがいい例だ。
私がレンバート殿下と結婚すると考えていた貴族たちは、もう一度婚約しろと押しかけてくることだろう。私とレンバート殿下の間には、修復不可能な溝があるというのに。
「一つ提案がある」
「なんですか?」
私が首を傾げると、ロドリオットが真面目な顔で告げた。
「ほとぼりが冷めるまで、俺の祖国に来ないか?」
「ロドリオットの国に?」
「そうだ。そちらにも貴族が通う学院はある。リオナは留学してこればいい」
「そ、そんなことを急に言われても」
「俺も転校する。向こうでの面倒は俺が責任を持って全部見る。……こちらの学院で世話になったぶん、きちんと恩を返すつもりだ」
本気だ。
ロドリオットは本気で私を隣国に留学させようとしている。
「この国を出る、ですか」
「ああ。そのほうがいいはずだ」
真剣に頷くロドリオットを見て。
私は――不意に、ずきり、と脳の奥が痛むのを感じた。
「っ……」
「どうした? 体調が悪いのか?」
「そういうわけではないと思いますが……」
いまの頭痛はなんだろう?
無意識に、胸元のペンダントに触れる。
このペンダントは家族が贈ってくれたものだ。魔除けとして、この国で神聖とされる『聖剣』をかたどったデザインとなっている。
それに触れて深呼吸をすると、だんだんと頭痛は引いていった。
「すみません。もう大丈夫です」
「……やはりリオナ、お前は疲れているんだ。無理もない。いきなり婚約破棄なんてされては、精神的にダメージもあるだろう」
「そうかもしれませんね……」
「お前が心配だ。少しの間でいい。俺の言う通り、この国を離れてみないか」
そう告げるロドリオットの言葉に、そうかもしれないと私は思った。
自覚していないだけで、この学院での生活は私を激しく苦しめていたのかもしれない。
少しの間だけでもこの学院を……国を離れることはいいことな気がする。
「……わかりました。両親に相談してみます」
「ああ。それがいい」
私が言うと、ロドリオットは微笑んでそう告げた。
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