61 / 113
ノ61 仙水(せんすい)
しおりを挟む
そんな理由で寝起きに食事を摂るのは稀であった。その代わり、仙人達はこれまた特別な味と成分を含んだ「仙水」と呼ばれる冷水を飲む。
仙水ならばたった湯呑み一杯分の量で満腹感を得られるため、たぷたぷになる腹と味はともかく仙人界では至って重宝されていた。
「ゴクゴクゴク...ぷはぁ~いつまで経っても不味い水じゃぁ」
僅かな時間で一気呑みした割に文句を垂れる真如。しかし言葉とは裏腹に彼女の顔は「不味い」というより「美味い」を表現していた。不味い食べ物でも食べ続ければクセになるものがたまにあるけれど、仙水は正にその部類に入っているのかも知れない。
さて、仕事の無い仙人達は長い一日を果たしてどのように過ごしているのだろうか?
人間界において「仕事」や「労働」は生きる為に必要であり、費やす時間は人生の限られた総時間の中でかなりの割合を占め、ほとんどの人々は仕事を追いかけ、時には追い詰められるといった楽しくもない時間を過ごし搾取されてしまう。
だから、極小数で賛否両論はあるだろうけれど、「仕事にやり甲斐や楽しみを見出した者」や、「仕事が趣味と言っても良い者」などの話を聞くと語り手としては羨ましい限りなのである...
と、「仕事」に関しての考察などを述べてもみても、疲労は癒されないし楽しくもない。
そもそも物語と関係ないではないか。
仕事云々の話はさておき、この天空の島にある仙人界にて悠々自適に過ごす仙人達の生きる目的とは?なんぞや?
恐ろしいことに本当のところそんなものはありもしない。ということは無きにしも非ずといった具合であろう。良く分からないが...
少なくとも聖天座真如には一日をどのように過ごすかという計画らしい計画は、ここ百五十年ほどの長いあいだ皆無であった。
「今日は釣れぬ魚でも釣りに行くかのう」
訳のわからぬ大きな独り言を呟いた真如が釣竿を一本持ち、「釣れぬ」と言いながらも釣れたとき用の竹で編んだ籠を一つ持ち、にこやかな顔をして意気揚々と家を出て行った。
空気は薄いが自然の景観と仙人達の奇妙な建造物が上手い具合に溶け込み、周りを見渡せば絶景のオンパレードが続く道を気持ち良さげに歩く真如。
そんな彼女に横から年寄りの出す二つの声が届く。
「真如~、今日も釣果のあがらない釣りをするんかい?」
「全くもって飽きんもんじゃな~」
聞いた真如が声の主である二人の仙人へ朗らかに返す。
「そうじゃ~、今日も釣りじゃ~。百年も将棋を打ち続けるあんたらに言われたくはないがのう」
仙水ならばたった湯呑み一杯分の量で満腹感を得られるため、たぷたぷになる腹と味はともかく仙人界では至って重宝されていた。
「ゴクゴクゴク...ぷはぁ~いつまで経っても不味い水じゃぁ」
僅かな時間で一気呑みした割に文句を垂れる真如。しかし言葉とは裏腹に彼女の顔は「不味い」というより「美味い」を表現していた。不味い食べ物でも食べ続ければクセになるものがたまにあるけれど、仙水は正にその部類に入っているのかも知れない。
さて、仕事の無い仙人達は長い一日を果たしてどのように過ごしているのだろうか?
人間界において「仕事」や「労働」は生きる為に必要であり、費やす時間は人生の限られた総時間の中でかなりの割合を占め、ほとんどの人々は仕事を追いかけ、時には追い詰められるといった楽しくもない時間を過ごし搾取されてしまう。
だから、極小数で賛否両論はあるだろうけれど、「仕事にやり甲斐や楽しみを見出した者」や、「仕事が趣味と言っても良い者」などの話を聞くと語り手としては羨ましい限りなのである...
と、「仕事」に関しての考察などを述べてもみても、疲労は癒されないし楽しくもない。
そもそも物語と関係ないではないか。
仕事云々の話はさておき、この天空の島にある仙人界にて悠々自適に過ごす仙人達の生きる目的とは?なんぞや?
恐ろしいことに本当のところそんなものはありもしない。ということは無きにしも非ずといった具合であろう。良く分からないが...
少なくとも聖天座真如には一日をどのように過ごすかという計画らしい計画は、ここ百五十年ほどの長いあいだ皆無であった。
「今日は釣れぬ魚でも釣りに行くかのう」
訳のわからぬ大きな独り言を呟いた真如が釣竿を一本持ち、「釣れぬ」と言いながらも釣れたとき用の竹で編んだ籠を一つ持ち、にこやかな顔をして意気揚々と家を出て行った。
空気は薄いが自然の景観と仙人達の奇妙な建造物が上手い具合に溶け込み、周りを見渡せば絶景のオンパレードが続く道を気持ち良さげに歩く真如。
そんな彼女に横から年寄りの出す二つの声が届く。
「真如~、今日も釣果のあがらない釣りをするんかい?」
「全くもって飽きんもんじゃな~」
聞いた真如が声の主である二人の仙人へ朗らかに返す。
「そうじゃ~、今日も釣りじゃ~。百年も将棋を打ち続けるあんたらに言われたくはないがのう」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
汚部屋女神に無茶振りされたアラサー清掃員、チートな浄化スキルで魔境ダンジョンを快適ソロライフ聖域に変えます!
虹湖🌈
ファンタジー
女神様、さては…汚部屋の住人ですね? もう足の踏み場がありませーん><
面倒な人間関係はゼロ! 掃除で稼いで推し活に生きる! そんな快適ソロライフを夢見るオタク清掃員が、ダメ女神に振り回されながらも、世界一汚いダンジョンを自分だけの楽園に作り変えていく、異世界お掃除ファンタジー。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる