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ノ60 新たな人生
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「貴方ぁ、ちょぉっと酒癖が悪いようねぇ...まぁ仙桃を与えてしまった我にも責任があると言えばあるけれどぉ...そいっ!!!」
「ズドムッ!!」
「っ!!??...........」
雲峡は言葉尻に伊乃の鳩尾へ肘鉄をかまし、地味な動きに反して強烈過ぎるその一撃は、泥酔した伊乃を悶絶させると共に気絶させてしまった。
「睡眠も足りてなさそうだったから丁度良いかもねぇ♪『迷いの森』へ着くまでは寝てると良いわん♪」
雲峡が静かになって清々したかのようにそう言ったあと、二人を乗せた仙葉は暫くのあいだ出雲国へと空を真っ直ぐ飛んだ。
やがて、仙人覚醒を成す為の最初の試練となる地、出雲大社近くに存在する「迷いの森」へ辿り着いたのだった。
此処から数々の試練を命からがらなんとか乗り越え、全ての仙人を統べる仙人王より「聖天座真如(せいてんざしんにょ」の名を拝命し、人間の魂から仙人の魂への洗い替えも行った伊乃は、仙女への覚醒を見事に果たしたのである。
彼女、仙人としての名で「真如」は、人間界での絶望から新たに仙人としての人生を手に入れ、百五十年という人間からすれば途方もない年月を、摩訶不思議な仙人界で実に有意義に暮らすことが出来ていた。
永遠に続くものだと思われた仙人としての暮らしだったけれど、真如の前に突然現れた一人の男と出会った所為で終わりを迎えることになる...
さてさて、意外にも長くなってしまった伊乃こと聖天座真如の物語もいよいよ佳境となった次第でありまして、此処からは精一杯の力でもって「真如」の物語りを語ることに致しましょう...
仙人界といえども人間界と同じく地球にあれば、朝昼晩の風景や概念、時間の経過などは人間界と等しく存在する。
男と出会ってしまう運命の日は、いつもと変わらぬ何気ない日常の朝から始まった。
真如は自ら建築した一軒家に一人で暮らしており、極々たまに仙術の修行はするものの、金を稼ぐ為の仕事などという労働に縛られることもなく、朝はぐっすりゆっくりと寝過ごすのが常であった。
「...ふぅ、ふぅわぁ~、良く眠ったわい」
目覚めた真如が身体から掛布団を横へどける。といっても人工的に作られた羽毛布団などではなく、巨鳥の霊獣である朱雀(すざく)から奪った巨大な羽毛一枚であり、それを身体にちょんと乗せて寝るのが彼女にとっては気持ちが良いらしい。
真如は寝起きから腹を空かせて何かを食べたりすることは滅多にない。仙人は特異な体質を持っており、人間と違って空腹になることが極端に少ないからである。
「ズドムッ!!」
「っ!!??...........」
雲峡は言葉尻に伊乃の鳩尾へ肘鉄をかまし、地味な動きに反して強烈過ぎるその一撃は、泥酔した伊乃を悶絶させると共に気絶させてしまった。
「睡眠も足りてなさそうだったから丁度良いかもねぇ♪『迷いの森』へ着くまでは寝てると良いわん♪」
雲峡が静かになって清々したかのようにそう言ったあと、二人を乗せた仙葉は暫くのあいだ出雲国へと空を真っ直ぐ飛んだ。
やがて、仙人覚醒を成す為の最初の試練となる地、出雲大社近くに存在する「迷いの森」へ辿り着いたのだった。
此処から数々の試練を命からがらなんとか乗り越え、全ての仙人を統べる仙人王より「聖天座真如(せいてんざしんにょ」の名を拝命し、人間の魂から仙人の魂への洗い替えも行った伊乃は、仙女への覚醒を見事に果たしたのである。
彼女、仙人としての名で「真如」は、人間界での絶望から新たに仙人としての人生を手に入れ、百五十年という人間からすれば途方もない年月を、摩訶不思議な仙人界で実に有意義に暮らすことが出来ていた。
永遠に続くものだと思われた仙人としての暮らしだったけれど、真如の前に突然現れた一人の男と出会った所為で終わりを迎えることになる...
さてさて、意外にも長くなってしまった伊乃こと聖天座真如の物語もいよいよ佳境となった次第でありまして、此処からは精一杯の力でもって「真如」の物語りを語ることに致しましょう...
仙人界といえども人間界と同じく地球にあれば、朝昼晩の風景や概念、時間の経過などは人間界と等しく存在する。
男と出会ってしまう運命の日は、いつもと変わらぬ何気ない日常の朝から始まった。
真如は自ら建築した一軒家に一人で暮らしており、極々たまに仙術の修行はするものの、金を稼ぐ為の仕事などという労働に縛られることもなく、朝はぐっすりゆっくりと寝過ごすのが常であった。
「...ふぅ、ふぅわぁ~、良く眠ったわい」
目覚めた真如が身体から掛布団を横へどける。といっても人工的に作られた羽毛布団などではなく、巨鳥の霊獣である朱雀(すざく)から奪った巨大な羽毛一枚であり、それを身体にちょんと乗せて寝るのが彼女にとっては気持ちが良いらしい。
真如は寝起きから腹を空かせて何かを食べたりすることは滅多にない。仙人は特異な体質を持っており、人間と違って空腹になることが極端に少ないからである。
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