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第二章 アリスの楽園
07 ヒナとアリス
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◇ Real world ◇
中山小雪は恵とともに警護対象の母娘に会った。緑川の妻すみれと娘のヒナである。
幸い、仁と恵が顔見知りだったため、スムーズに事は運ぶ。
「お姉ちゃん、来てくれたんだね。ありがとう」
「ありがとうございます。これで安心しました」
母娘からめちゃくちゃ感謝された。
どれだけ信用されているんだこの人たちは! 少し疑問はあったが、まあ、それは置いておいて。仁は銀次郎や涼と合流して捜査を手伝い、小雪たちは母娘と行動を共にすることになった。
外で遊びたいと言うヒナちゃんの要望で、公園でヒナちゃんを遊ばせながら小雪は、涼からメールでもらった詳しい資料に再度目を通し、すべて頭に叩き込んだ。
恵は一緒になって遊んでいるヒナよりも自分の方が楽しそうだったが、まぁ、この方が自然で良いのかもしれない。のどかな風景である。
少し離れたところで、子供が白衣の大人と花壇に水をやっているのが見えた。ヒナが興味を持ったので、恵と二人で近づいて話しかける。
「何をやっているの?」
子供の方は驚いて固まってしまったが、白衣の大人が優しく答えた。
「お花にお水をあげているのよ、よかったら手伝ってくれる?」
二人の子供は、最初はぎこちなかったが、徐々に慣れてきて一緒になって楽しく水をあげていた。
「すみれさん! 昨日はご主人がお怪我をされたようで、お加減はいかがでしょうか?」
白衣の女性が母のすみれに話しかけた。
「夏美先生、ご心配おかけいたしまして。足を折ってしまったので、当分先生にはご迷惑をおかけすると思います」
小雪は恵に近づいて小声で説明する。
「容疑者の一人、紺野夏美よ!」
ヒナが友達になったのは、一つ年上の松本アリスという子供だった。彼女は母親の育児拒否、同居男性からの虐待により、病院の保育施設に一時収容されていた。
初めて出来た友達に、アリスは大喜びで自分の一番好きな場所を案内すると言って、ヒナ達を病院の保育室に案内する。
「私たちたくさんで、来てしまってよかったの?」
恐縮する恵たちを夏美先生は歓迎した。
そして案内されたのが、ここ(バーチャル空間)だった。
☆ Virtual ☆
「うぁ~」
辺り一面を覆う花々、花の中に埋もれてしまうような感覚、みんなこの風景に圧倒されてしまった。
「行こう!」
「うん!」
二人は手をつないで、駆け出して行った。
「どうですか? すごいでしょう。バーチャル空間だから出来る、見渡す限りのお花畑ですよ!」
小雪は感動して言葉を失い。恵は子供たちを追い越して、真っ先に飛び出していった。
「お花畑まで、競争だよ! 誰が一番かな?」
「待って、クモコちゃん。ずるいよー!」
「クモコちゃん?」
「そう。クモコお姉ちゃん!」
「正義の味方! クモコお姉ちゃんだぞ~!」
「へんなのー!」
子供たちの笑い声がお花畑にこだましていた。
中山小雪は恵とともに警護対象の母娘に会った。緑川の妻すみれと娘のヒナである。
幸い、仁と恵が顔見知りだったため、スムーズに事は運ぶ。
「お姉ちゃん、来てくれたんだね。ありがとう」
「ありがとうございます。これで安心しました」
母娘からめちゃくちゃ感謝された。
どれだけ信用されているんだこの人たちは! 少し疑問はあったが、まあ、それは置いておいて。仁は銀次郎や涼と合流して捜査を手伝い、小雪たちは母娘と行動を共にすることになった。
外で遊びたいと言うヒナちゃんの要望で、公園でヒナちゃんを遊ばせながら小雪は、涼からメールでもらった詳しい資料に再度目を通し、すべて頭に叩き込んだ。
恵は一緒になって遊んでいるヒナよりも自分の方が楽しそうだったが、まぁ、この方が自然で良いのかもしれない。のどかな風景である。
少し離れたところで、子供が白衣の大人と花壇に水をやっているのが見えた。ヒナが興味を持ったので、恵と二人で近づいて話しかける。
「何をやっているの?」
子供の方は驚いて固まってしまったが、白衣の大人が優しく答えた。
「お花にお水をあげているのよ、よかったら手伝ってくれる?」
二人の子供は、最初はぎこちなかったが、徐々に慣れてきて一緒になって楽しく水をあげていた。
「すみれさん! 昨日はご主人がお怪我をされたようで、お加減はいかがでしょうか?」
白衣の女性が母のすみれに話しかけた。
「夏美先生、ご心配おかけいたしまして。足を折ってしまったので、当分先生にはご迷惑をおかけすると思います」
小雪は恵に近づいて小声で説明する。
「容疑者の一人、紺野夏美よ!」
ヒナが友達になったのは、一つ年上の松本アリスという子供だった。彼女は母親の育児拒否、同居男性からの虐待により、病院の保育施設に一時収容されていた。
初めて出来た友達に、アリスは大喜びで自分の一番好きな場所を案内すると言って、ヒナ達を病院の保育室に案内する。
「私たちたくさんで、来てしまってよかったの?」
恐縮する恵たちを夏美先生は歓迎した。
そして案内されたのが、ここ(バーチャル空間)だった。
☆ Virtual ☆
「うぁ~」
辺り一面を覆う花々、花の中に埋もれてしまうような感覚、みんなこの風景に圧倒されてしまった。
「行こう!」
「うん!」
二人は手をつないで、駆け出して行った。
「どうですか? すごいでしょう。バーチャル空間だから出来る、見渡す限りのお花畑ですよ!」
小雪は感動して言葉を失い。恵は子供たちを追い越して、真っ先に飛び出していった。
「お花畑まで、競争だよ! 誰が一番かな?」
「待って、クモコちゃん。ずるいよー!」
「クモコちゃん?」
「そう。クモコお姉ちゃん!」
「正義の味方! クモコお姉ちゃんだぞ~!」
「へんなのー!」
子供たちの笑い声がお花畑にこだましていた。
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