歌集「呪い歌」

降羽 優

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第1首: 肝試きもだめし残り一組戻らない スマホの音が井戸から響く

第2首: コツコツと 闇夜に迫る足音が近づくように 少し早まる

第3首: 安置室 線香のが漏れ出るは ドアの隙間に白い指先

第4首: その窓はさっき閉めたと思うけど? ケイコの後ろ動く人影

第5首: 強い雨 ワイパー効かぬタクシーの 後ろの席にうつる人影

第6首: 霧の中 追った人影立ち消えて 足に食い込むマニキュアの爪

第7首: 廃校舎 夜中集まり肝試し 帰りに何故か合わぬ人数

第8首: トンネルの途中で会った白い影 車の横について離れず

第9首: 片づけた 人形がまた顔を出し 閉めたふすまく音がする

第10首: 落とされた首がぐるりと向き直る オレをにらむなアイツが悪い
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