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本編

6.お見合い②

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 今の私は学園が休みの日に婚約者探しのため、おじい様の探して来たお相手とお見合いを繰り返す生活をしていた。

 候補者全員に会ってから誰にするか決めると言われていて、この日がやっと最後の一人だった。

 そしてその場に現れたのは……。



「ブラッドリー!?」



 心臓が止まりそうなほど驚いた。



「ごきげんよう、ステファニー嬢」

「あ……ごきげんよう、ブラッドリー殿」

「やっぱり相手が誰だかわかってなかったんだ?」



 ジッと見詰められ、言い逃れは出来そうもなかった。

 この瞬間なぜ今日はおじい様が同席しないのかとか、そう言えば名前を教えてもらってなかったとか、変だと思っていたこと全てに納得がいった。



「どうして……昨日も会ったのだから、教えてくれれば良かったのに」

「いや、最初は言おうかとも思ったんだけど……今日の見合い相手に全く興味なさそうだったから、少し驚かしてやろうかと……驚いた?」



 悪戯いたずらが成功した子供のようにニカっと笑われて、すっかり怒れなくなってしまった。

 だって婚約者を決めなければダメだと分かっていたのに、今度もまた家の都合で決まるんだろうってタカを括って、相手のことなんて知らなくても良いって放置していたのは私なんだから。



「でも、どうしてブラッドリーが? あなた長男だって言ってたでしょう?」



 そうだ。

 長男は家を継ぐのだから、グランデ辺境伯家に婿入りは無理なのに……。



「あぁ、俺の父は騎士伯なんだ。だから俺が継ぐものは何も無い」

「えぇぇ! それなら……本当に?」

「本当に俺は、ステファニーの婚約者候補だよ」



 こうしてブラッドリーのドッキリ作戦は成功したのだった。
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