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精霊に選ばれなかったから

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「選ばれなかったって、本当!?」

3歳上のお姉様のキャサリンに言われました。

キャサリン姉様は、王立学院に通っています。そうです、精霊に選ばれたからですわ。

お姉様はいつも、
「キャロル、あなたも大丈夫よ。私と同じように精霊に絶対に選ばれるわ!」
「精霊に選ばれたら、将来有望なの。頑張るのよ!」
「精霊は、私は湖の所で話し掛けてきたの。きっとキャロルも話し掛けられるからね!」
と言ってくれていました。



けれど、私の誕生日。選ばれず帰ってきて屋敷の庭にいた私に、王立学院から帰ってきたお姉様から第一声でそう言われましたの。
普段は、王立学院の寮に入ってそこから通っているけれど、私の誕生日という事で、今日は帰ってきてくれたらしいのです。
王立学院は王都にあり、この伯爵領からは馬車で1時間程。だから、晩餐が終わったら明日の授業に備えて寮へ帰ると言っておりました。


「そうです、お姉様。」
「まぁ!…残念だけどそうね、仕方ないわね。選ばれた人はたくさんいないものね。私の可愛いキャロル。そんなに落ち込まないで。きっと大丈夫よ!」
そう言って、私を抱きしめてくれました。
…でもお姉様。私は落ち込んではいないのです。
けれど、そうですね。お父様とお母様が森から出てきた時に、無念の表情を浮かべていたのは、心苦しく思いましたけれど。

「キャロル。今は考えられないかもしれないけれど、来年、教会の学校へ通うのかしら?」
そうですね。学校は、生活に関わる一般教養を学べるらしいので、とても楽しそうですもの。

「はい。お許し頂けるのであれば、通いたいです。」
「そう。分かったわ。お父様とお母様にお伝えしてくるわね。選ばれなくても、きっと大丈夫。大丈夫だからね。」

そう言うと、お姉様はすぐに屋敷へ戻っていきました。きっと、お父様とお母様にお話しに行くのでしょう。

『なんで、笑ってるの?感じ悪い!』
『ホントね!いつもキャロルを見下してやな感じ!』
『寮に入って顔見なくなってよかったのに、帰ってきて早々あんな事言わなくても!』
『やーね!』
『やーね!』
『あいつもなんで、キャサリンを選んだのさ!』
『石を投げつける?』
『岩のがいいんじゃない?』
『蹴飛ばしてくるわよ?』

「何言ってるのよ。変な事はやめてね。」

お姉様には、いつも辛口の精霊達ですわ。
けれど笑っていたって何?私を抱きしめて涙を流していたけれど?
まぁ、精霊達は私の言うことはいつも聞いてくれるから、変な事はしでかさないと思うけれど。
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