3 / 27
精霊に選ばれなかったから
しおりを挟む
「選ばれなかったって、本当!?」
3歳上のお姉様のキャサリンに言われました。
キャサリン姉様は、王立学院に通っています。そうです、精霊に選ばれたからですわ。
お姉様はいつも、
「キャロル、あなたも大丈夫よ。私と同じように精霊に絶対に選ばれるわ!」
「精霊に選ばれたら、将来有望なの。頑張るのよ!」
「精霊は、私は湖の所で話し掛けてきたの。きっとキャロルも話し掛けられるからね!」
と言ってくれていました。
けれど、私の誕生日。選ばれず帰ってきて屋敷の庭にいた私に、王立学院から帰ってきたお姉様から第一声でそう言われましたの。
普段は、王立学院の寮に入ってそこから通っているけれど、私の誕生日という事で、今日は帰ってきてくれたらしいのです。
王立学院は王都にあり、この伯爵領からは馬車で1時間程。だから、晩餐が終わったら明日の授業に備えて寮へ帰ると言っておりました。
「そうです、お姉様。」
「まぁ!…残念だけどそうね、仕方ないわね。選ばれた人はたくさんいないものね。私の可愛いキャロル。そんなに落ち込まないで。きっと大丈夫よ!」
そう言って、私を抱きしめてくれました。
…でもお姉様。私は落ち込んではいないのです。
けれど、そうですね。お父様とお母様が森から出てきた時に、無念の表情を浮かべていたのは、心苦しく思いましたけれど。
「キャロル。今は考えられないかもしれないけれど、来年、教会の学校へ通うのかしら?」
そうですね。学校は、生活に関わる一般教養を学べるらしいので、とても楽しそうですもの。
「はい。お許し頂けるのであれば、通いたいです。」
「そう。分かったわ。お父様とお母様にお伝えしてくるわね。選ばれなくても、きっと大丈夫。大丈夫だからね。」
そう言うと、お姉様はすぐに屋敷へ戻っていきました。きっと、お父様とお母様にお話しに行くのでしょう。
『なんで、笑ってるの?感じ悪い!』
『ホントね!いつもキャロルを見下してやな感じ!』
『寮に入って顔見なくなってよかったのに、帰ってきて早々あんな事言わなくても!』
『やーね!』
『やーね!』
『あいつもなんで、キャサリンを選んだのさ!』
『石を投げつける?』
『岩のがいいんじゃない?』
『蹴飛ばしてくるわよ?』
「何言ってるのよ。変な事はやめてね。」
お姉様には、いつも辛口の精霊達ですわ。
けれど笑っていたって何?私を抱きしめて涙を流していたけれど?
まぁ、精霊達は私の言うことはいつも聞いてくれるから、変な事はしでかさないと思うけれど。
3歳上のお姉様のキャサリンに言われました。
キャサリン姉様は、王立学院に通っています。そうです、精霊に選ばれたからですわ。
お姉様はいつも、
「キャロル、あなたも大丈夫よ。私と同じように精霊に絶対に選ばれるわ!」
「精霊に選ばれたら、将来有望なの。頑張るのよ!」
「精霊は、私は湖の所で話し掛けてきたの。きっとキャロルも話し掛けられるからね!」
と言ってくれていました。
けれど、私の誕生日。選ばれず帰ってきて屋敷の庭にいた私に、王立学院から帰ってきたお姉様から第一声でそう言われましたの。
普段は、王立学院の寮に入ってそこから通っているけれど、私の誕生日という事で、今日は帰ってきてくれたらしいのです。
王立学院は王都にあり、この伯爵領からは馬車で1時間程。だから、晩餐が終わったら明日の授業に備えて寮へ帰ると言っておりました。
「そうです、お姉様。」
「まぁ!…残念だけどそうね、仕方ないわね。選ばれた人はたくさんいないものね。私の可愛いキャロル。そんなに落ち込まないで。きっと大丈夫よ!」
そう言って、私を抱きしめてくれました。
…でもお姉様。私は落ち込んではいないのです。
けれど、そうですね。お父様とお母様が森から出てきた時に、無念の表情を浮かべていたのは、心苦しく思いましたけれど。
「キャロル。今は考えられないかもしれないけれど、来年、教会の学校へ通うのかしら?」
そうですね。学校は、生活に関わる一般教養を学べるらしいので、とても楽しそうですもの。
「はい。お許し頂けるのであれば、通いたいです。」
「そう。分かったわ。お父様とお母様にお伝えしてくるわね。選ばれなくても、きっと大丈夫。大丈夫だからね。」
そう言うと、お姉様はすぐに屋敷へ戻っていきました。きっと、お父様とお母様にお話しに行くのでしょう。
『なんで、笑ってるの?感じ悪い!』
『ホントね!いつもキャロルを見下してやな感じ!』
『寮に入って顔見なくなってよかったのに、帰ってきて早々あんな事言わなくても!』
『やーね!』
『やーね!』
『あいつもなんで、キャサリンを選んだのさ!』
『石を投げつける?』
『岩のがいいんじゃない?』
『蹴飛ばしてくるわよ?』
「何言ってるのよ。変な事はやめてね。」
お姉様には、いつも辛口の精霊達ですわ。
けれど笑っていたって何?私を抱きしめて涙を流していたけれど?
まぁ、精霊達は私の言うことはいつも聞いてくれるから、変な事はしでかさないと思うけれど。
66
お気に入りに追加
1,134
あなたにおすすめの小説
精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
聖女らしくないと言われ続けたので、国を出ようと思います
菜花
ファンタジー
ある日、スラムに近い孤児院で育ったメリッサは自分が聖女だと知らされる。喜んで王宮に行ったものの、平民出身の聖女は珍しく、また聖女の力が顕現するのも異常に遅れ、メリッサは偽者だという疑惑が蔓延する。しばらくして聖女の力が顕現して周囲も認めてくれたが……。メリッサの心にはわだかまりが残ることになった。カクヨムにも投稿中。
私、実は若返り王妃ですの。シミュレーション能力で第二の人生を切り開いておりますので、邪魔はしないでくださいませ
もぐすけ
ファンタジー
シーファは王妃だが、王が新しい妃に夢中になり始めてからは、王宮内でぞんざいに扱われるようになり、遂には廃屋で暮らすよう言い渡される。
あまりの扱いにシーファは侍女のテレサと王宮を抜け出すことを決意するが、王の寵愛をかさに横暴を極めるユリカ姫は、シーファを見張っており、逃亡の準備をしていたテレサを手討ちにしてしまう。
テレサを娘のように思っていたシーファは絶望するが、テレサは天に召される前に、シーファに二つのギフトを手渡した。
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる