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終わらないYouTube
しおりを挟む蝉の鳴き声が耳を突く。
雲一つない青空からは強い紫外線がカーテンの隙間から差し込み、私を夢から覚まさせた。
今日はいつもの様に学校の友達グループとのYouTube撮影をする。
「さーてと!化粧しなきゃ!」
私は鏡の前で化粧品をばら撒き、顔を作っていく。
片目だけアイラインを引かない。それが私のスタイルなんだけど、私はそれが酷く嫌だった。
「よーし、撮影始めるよ!」
今日も撮影場所は友達の家の中。そこにはソファと机しか無く、酷く殺風景な部屋だった。
私と友達ら数人はその部屋に無造作に寝転がり、撮影は始まった。
もう五年間もの間そういった様子を撮影しているが、未だに一つも完成せずにいる。
「ねぇ、これただ寝てるだけだよね?たまには違う事しない?」
私がプロのカメラマンにそう言うと、カメラマンはしぶしぶ考え始めた。
「じゃあ、髪の毛染めてみる?」
「え、誰の?」
「言い出しっぺは君だから勿論君の髪の毛だよ?」
そこまで言われて引き下がれる訳もなく、私の髪の毛を染める撮影が始まった。
カメラマンが私をカメラに捉え、友達が私の髪の毛をハケで染めて行く。
「ちょ、待って。痛い。」
その子は染めるのが凄く下手くそで、染め粉が、たっぷり付いたハケで私の目を撫でた。
すぐに洗い流させては貰えず、撫でられた目は真っ赤に充血していた。
この時私はふと思った。
「だからアイライン引かなかったんだ。」
無事今日の撮影も終わり、そそくさと車に乗り込み帰宅している最中に気づいた。
「あ、iQOS。絶対忘れたわー。」
そう思い、来た道を引き返した。
すると、道路に私のiQOSが落ちているのに気づいた。
「うわ!」
私はすぐに車を降り、iQOSを手に取ったがもうペチャンコで何やら異音を発していた。
「これ、大丈夫かなー?まぁ、いいや。」
私はすぐには気づかなかったが、恐らく潰れたんだろうと思いゴミ箱に投げ入れた。
その夜、旦那が私の友達と帰ってきた。
「え、なんで?」
私は不審に思い、問いただした。
「いや、違うんだ。ちょっと一回試してみただけなんだ!」
旦那は馬鹿だった。
家に連れ込み何やら言い訳を始めたかと思えば、言い訳にすらならない事を言い始めた。
私は連れ込んだ時点で腹が立っていたのにさらに腹わたが煮え繰り返った。
「ふざけんな!このクソ野郎!」
私は顔を真っ赤にし、旦那に掴みかかろうとした瞬間それは出た。
そうGだ。
真っ黒いそれは、機敏に廊下を駆けずり回った。
「きゃぁああ!!」
私は発狂し、クソ旦那に身を委ねた。
クソ旦那はスプレーを持って戦場へと一歩。また一歩と踏み込んでいった。
そんな時、私は気付いてしまった。
Gと対峙する旦那の背後にオレンジ色のGがいる事に。。
そして私はそっと家を後にした。
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