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勝負下着
しおりを挟む夏。
日差しが身を焦がす程に照りつけ、皆はプールや海といったアウトドアに明け暮れていた。
そんな私は今日庭でバーベキューをしている。
庭には大きな屋根が付いていて、身を焦がす様な日差しも突然の豪雨も問題なかった。
バーベキューと言ってもお肉を食べるばかりでは無く、私の大好きなカレーを大きな鍋で煮込んでいる。そしてその中に中華麺を入れて食べるのがさらに美味しさを引き立てるのだ。外で食べるカレーラーメンは最高なのだ。
「もう、食べれそうやな!」
するとおじいちゃんは鍋の蓋を開けながらそう言うと、異常なスピードで麺を全部食べてしまった。
私はキレた。私が今回のバーベキューで一番楽しみにしていた麺を全部食べられたのだからそれは仕方ないと思う。
だからキレた。
弟に。
妹の旦那さんもその場にいたけど、そんなのはお構いなしに弟に捲し立てた。言葉にならない言葉で、声が枯れるほど怒鳴った。おじいちゃんには返しきれない程の恩があるからおじいちゃんには何も言えない。けど、この思いに蓋をすることも出来ない。だから弟にぶつけた。それが自然だった。
食べていたご飯粒が飛び散る程に怒り狂う私。弟は怯えていた。顔に大量のご飯粒をつけて。
私の大きな声を聞きつけて見知らぬおばあちゃんが慌てて走ってきた。
「大変よ!大変!」
おばあちゃんは肩で息をしながら慌てた様子で私たちの前で立ち止まった。
「チェロが。チェロがぁっ!」
「ちょっとおばあちゃん、落ち着いて下さい。どうしたんですか?」
慌てたおばあちゃんを見て冷静さを取り戻した私は、自分の事を棚の上に上げて何事もなかったかの様に接した。
「はぁはぁ。はぁ。チェロがね。チェロが殺されたんだよ。うぅ。」
顔から血の気が引き、青白くなっていくのがわかった。
恐らくおばあちゃんの飼っているペットの話だろう。ただ死んでいたのなら分かる。病死か寿命だろう、だけどおばあちゃんは殺されたと言っていた。怖くなり、関わりたくないとも思ったがおばあちゃんの気持ちを考えるとそうも言ってられなかった。
「とにかく現場を見せてください。」
私は精一杯の勇気を振り絞り、現場へと足を運んだ。
「この子だよ。」
おばあちゃんの家の中。狭いリビングの机の上。そこには小さなお皿があった。
私は目を疑った。
そこには小さな種と爪楊枝ほどの大きさの茎がお皿の上に無造作に置かれていたのだ。見ただけで分かる。
サクランボだ。
チェロとはサクランボの事だったのだ。
「くだらない。」
そう吐き捨てて私はおばあちゃんの家を出た。
バーベキューも終わり、お風呂に入ろうと服を脱いでいた。脱ぎ捨てた下着に私は目を見開いた。
そこにはTバックが落ちていた。私は今日一日Tバックを履いていたのだ。
普段は決して履かないTバック。
食い込みが気持ち悪いからと避けていたTバック。
だけど今日一日、全く違和感はなかった。
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