家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「208話」

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北上さんの話を詳しく聞くと、足場がないなら足場があるとこに行けば良いじゃんっていうことだった。
つまり、空中での戦闘は一切行わずにただひたすら足場を目指して行けと。戦闘は足場についてからやれば良いじゃないってことである。

なるほど。それは分かりやすくて良い。
もう他のダンジョン潜るなりして、カードやらなんやら準備を整えないといけないと思っていたが、これでいけるかも知れない。

後日、クロにそのことを話すとクロもそれで良いと考えたらしく、手持ちのカードから丸一日かけて可能な限り早く移動する方法を模索することになった。


そして、さらにその翌日。
俺とクロは再びゲートキーパーの居る扉前へと来ていた。

「そんじゃあ……クロさん、たのんます」

俺の言葉に頭上から「ぶにゃん」と返すクロ。

なぜ頭上からかと言うと、俺の頭にクロが乗っているからである。
向きは俺から見ると、クロが後ろを見ている状態だ。
そして俺はクロの後ろ足をがっしりとつかんでいる。

これから俺とクロが何をするかと言うとだ……まず助走をつけて蹴破った扉から思いっきり飛び出す。
そして空中で向きを180度変えて、クロは飛行に専念し、俺は後ろに向けて思いっきり細く絞ったブレスをぶっぱする。この時、飛竜が待ち構えていたら回れ右して逃げるつもりだ。いないといいなー。

こうすることで俺とクロぐんぐん加速し、飛竜に追いつかれることなく浮島へとたどり着く。
そんな作戦である。すでに何度も練習して相当な速度で飛べることは実証済みだ。

見た目以外は完璧な作戦であると言えるだろう。
あとは着地がちょっと痛いぐらいだ。

さて、覚悟を決めて行きますかね!

「どっせーい!」

俺は扉から距離をとり、すぅっと息を吸って……掛け声と共に扉を蹴破り飛び出す。
一日置いたため、飛竜は待ち構えていないようだ。

そうなればあとは全力でブレスを吐くだけっ。


ブレスを吐くと、一気に速度が上がり、扉はどんどん小さくなっていく。
扉が米粒ぐらいの大きさになったとき、それとは別に視界に点が見えた。
おそらく飛竜がこちらに気が付いて向かってきているのだろうが……これだけ距離をとってしまえば、接敵するより先に浮島につくのは間違いないだろう。



……間違いないよね?
結構な時間飛んでるけど、ていうかそろそろ別のものを吐きそうなんですがそれは。

そんな不安をよそにクロは徐々に高度を下げていく……後ろを向いてる俺には、高度が下がっているかはちょっと分からないのだけどね。

そして少し時間をおいて、頭上から「にゃー」鳴き声がする。
地面につくって合図だ。

合図に合わせて俺は着地体勢をとろうと足を下げ……そして地面に足が触れた。

「うごごごごごっ」

その瞬間、俺はクロの足をつかんでいた手を放す。
そして強烈なブレーキがかかり、俺は盛大に地面を転がりながら削っていく。
練習の時よりひでえや。

「うぐっ」

10秒かそこらで、どうにか動きを止める事が出来た。
全身に痛みがあるが、それはたいしたことはない。
問題は……。

「ぐっ、ぉぼろろろっぉえええ」

ブレスを長時間吐き続けたことによる強烈な吐き気だ。
到底耐えきれるものではなく、俺は胃の中身を全部ぶちまけることになってしまった。


「あー……くっそ、ブレス中に出さなかっただけマシだけどさあ」

水代わりにポーションで口を濯ぎ、多少すっきりはしたものの思わず悪態が口から出てしまう。
強力だからあまり連発出来ないようにする為だとは思うんだけど、この吐き気は正直しんどい。

これ、もう少し浮島が遠かったら、ブレス中に汚物をブレスするところだったよな。
汚物にブレスがふれたらどうなるのか……下手すりゃ空中で爆散しとったぞ。
まじ危ない。


それから空中で別れたクロと合流し、ざっと浮島を見渡してみるが。

「ほぼ草原、たまに土が見える程度……直径は1キロぐらいかな? 戦いやすそうだ」

この浮島はおそらく戦闘する場として用意されたものなんだと思う。
だったら初めから歩いて行けるようにしろよと思わなくもないが……まあ、アマツの拘りとかそんなんだろう。たぶん。

そしてそうこうしている内に、ふっと地面を影が過る。

「おし、きたきた。どうにか地面に叩き落とさないと……」

飛竜の登場である。
まだかなり高いところをぐるぐると旋回しているが、そのうち降りて攻撃を仕掛けてくることだろう。

下に地面があるとはいえ、ある程度近づいてくれないことには攻撃しようがない。
しばらくは相手の行動パターンをみて、隙をついて地面に落とす感じかな? どういう理屈で飛んでいるのかは分からないけど、翼にダメージ入れれば落ちるんじゃないかな……落ちなかったら、どうしようね? どうにか背中に乗り移って首を落としにいくかな。 再生能力はそこまでじゃないっぽいし、首を落とせば死ぬとは思う。



「うーん、持久戦だこれ」

戦闘開始して30分が経ったけど、未だに地面に落とせていない。
このくそ飛竜さ、さっきからブレスしか吐いてこねーのですよ。

こっちもブレス撃ち返してはいるけど、距離があってやっぱ致命傷にはならない。
クロは空を飛べるから、ある程度近寄れはするんだけど、やっぱ空中での機動力となると飛竜に分があるんだよね。クロが近寄ろうとするとすぐに距離を取りやがるんですわ。

「閃光〇がほしい」

飛竜の眼前に投げたら落ちてこないかな。
くっそー、隊員さんにスタングレネードだっけ? あれ貰ってくればよかったな。
まじで厄介すぎるぞこいつ。


「ん、そろそろか?」

ただ、30分もの間、戦い続けた意味はあったようだ。
徐々にだけど飛竜の飛ぶ速度だったり、高度が落ちてきている。
あの巨体をあの速度で飛ばすというのはそれなりに負担となるようだ。

これなら隙をみて落とせるかも知れない。
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