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「209話」
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そろそろか? と思ってからが長かった。
高度が下がってからも、クロが近寄ろうとするたびに距離をとってブレスを連打する飛竜に、俺とクロも逃げながらブレスや氷礫を撃ちまくるという、ようは飛竜と同じ行動をとるしかできないでいた。
飛竜のブレスによって地形が変わり、そろそろこの浮島割れたりしないよな? と内心不安になったあたりで、ようやくチャンスが訪れる。
飛竜もいい加減疲れて注意が散漫になっていたのだろう。
俺のブレスを避けた先で、たまたま飛んできた氷礫が飛竜の目に直撃した。
さすがに目に直撃するのは効いたらしく、飛竜は身をよじる。
そしてそれをチャンスとみたクロが飛びかかり、例の蛇のスキルで翼を絡めとったのだ。
そこに俺も追撃で加わり、翼の根元に鉈を思いっきり叩き付けた。
結果として切断するまでには至らなかったが、翼を使い物にならなくすることは出来た。
「……でけえな、おい」
そして俺たちは地面に墜ちた飛竜と対面しているのだが……これがまたでかいんだ。
隊長で言えば21階のドラゴンの倍はあるだろう。ボリュームでいったら5倍ぐらいか? 生き物として考えれば規格外もいいところだ。
「なんで俺をにらんでるんですかねえ」
それでこの飛竜だけど、どうにも俺をメインターゲットとして決めたらしい。
翼に傷をつけられたのが余程癪に障ったのだろうか? 氷礫あてて翼の動きを封じたのはクロなのになあ。
……まあ、単に小さくて動きの速いクロよりも、俺の方が倒しやすいと思っただけなのかも知れないね。
こいつ先にやっちまおう、みたいな? 酷い話である。
さて、いつまでにらみ合っている訳にもいかんな。
恐らく疲れとしては飛竜のほうが……てか、俺とクロはポーションのおかげで疲れてないんだけどね。
まあ、それはさておき。
疲れている内にボコボコにしちゃると攻撃に移ろうとした瞬間……俺の視界の端に何かが高速で迫っているのが見えた。
「あっぶね!?」
俺は体を地面にぴったりと着けるように、身を伏せた。
その直後、俺の頭上をかなりの質量をもつものが、高速で通り過ぎる。
迫っていたのは尻尾だった。
こいつ、体をほとんど動かさずに尻尾だけ振りやがった。
それも俺に気付かれにくいように。
厄介だ……なんて思う暇もなく、飛竜は追撃にはいる。
今度は腕を振るい、噛み付き……と、その巨体に見合わない速度で矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてくる。
「はえぇぇ……おごっ」
俺はその攻撃を盾でいなし、躱しとどうにかしのいでいたが、頭上から振り下ろされた尻尾を避けることができなかった。
また死角からせめてきやがったな、こんちくしょうめ。
とっさに腕を上げてガードしたので、ダメージはそこまでじゃない。
どう反撃してやろうかと思っていると、ふいに腕に掛かっていた重圧が消える。
クロが横から攻撃を加えたため、飛竜が退いたのだ。
ここは俺も攻撃に加わるべきだろうと、俺も鉈を強く握りしめ攻撃に加わるが……。
「くっそ、その巨体で反則だろうが」
思うように攻撃があたらない。
これだけでかいのだから、当てるだけなら簡単な気がするのだが、こうあたる瞬間に身を引いて上手い具合に避けやがるのだ。
深く踏み込めば当たるが、その場合は反撃もくらいやすくなる。
こいつまじで面倒だぞ。
巨体で動きが早いとかまじで勘弁してほしい。
そしてそれだけでも厄介なのに、こいつはもう一つ厄介なところがある。
「土蜘蛛ォ!!」
こちらに向かい振るわれた足を狙い、思いっきり土蜘蛛をぶっぱなす。
カウンターではいった土蜘蛛は、飛竜の鱗や甲殻を砕き、肉を引き裂いていく。
「どうなってんだこいつの肉は」
かなり深い傷を与えることは出来た。
でもそれだけだ。
今までの敵であれば、土蜘蛛が直撃すれば風穴があくか、吹っ飛ぶか。
少なくとも当たった箇所は使用不可能になるぐらいのダメージがあったはず。
だが、こいつの場合は肉で咥え込んで抑えてくるので土蜘蛛を振り切れないのだ。
深く刺されば刺さるほど抵抗は大きくなり、しまいには引き抜くにも苦労するありさまだ。
それは土蜘蛛だけに限らない。
「切りにくいったらない、ってのお!」
普通に鉈で切りつけた場合もそうだ。
深く切りつけると、鉈がなかなか抜けないし、かといって浅く切っただけでは大したダメージにはならない。
そうなると、ひたすら同じ個所を何度も切りつけないといけなくなる。
つまり滅茶苦茶時間掛かるんだ。
クロの場合は力場を発生しているので、振り切れないとかいった事態にはならないが、あまり深手にはならないらしい。
もし飛竜に強力な回復手段があったら、倒しきれないだろうな。
こっちに回復手段がなくても詰んでる。
幸いこいつの回復能力はそこまで高くはない。なので時間を掛ければ倒せるだろう。
そう思っていたのだけど。
「タフ過ぎませんかね」
1時間近くどつきまわしているが、一向に死ぬ気配がない。
「大分弱ってるが」
もちろん最初と比べれば大分動きも緩慢だし、息も荒くて、口から涎がぼたぼたと垂れてるような状態だ。同じ個所を何度も切りつけているから、全ての足は千切れ掛けだし、首や尻尾もボロボロだ。
でも死なないで動き続けている。
このままだとこっちのポーションが尽きかねない。
そうなるとスタミナが徐々に減っていって、逆にこっちがピンチになりそうだ。
まずいな。
せめてあの邪魔くさい尻尾を切り落とせれば大分変るのだけど。
「ダメージ覚悟でいくしかないか」
飛竜の攻撃で一番苦労したのが、じつは尻尾だったりする。
避けにくいし、まともにくらうと骨がへし折れる。
こっちが攻撃するタイミングに合わせて、尻尾を振るうもんで攻撃するにも思い切ることが出来ない。
それでもこのまま削っていけば……とは思っていたのだけど、さっきも言ったようにポーションの在庫が危なくなりそう。
そんなわけでごり押しで尻尾を狙おう。
切り落とせば何か良いアイテム出るかもしれないし。
とりあえず、尻尾以外を狙って攻撃しよう。
そうすれば高確率で尻尾で反撃してくるので、そこを土蜘蛛で迎え撃つ。
カウンターで入ればいくらなんでもかなりのダメージになるはずだ。
それは俺にも言える事だけどね。一発ぐらいは覚悟の上である。
さって、いきますか。
ちらっとクロに視線で合図を送り、後ろ足を切りつける。
するとすぐさま尻尾が向かってくるので、俺は尻尾に向かい鉈を叩き付けた。
「土蜘蛛!!」
激しい破裂音がして、飛竜の尾に風穴があいたのが見えた。
そしてそれと同時に全身が砕けんばかりの衝撃が俺を襲い。俺は浮島の端まで吹っ飛ばされてしまう。
「くそいてえ」
全身の骨がバッキバキに折れてはいるが、それもすぐに癒えた。
俺は動けるようになると、すぐさま戦場へと向かい走る。
着くと当時にクロが飛竜の尾を切り飛ばした。
「おっし!」
これで攻撃に集中できる。
あとはこのくっそタフな飛竜をどう倒すかだけど、やっぱ首かな。
回復能力がそこまでじゃないし、首を落とせば死ぬはずだ。
よし、ひたすら首を狙うとしようか。
高度が下がってからも、クロが近寄ろうとするたびに距離をとってブレスを連打する飛竜に、俺とクロも逃げながらブレスや氷礫を撃ちまくるという、ようは飛竜と同じ行動をとるしかできないでいた。
飛竜のブレスによって地形が変わり、そろそろこの浮島割れたりしないよな? と内心不安になったあたりで、ようやくチャンスが訪れる。
飛竜もいい加減疲れて注意が散漫になっていたのだろう。
俺のブレスを避けた先で、たまたま飛んできた氷礫が飛竜の目に直撃した。
さすがに目に直撃するのは効いたらしく、飛竜は身をよじる。
そしてそれをチャンスとみたクロが飛びかかり、例の蛇のスキルで翼を絡めとったのだ。
そこに俺も追撃で加わり、翼の根元に鉈を思いっきり叩き付けた。
結果として切断するまでには至らなかったが、翼を使い物にならなくすることは出来た。
「……でけえな、おい」
そして俺たちは地面に墜ちた飛竜と対面しているのだが……これがまたでかいんだ。
隊長で言えば21階のドラゴンの倍はあるだろう。ボリュームでいったら5倍ぐらいか? 生き物として考えれば規格外もいいところだ。
「なんで俺をにらんでるんですかねえ」
それでこの飛竜だけど、どうにも俺をメインターゲットとして決めたらしい。
翼に傷をつけられたのが余程癪に障ったのだろうか? 氷礫あてて翼の動きを封じたのはクロなのになあ。
……まあ、単に小さくて動きの速いクロよりも、俺の方が倒しやすいと思っただけなのかも知れないね。
こいつ先にやっちまおう、みたいな? 酷い話である。
さて、いつまでにらみ合っている訳にもいかんな。
恐らく疲れとしては飛竜のほうが……てか、俺とクロはポーションのおかげで疲れてないんだけどね。
まあ、それはさておき。
疲れている内にボコボコにしちゃると攻撃に移ろうとした瞬間……俺の視界の端に何かが高速で迫っているのが見えた。
「あっぶね!?」
俺は体を地面にぴったりと着けるように、身を伏せた。
その直後、俺の頭上をかなりの質量をもつものが、高速で通り過ぎる。
迫っていたのは尻尾だった。
こいつ、体をほとんど動かさずに尻尾だけ振りやがった。
それも俺に気付かれにくいように。
厄介だ……なんて思う暇もなく、飛竜は追撃にはいる。
今度は腕を振るい、噛み付き……と、その巨体に見合わない速度で矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてくる。
「はえぇぇ……おごっ」
俺はその攻撃を盾でいなし、躱しとどうにかしのいでいたが、頭上から振り下ろされた尻尾を避けることができなかった。
また死角からせめてきやがったな、こんちくしょうめ。
とっさに腕を上げてガードしたので、ダメージはそこまでじゃない。
どう反撃してやろうかと思っていると、ふいに腕に掛かっていた重圧が消える。
クロが横から攻撃を加えたため、飛竜が退いたのだ。
ここは俺も攻撃に加わるべきだろうと、俺も鉈を強く握りしめ攻撃に加わるが……。
「くっそ、その巨体で反則だろうが」
思うように攻撃があたらない。
これだけでかいのだから、当てるだけなら簡単な気がするのだが、こうあたる瞬間に身を引いて上手い具合に避けやがるのだ。
深く踏み込めば当たるが、その場合は反撃もくらいやすくなる。
こいつまじで面倒だぞ。
巨体で動きが早いとかまじで勘弁してほしい。
そしてそれだけでも厄介なのに、こいつはもう一つ厄介なところがある。
「土蜘蛛ォ!!」
こちらに向かい振るわれた足を狙い、思いっきり土蜘蛛をぶっぱなす。
カウンターではいった土蜘蛛は、飛竜の鱗や甲殻を砕き、肉を引き裂いていく。
「どうなってんだこいつの肉は」
かなり深い傷を与えることは出来た。
でもそれだけだ。
今までの敵であれば、土蜘蛛が直撃すれば風穴があくか、吹っ飛ぶか。
少なくとも当たった箇所は使用不可能になるぐらいのダメージがあったはず。
だが、こいつの場合は肉で咥え込んで抑えてくるので土蜘蛛を振り切れないのだ。
深く刺されば刺さるほど抵抗は大きくなり、しまいには引き抜くにも苦労するありさまだ。
それは土蜘蛛だけに限らない。
「切りにくいったらない、ってのお!」
普通に鉈で切りつけた場合もそうだ。
深く切りつけると、鉈がなかなか抜けないし、かといって浅く切っただけでは大したダメージにはならない。
そうなると、ひたすら同じ個所を何度も切りつけないといけなくなる。
つまり滅茶苦茶時間掛かるんだ。
クロの場合は力場を発生しているので、振り切れないとかいった事態にはならないが、あまり深手にはならないらしい。
もし飛竜に強力な回復手段があったら、倒しきれないだろうな。
こっちに回復手段がなくても詰んでる。
幸いこいつの回復能力はそこまで高くはない。なので時間を掛ければ倒せるだろう。
そう思っていたのだけど。
「タフ過ぎませんかね」
1時間近くどつきまわしているが、一向に死ぬ気配がない。
「大分弱ってるが」
もちろん最初と比べれば大分動きも緩慢だし、息も荒くて、口から涎がぼたぼたと垂れてるような状態だ。同じ個所を何度も切りつけているから、全ての足は千切れ掛けだし、首や尻尾もボロボロだ。
でも死なないで動き続けている。
このままだとこっちのポーションが尽きかねない。
そうなるとスタミナが徐々に減っていって、逆にこっちがピンチになりそうだ。
まずいな。
せめてあの邪魔くさい尻尾を切り落とせれば大分変るのだけど。
「ダメージ覚悟でいくしかないか」
飛竜の攻撃で一番苦労したのが、じつは尻尾だったりする。
避けにくいし、まともにくらうと骨がへし折れる。
こっちが攻撃するタイミングに合わせて、尻尾を振るうもんで攻撃するにも思い切ることが出来ない。
それでもこのまま削っていけば……とは思っていたのだけど、さっきも言ったようにポーションの在庫が危なくなりそう。
そんなわけでごり押しで尻尾を狙おう。
切り落とせば何か良いアイテム出るかもしれないし。
とりあえず、尻尾以外を狙って攻撃しよう。
そうすれば高確率で尻尾で反撃してくるので、そこを土蜘蛛で迎え撃つ。
カウンターで入ればいくらなんでもかなりのダメージになるはずだ。
それは俺にも言える事だけどね。一発ぐらいは覚悟の上である。
さって、いきますか。
ちらっとクロに視線で合図を送り、後ろ足を切りつける。
するとすぐさま尻尾が向かってくるので、俺は尻尾に向かい鉈を叩き付けた。
「土蜘蛛!!」
激しい破裂音がして、飛竜の尾に風穴があいたのが見えた。
そしてそれと同時に全身が砕けんばかりの衝撃が俺を襲い。俺は浮島の端まで吹っ飛ばされてしまう。
「くそいてえ」
全身の骨がバッキバキに折れてはいるが、それもすぐに癒えた。
俺は動けるようになると、すぐさま戦場へと向かい走る。
着くと当時にクロが飛竜の尾を切り飛ばした。
「おっし!」
これで攻撃に集中できる。
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