家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
168 / 304

「168話」

しおりを挟む
「まだざわついてるなあ」

クロのメッセージで会場が一時騒然となったけど……いや、まだ騒然としているけどね。
オークション自体は無事に終わったよ。クロが出品したドラゴンもクロの希望した条件で落札されていたしね……。

「ねえねえ、島津くん……あっち」

少し遠くを見る様にして考え事をしていると、北上さんが肩をちょいちょいと突いて、あっちあっちと指をさす。

北上さんがさした方向にはクロがいる。
なるべく見ないようにしていたのだけど、北上さんをスルーする分けにはいかない……。


「……猫って踊れるんだ」

「はじめてみたよー」

北上さんが示した先ではクロが喜びの舞を踊っていた。
こう、ずんどこずんどこ、ずんどこどこ……とか太鼓が鳴ってそうな舞である。

よっぽど落札出来たのが嬉しかったのだろうね……ところでクロや、この部屋にいるの俺たちだけじゃないの忘れてないデス?

さっきから「Oh...Oh my god」とか「Jesus...」とかとか「Foooo!!」みたいな声が聞こえているんですがそれは。


だから遠くを見ていたのだよ、俺は。


「ドラゴンでちゅーるなんか作れるのかなあ」

「いけるんじゃない?落札したの製造メーカーの人なんでしょー?」

「うん」

ああ、結局落としたのは製造メーカーのたぶん偉い人……かな。

クロの端末ちらっと見せて貰ってたんだけど、結構色々な条件が来てたんだよね。
例えばー……「製造メーカーに伝手があるので、落札後に製造を依頼する。その際の費用はこちらで全て持つ、それとは別に落札費として……」だったり「言い値で買う」とか「製造メーカーを買収するので……」なんてのもあった。
最後のはクロの怒りを買ったぽいけど。

ただ、最終的に製造メーカーの関係者を名乗る人物が「責任をもって製造し出品者に届ける。ただし消費期限の関係などで2年分以上は用意できないがそれでも良いだろうか?」とコメントし、クロがそれでOKを出したので、無事落札となった訳だ。

細かい話は後で詰めるそうだけど……猫と商談する光景を想像すると、かなりシュールだな。
まあ、たぶんクロは自分が食える分を確保出来れば良いって感じだろうし……あとは配布用ぐらい?これはメーカーさん側がかなり得するんじゃないだろうか。

余ったお肉は食うしかないだろうけど、皮とか爪と牙とかは売っちゃっても良いだろうし。
今後のことを考えて売らずに飾るとかなるかもだけどね。


「さて、と……もうそろそろ帰りますか?」

もうオークション終わったしねえ。
北上さんがOKならそろそろ帰るべさ。

クロは踊り疲れたのか丸くなってるしね。

「んー。そうだねえ、人もまばらになってきたし……帰ろっか?」

んし、北上さんのOKもでたし、帰ろう。

「クロいくよー」

クロに声を掛けて、よっこいしょと持ち上げ……首に巻き付ける。
うー……と不機嫌そうな唸り声が聞こえたが、一応会場の外に出るまではね?ちょっとの間だけだから我慢して貰おう。


会場から出た俺たちは、そのままの足で駐車場へと向かった。
俺の車が停めてあるんよね。北上さんは駅まで電車できて、ここまで歩いてきたらしいので帰りは送るつもりである。

てかこのまま解散となるかは分からないしね!

「いやー……色々あったねー。もう残高見るのが怖いよあたしゃ」

「残高増えすぎてもう笑うしかないっす」

北上さんにそう言って笑う俺であるが……いやあ、まじで洒落にならない額だよなあ。
引き籠りたいって言ってた北上さんの気持ちもほんと良く分かる。

……さて、そろそろ駐車場に着くが。

「……まだ飯には早いですね」

「微妙な時間だねえ」

……とりあえず帰るとは言いださなかった!

さてさて、どうしようか。
実際まだ飯には早いんだよねえ……うーん。

「キャンプ用品見にいきます?」

買いに行きたいって言ってたけど……。

「そりゃ魅力的な提案だねー。……でもそれは落ち着いてからがいいかなー?」

俺の言葉に嬉しそうな顔をした後、少し困ったように首を傾げる北上さん。

……うん、お金ありすぎて怖いもんね。
絶対落ち着いてからのほうが良いだろう。

「それじゃー……北上さんの引き籠り先を整えにいきますか」

「おー?」

そうなるとやっぱあれだ。
実際に引き籠れるようにしないとだね。
今もそれなりに施設は整っているけど、シャワールームとかランドリーとか、もうちょい良い施設にした方が良いだろう。

これで衣食住の内、衣以外はそろったはず……北上さんの個室がどうなってるか分らんけどね。
さすがに聞くのはちょっと躊躇う……んま、とりあえず家のダンジョンに向かうとしよう。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...