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「148話」

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やはりと言うか、メッセージは中村であった。


「やっぱり……ええと、何々」

内容もなんとなくは予想がつくが……。


「募集始まったら一緒に応募しようぜー!と……気合い入ってんなあ」

気合い入ってんなー。
ダンジョンに興味ありありだったしなー。

さて、どうするべ。一緒に応募するのは嫌ではないけど……ほんと、どうするべ。

向こうは俺が既にダンジョンに潜ってるって知らんのよなー。
俺ん家の近所にダンジョンがある。ぐらいの認識しかない、はず。

「んんー……仮に当選したとしても土日ぐらいしか行けないぞっと」

平日はこっちのダンジョン潜るつもりだからねえ。
もし中村が平日も潜るつもりならタイミング合わなくて無理じゃないかなー。

レベル差とかもあるし……と、ちょっと消極的な返事を返してみる。

「むむ。俺も仕事は止めないし土日だけのつもり……おう、そうきたか」

が、しかし中村からの返事は俺も土日だけのつもり、であった。
それにどうやら他にパーティを組む予定もない……と言うか断られたらしい。

さすがに仕事をしながらは……と言った人が多かったようである。
あとは例のゴブリンの映像を見て、あんなのと戦うなんて無理ってのも多いそうだ。

でも興味がある人もそれなりに居て、仕事がなければ……とか言ってたそうだ。
いずれ状況が落ち着いてきたら参加する可能性は一応ある。でも、レベル差はついちゃうから、組むのが難しくなるかもね。

てか中村よ。平日仕事して土日はダンジョンって、かなりハードな気がするけど大丈夫かいな。


「あとは実家の畑の手伝いもしているから、行けないときもあるぞー……送信っと」

あとはダンジョンに潜る以外にも畑の手伝いとかあるし……最近あまり無いけど。
またその内お手伝いする事になるだろうから伝えておかないとだ。


「別に構わない、か……まあ、それも良いか」

ふーむ。
それでも良いから行こうぜ!と来たか。

なら一緒に潜ろうかな。
別のダンジョンにはいずれ行く必要があると考えていたしね。
ここよりもでかいダンジョンにクロと二人で潜るってのは、目立ちそうだし……中村と3人ならまあ多少ましだろう。

それにどうせ行くなら友達のほうが良い。
知らない人とパーティ組むとかキツイものがある。

だって、実際に生身で戦闘するし、ドロップとかあるし、ギスギスしそうな気が、ちょっとね。

友達であれば言いたいことも言いやすいし、溜め込んだりしない分うまく行くと思うんだよね。

ちょっとばかしレベル差があり過ぎるけど、そこは中村に頑張って貰うとしよう。

それにいざとなればここのダンジョンに連れ込んだって良い。
一緒に潜れば俺とクロが異常に強いってのがすぐばれるし、そこから俺が既にダンジョンに潜ってるってのも分かるだろう。


と、まあそんな訳で、良いよーと返事を返しておく。
まあ最初はトライアルって事だから人数絞るだろうし、すぐ潜れるかは分からないけど……たぶん、俺がお願いしたらすぐ潜れる気がしなくもない。

まあ、それはダメだった時に考えるか。



「畑の手伝いは土日に限定しなくても良いし……あ、じいちゃんばあちゃんにポーション渡さないとだ」

畑の手伝いはさっき土日だよって送ってしまったけど、別に平日ダンジョンに潜ら居ない日にしてもいい。
だから土日は割と確保出来るとは思う……畑で思い出したけど、じいちゃんばあちゃんにポーション渡さないと。

もう情報は解禁されてるし全部渡してしまおう。えっと今何時だ……22時過ぎかあ。

「まだ流石に寝てないよね……微妙だな。明日の朝にしよ」

会見の後だから結構遅い時間になってしまった。
起きているか分からないし、そもそもこんな時間に電話するのはダメだろーってことで、電話は明日の朝だな。

とりあえずもう少しニュースサイトをあさって、眠くなったら寝るとしよう。




そしてスマホでニュースをあさり……気が付いたら朝になっていた。
寝落ちしたようだ。

……とりあえずご飯食べて、それから電話掛けるか。




「うん、うまい」

今日のご飯は納豆と山盛りご飯です。
あとお味噌汁。インスタントだけどねー。

手抜きだけど、結構いけるんだよな、これが……と、俺が味噌汁をすすっっていると、ふいにニュースに速報が流れた。


「んー??今日も会見すんの?」

内容はまたダンジョンについて会見を行う……と言ったものであった。
昨日したばっかじゃんー。


「3カ国同時に発表した為、あまり時間が取れなかったので……なるほど」

そのままニュースを見ていたら、どんな会見をやるのかーとか、なんでやるのかーって話をニュースキャスターさんが、原稿ちらちら見ながら説明してくれた。

それによると昨日は時間が遅かったこともあり、十分な質疑時間を取ることが出来なかった。
なので質疑応答の場を設けるので、聞けなかった事を聞いてちょ!ってことらしい。

「あ、そっか……そういや昨日会見で使ってなかったもんな」

あとはいくつか映像を用意していたが、流す時間が無かったので今日改めて流す……との事だ。

よく考えると、北上さんの怪我を治療した時の映像流してなかったな。せっかく撮ったのに。

もしかして戦闘シーンなんかも流す気なのかな?
いくつか映像を用意したって事は、治療場面意外にも有るって事だろう。

「今のうちポーション届けてくるか」

会見までは時間がある。
午前中に用事を済ませて、ゆっくり見るとしよう……てな訳でまずは電話だー。

電話を掛けると二人とも家に居たらしく、これから向かうことを伝えると待っているね。とのことだった。
なので俺はさっそく端末を起動し、ポーションを購入しようとするが……ふと、違和感を覚える。

「おろ、ポーションの必要ポイントが変わってる……5階のやつは据え置きで、他は高くなってるな」

よく見るとポーションの必要ポイントが変わっていた。
5階で入手できるものは据え置きだが、それ以外のポーション類が軒並み高くなっている。
10階は5万、15階で25万、20階は125万……と以前と比べると相当高い。

よくよく思い出してみると、アマツがポーションは高くする見たいな事を言っていたはず……5階のポーションが据え置きなのは、交渉の結果かな?

「効果も変わってるし。確か前は3年、5年、7年……って感じだったよな?」

あと変わったところと言えば、ポーションの効果も少し変わっていた。
若返りのポーションで言えば、3年、6年、9年、12年……と3年ずつ増えていってる。あ、1年のやつは効果変わらずだね。あっちは老化抑えるポーションって事なんだろう。

しっかし、合計で30年若返るのか……凄いなそれ。
じいちゃんばあちゃんも30台半ばになってしまうぞ。

……じいちゃん本気でダンジョン潜り始めたりしないよな?フリじゃなくて、本当にしないよな……ばあちゃんが止めるだろうから、たぶん大丈夫とは思うけど。

まあ、そのへんは追々考えるとして、今はポーションを届けることにするとしよう。


祖父母宅に到着し、玄関のチャイムを鳴らそうとしたところ、ガチャリと扉がひらく。
車の音で俺がきたと分かり、開けてくれたようだ。

「あ、じいちゃんおひさー」

「おう、ようきた」

家にあがった俺は、ぱんぱんに膨らんだバッグを渡す。
もちろん中身はすべてポーションである。

「はい、これお土産」

「ポーション4種類ね。これが怪我でこれは病気、こっちは解毒でこれは若返り。瓶が違うのは効果が違うよ」

持ってきたのは俺が買えるすべてのポーションである。
怪我と病気と解毒は多めに、若返りは二人分+αで持ってきた。

「これが、そうなのか……」

「康平、これ貰っても良いものなの?貴重なものなんでしょう?」

「いっぱい手に入るから大丈夫だよ。その気になればトラックの荷台埋めて余るぐらい手に入るし」

さすがに20階のポーションは数揃えるのはきついけど、それでもダース単位で揃えるぐらいはどうって事は無い。5階、10階のであれば尚更だ。

ドラゴンの素材をポイントにすると、おっそろしいぐらい貰えるんだよね。倒したことで貰えるポイントも相当だ。

既に俺とクロが持つポイントは、億単位に差し掛かろうとしている。ポイントのインフラが半端じゃないね。

まあそれだけポイントあっても、国民全員にポーションを行き渡らせるのに全く足りてないんだけど。
やっぱ大勢の人が参加してくれないとね。

「んじゃ、ポーションちゃんと使ってねー」

「おう、ありがとなあ」

「気を付けて帰るんだよ」

ポーションを渡して、そのままお昼をご馳走になってしまった。
今度はドラゴンのお肉をお土産に持ってこなきゃだね。

さて、帰ったらちょうど会見始まるぐらいかな?
飲み物とお菓子を用意しないとだー。



会見はいきなり例の治療場面を流すところから始まった。

「……おぉ、静まり返ってる」

CGようなその映像が本物であると中々理解できないのだろう。
会場はシンと静まり返っていた。

そして司会が質問はありますか?と問いかけた瞬間、堰を切った様に喧噪が広がった。


「そりゃあの映像はインパクトあるもんなあ」

それからしばらくはポーションについての質問が続いた。
どんな種類があって、どれぐらいの効果があるのか、数はどれぐらいあるのか、等々。

ポーションを寄越せーって声が大きくなりそうだけど、そこはお偉いさん方にどうにかして貰おう。
現場にしわ寄せがくるような事にはなって欲しくないし。


治療場面のあとは戦闘シーンの映像が流れた……え、流して良いものなの?血がどばどば流れそうだけど。

……と思ったらしっかりモザイク入ってた。
てかモザイクだらけでどんな映像かよく分からんぞ。

……まあ、そこは記者さんらも思ったらしく、映像がよく分からない声が上がる。
そしてインターネット上に無修正の映像を上げたので、それを見て欲しいとアドレスが表示される。

早速見ようとしたが既に激重だ。
相当アクセス集中してるなこれ……。

「……隊員さんの戦闘シーンばかりだねえ。見たこと無い敵は別のダンジョンの映像かな」

それでもしばらく粘っていると、どうにか繋ぐことが出来た。
映像は一つだけでは無くいくつか上がっていたが、そのどれにも俺が見たことの無いモンスターがちらほら居ることから、違うダンジョンの映像だと分かる。

潜るときの参考になりそうだね。
後で隊員さんに言って映像貰おうかなー。

「俺の映像は使わなかったのかー……ドラゴンとか反響凄そうなのにねー」

一通り見たけど、ドラゴンの戦闘シーンはなかったね。
てか俺の映像は無かった感じだ。
別に使っても良いんだけどねー。ドラゴンとかみんな凄い食い付くと思うんだけど。


「あ、ついに突っ込みはいったか」

その後も会見は続き、ついに首相達の体について質問が出た。
ダンジョンで戦うとその様な体になるのか?言う質問に対し、そうではなくこれは筋トレによるものだと答えたもんで、会場のざわつきが更に大きくなる。

どんな筋トレやん、と。

「年齢は18歳以上と……ただし学生はNGとな。学校止める奴とか出そう」

後でたのが年齢制限についてだ。
これは18歳以上なら良くて、ただし学生は除くって感じ。
まあ、学生を入れるのは色々と面倒な事になりそうだし、そうなりわなーって感じである。
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