家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「37話」

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バイト代として金一封貰ってしまった。

これで留守番しているクロにいいもの買ってあげよう。




「やっぱ情報は無しっと」

かにかまを食ってるクロを横目に、ダンジョンの情報が出回っていないか確認したけど、まだ出回っていない様である。

「んー……筋トレすっか」

そう呟くとスマホを置いて自室へと向かう俺。

自室には筋トレの器材が並んでいるが、徐々に手狭になってきている。

ジムに行っても良いのだけど、ポーション飲んでるのがばれたら困るし、二の足を踏んでいる。

ダンジョンの休憩所は広いけど、あっちだとレベルアップの恩恵がなあ……その内アマツに相談してみるかなー。






「あ、レベルあがってる。 クロは?」

オーク狩りを続けることさらに1週間。
気が付けばレベルアップしていた。

「クロも上がってるか、よしよし。 じゃあいよいよ……行っちゃう?」

俺の問いににゃーんと返すクロ。
クロもレベルアップしていたようである。

これで俺はレベル14に、クロは13になった。

オークもかなり楽勝に倒せるようになっているし、そろそろ頃合いだろうと言うことで俺は扉へと向かうことにした。



9階層にある扉はゴブリンの時と同じように、他の扉と比べて扉の形とか大きさ、それに装飾が大きく異なっている。

ここを突破すれば何か一区切りあるのだろう。

新しい機能が追加されるのか、それとも……ま、突破すれば分かるか。



「んー」

ポーションを飲み終えた俺は、盾を構えて扉へと近付いていく。

そしてそろーっと盾越しに中を覗こうとしてみるが、特に攻撃される様子は無い。
今回も遠距離攻撃持ちは居ないっと。

それを確認した俺はさらに扉から顔を出してみた。


「……牛だ」

中に居たのは牛だった。
殺意の塊の様な角をしているけど、間違いなく牛だ。

中に居たのは1匹だけだ、体格も相当良いし、強いと見て間違いないだろう。


「これからしばらくは四足タイプになるのかな?」

ゴブリンが出て以降ずっと二足タイプの敵ばかりだった、ここから先しばらくは四足タイプの敵になるかも知れないね。


しかし、牛だよな。
牛なんだよなー。


「……食えるって話だよね? クロは食べて見たい?」

俺の問いにうにゃんと応えるクロ。
牛を見る目がご飯を期待する時のあれになってる。食べてみたいらしい。

アマツが食えるって言ってたし、こいつ食えるはずなんだよなあ。
ずっとスルーしてきた事だけど、そろそろ食って見ると言うのもありではないだろうか?

牛だし、クロも食べてみたそうだし。
もしかすると絶品の可能性だってあるしね。



「なるべくお腹は狙わないで行こう」

と言うわけで食べるの前提で狩ってみよう。
内臓だばあってなると味に影響しそうなので、お腹は狙わない方針だ。


盾を構えた俺を先頭に扉へと向かう。

牛はこっちを睨みつけ、ひたすら前脚で地面をひっかいている。
恐らくは扉の先に俺が足を踏み入れると同時に、襲い掛かってくるだろう。


そしてその予想はやはり正しかった。
足を踏み入れた瞬間、牛が爆発的な加速を見せ、一気に迫ってくる。

「やっぱ四つ脚は早いなっ」

二足の敵とは加速が違う。
俺は直ぐさま盾を構え前に出し、牛の視界を遮る様にし、横っ飛びにその突撃から身を躱す。

何となく普通に避けたら追尾してきそうな予感がしたんだよね。
現に俺に躱されたと分かった牛は、瞬時に向きを変え再びこちらへと迫ってきている。

直線だけじゃなく、左右への移動も超早い。


「ほっ」

でも対処できない程じゃないんだなこれが。
一度目と同様に盾で視界を遮り突撃を躱し、すれ違いに首をざっくり斬り付ける。

太い血管を斬ったようで盛大に血が噴き出るが、すぐに死ぬわけではない。
再び振り返ろうとした牛であったが……ガクリと膝を地面についてしまう。

よく見ると前脚が二本ともざっくり斬られていた。
クロがやったのだろう……ちなみにクロだけど、俺の背中にびしっと爪で引っ付いていたりする。

俺が突撃を避けて斬り付けた時に、クロもまた前足をちょちょいと出して、牛の脚を引っ掻いていたのである。

牛からはその姿はまったく見えなかったことだろう。不意打ちにも程がある。


さて、首はざっくり斬られて大量出血中、しかも脚はやられて動けないときた。

こうなると後は出血で死ぬのを待つか、止めを刺すかなんだけど、どうしたもんかなー……と悩んでいると、なんと傷付いた脚を踏みしめ、牛が立ち上がったのだ。口からは血の泡を吹き、その目は俺を憎々しげに睨みつけ赤く染まっていた。


その瞳を見た瞬間全身に悪寒が走った。
ぞわぞわって。


ものすごく嫌な予感がして俺は盾を構え、回避行動に移る……が、それは叶わなかった。


「うっおぉっ!?」


避ける暇も無く、牛の突撃が俺へと迫る。その速度は先ほどまでの比では無い。

牛の角が盾を直撃し、ガリガリと削りながら滑っていく。
滑った角はやがて俺の二の腕にめり込み、そのまま俺の体をかち上げた。

俺はすぐに体を捻り、天井へと着地する。
角が当たった箇所がかなり痛む、骨には異常ないだろうが傷は負っているだろう。


牛の反撃は俺にダメージを与えたが、そこまでであった。
ぐらりと牛の頭が揺れたかと思うと、だらんと下に垂れ下がる。

俺が一度斬り付けた箇所を、クロがもう一度ざっくりやっていたらしい。

牛はゆっくりとその身を地面に横たえた。



「さ、最後のなんだったの……? うわ、盾にがっつり傷付いてるし」

いや、しかし最後のは本当に驚いた。
急に速度が上がるんだもんなあ……嫌な予感がして回避行動取ったからこの程度で済んだけど……ん?

「お、クロありがと」

クロが近寄ってきたのでどうしたのかな? と思ったら、口にポーションを咥えて持ってきてくれたようだ。

事前にポーションを飲んでいるので、放っておけばいずれ治る傷ではあるが、俺はありがたく頂くことにした。


ポーションをかけたことで傷も一気に癒えた。
角が当たった箇所は貫通こそしていないが、布がほつれてしまっている。赤くなっているのは俺の血だ。

あとで洗って修復掛けておかないとだね。


さて、ではお楽しみタイム……と行きたいところなんだけど。

よく考えたらデカすぎてバックパックに入りきらないんだよね。というか血で汚れるから入れたくない。
そうなると一部を持って帰る事になるんだけど、どうしようかな。

「カルビ……いや、後ろ脚かなあ……あとこの角、売れそうな気がするんだよな」


個人的にはカルビが食べたいけど、うまく腹を掻っ捌く自信がない。
そうなると取りやすそうな脚と……角がやたらと殺意の塊の様な形状をしていているので、何か売れるような気がする。

幸いなことに頭はもう取れかけなのでちょっと切るだけで済むしね。頭ごと持って帰ってタンもゲットしてしまおう。

後は脚を何とか切り落とせば……といった感じで、鉈で何とか解体しようと悪戦苦闘している時であった。


「勿論売れるとも!!」

「うわぁ、びっくりした……」

急に馬鹿でっかい声が部屋に響いた。
どう考えてもアマツだよ、こんちくしょーめ。

振り返ってみれば、部屋にもう一つ扉が出来ていた。
声はあの先から響いているのだろう……どんだけ声でかいんだよ。


「基本的にダンジョンで入手できる物は、全て売れると思ってくれて良い! と言うかそろそろこっちこないかい!?」


……あれか、たぶん今日ここを突破すると知って待ち構えていたけれど、俺とクロが扉そっちのけで作業始めたから放置くらって寂しいとかそんな感じか。


しょうがない……いくか。
もう後ろ脚は無理矢理ぶった切っていこう。

バックパックが汚れるのが嫌なので手で持っていく。
絵面ひどいな。





扉をくぐり抜けるとアマツがテーブルで待ち構えていた。

とりあえずその辺の壁に脚を立てかけて、頭は置くしかないか。

「あー床が血だらけ……」

「袋に入れてくれないかなっ!?」

新鮮なもんで血が滴り落ちてるのよね。

袋に入れてとは言うけど汚れちゃうしなあ……てか、この床って放置しておけば綺麗になるんじゃないの?


「血だらけになると洗うのが……」

「対処しよう!」

そう思い、アマツにそれとなく嫌と伝えると、返ってきたのは対処するとの応えだ。
ほほう。

「持って帰っても解体が……」

「対処するとも!」

やったぜ。
言ってみるもんだね、解体も何かしら対処してくれると言うのであれば、他の部位も持って帰っちゃおうかな?


「そういうことなら……」

内心ガッツポーズしながら、しょうがないなあ……と言った感じでバックパックに後ろ脚を詰める俺。

頭はクロのほうに入れた。
すっごい嫌そうな顔してた。ごめん。


「よしよし……それじゃ始めようか」

俺達がバックパックに突っ込んだのを確認したアマツであるが、そう言うとニコリと笑みを浮かべ話し始めるのであった。
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