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サムネは谷間だけど撮ってるのは男でした~w

最強を目指してやるっ!

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「あ~、早く次の動画出ねえかな~!」

「ははっ」

 中野の言葉に苦笑いをしておいた。その現役JKが前にいる俺なんだよって言ったらどんな反応をするのやら。中野に他の組みの奴ら、SNS……まさか一晩でここまで反応が広がるなんてな。ネットの恐ろしさを若干感じる。

 もう釣れたし、動画投稿はしなくていいと考えていれば、続けて中野がこんなことを口にした。

「俺さ~、この子のお気に入り登録したんだよ。動画投稿されたら通知がくるように!」

「え? お気に入り登録までしたのか?」

 中野の言うお気に入り登録とは、その名の通り気に入った投稿者をお気に入りリストに入れることである。それは投稿者が動画投稿したらメールで通知がきたり、お気に入り登録者のみに次に出してほしい動画のアンケートをとれたり、要はもっと動画投稿者と近くなれるツールだ。それを上手く利用してファンクラブを作ろうとクラウドファンディングを行う人もいる。

 そのお気に入り登録者が増えれば増えるほど再生回数は伸びれば、途中にネットCMを流したり、広告を入れることで自分の懐にお金が入る仕組みがある。最初に説明したUチューバ―はまさにこれで飯を食べている。

「ここ最近で一番きた動画だしな。ほら見ろよ。ネット上でも何人かお気に入り登録してるぜ」

 再生回数やネット上の反応で気をとられていたが、俺のお気に入り登録は千人ほどいたのだ。

「まだ一本だけの動画だけどさ、この子は絶対伸びるからここで終わるのはもったいねぇよな」

 そして中野の言ったそれが殺し文句のように突き刺さっては、胸にビビビッと電流が流れていく。

 そうか。みんな、俺の動画を待っているんだ。今もこうして次の動画はいつなのか、そわそわしている男どもが日本中にいる。もう生きる理由がなく、死のうと悩んでいた奴も、これを見て次の動画に期待して生きているのかもしれない。

 ふっ、と小さく笑ってからこんなことを決意した。

 だったら、期待に応えてやるさ。

 俺は、偽乳を使って最強のUチューバ―になってやる――!
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