1 / 5
サムネは谷間だけど撮ってるのは男でした~w
ほんの好奇心
しおりを挟む
始まりは、もう少し経てば高校二年生になる寒い冬の日のことだった。
「なあ、健。見ろよこの動画」
そう親友の中野が話し換えてきたのは五限の英語終わりのこと。
ただでさえ眠い昼休み後の授業。それが日本語でなく、英語というものもあってか眠気は最高潮。寝ぼけ眼で
「なんだよ」
やる気のない返事をすれば、中野はコソコソとスマホの画面を見せてきた。
画面に映っていたのはUtubeと呼ばれる世界最大級の動画投稿サイト。誰でも気軽に動画を投稿することができ、たくさんのファンを集めると一気に有名人となり、いつしかそれらはUチューバーと呼ばれ若者を中心に絶大な人気を誇る職業となった。
そしてよくよく見れば今から再生される動画のサムネイルには女性の象徴とも呼べる大きな谷間がドアップで、睡魔に負けていた頭も一気に動き始めた。
「なんだこれ新作か!?」
「ちげーよ! 最近、Utube上でこんな感じでサムネを胸アップにする女が多いんだよ。内容はソロキャンプしたり、カラオケしたり料理したり何の変哲もない動画内容だけど、この料理動画とかエプロンから胸がこぼれそうなんだぜ」
「ほーん? ちょっと見せてくれ。……すげぇ、これとか谷間全開のコスプレしてピアノ弾いてるぞ!」
「そうそう。俺やお前みたいな男がじゃんじゃん釣れるだけじゃなく、投稿者にもお金が入るわ、人気になるわ、お互いウィンウィンってわけだ」
胸ひとつですげぇな~なんて、このときは話を聞いていた。
けれどその夜、自室のパソコンでそれらの動画を見ている途中に、
「俺でもできんじゃね?」
ふとおかしなことを思いついた。
しかし俺は男。珍棒はあっても胸はない。なので、夜のテンションもあって通販サイトで装着できるシリコン型のおっぱいを購入。からの届いてすぐに着けてみると、思ったよりも自然な仕上がり。プチプライスだったからクオリティには期待していなかったが、これは合格点だ。
「さてと、いっちょとってみるか! ええと、たしかスマホでも投稿できるらしいな。タイトルは現役JKチャンネル開設~! って感じでいいよな?」
これは、ほんの好奇心から生まれたのだ。
声は無理のある裏声に色白になるよう蛍光スタンドを下から直当て。服は一人暮らしをして今は家にいない姉のパーカーを借りた。編集もなければ大したトークもない。三分も満たない短い動画に誰か釣られたら面白いなと。
「サムネは、もちろん胸アップ!」
テスト勉強ははかどらないのに、なぜかこの詐欺動画は異様に集中できてしまった。中野かクラスの誰かが引っかかったらマジで爆笑もんだな。
ニヤニヤとしてアップロードをしたのはいいものの、そこからすぐに寝落ちしてしまい目覚めたら遅刻寸前の時間ということもあって動画を投稿したことなどすっかり忘れてしまった。
「なあ、健。見ろよこの動画」
そう親友の中野が話し換えてきたのは五限の英語終わりのこと。
ただでさえ眠い昼休み後の授業。それが日本語でなく、英語というものもあってか眠気は最高潮。寝ぼけ眼で
「なんだよ」
やる気のない返事をすれば、中野はコソコソとスマホの画面を見せてきた。
画面に映っていたのはUtubeと呼ばれる世界最大級の動画投稿サイト。誰でも気軽に動画を投稿することができ、たくさんのファンを集めると一気に有名人となり、いつしかそれらはUチューバーと呼ばれ若者を中心に絶大な人気を誇る職業となった。
そしてよくよく見れば今から再生される動画のサムネイルには女性の象徴とも呼べる大きな谷間がドアップで、睡魔に負けていた頭も一気に動き始めた。
「なんだこれ新作か!?」
「ちげーよ! 最近、Utube上でこんな感じでサムネを胸アップにする女が多いんだよ。内容はソロキャンプしたり、カラオケしたり料理したり何の変哲もない動画内容だけど、この料理動画とかエプロンから胸がこぼれそうなんだぜ」
「ほーん? ちょっと見せてくれ。……すげぇ、これとか谷間全開のコスプレしてピアノ弾いてるぞ!」
「そうそう。俺やお前みたいな男がじゃんじゃん釣れるだけじゃなく、投稿者にもお金が入るわ、人気になるわ、お互いウィンウィンってわけだ」
胸ひとつですげぇな~なんて、このときは話を聞いていた。
けれどその夜、自室のパソコンでそれらの動画を見ている途中に、
「俺でもできんじゃね?」
ふとおかしなことを思いついた。
しかし俺は男。珍棒はあっても胸はない。なので、夜のテンションもあって通販サイトで装着できるシリコン型のおっぱいを購入。からの届いてすぐに着けてみると、思ったよりも自然な仕上がり。プチプライスだったからクオリティには期待していなかったが、これは合格点だ。
「さてと、いっちょとってみるか! ええと、たしかスマホでも投稿できるらしいな。タイトルは現役JKチャンネル開設~! って感じでいいよな?」
これは、ほんの好奇心から生まれたのだ。
声は無理のある裏声に色白になるよう蛍光スタンドを下から直当て。服は一人暮らしをして今は家にいない姉のパーカーを借りた。編集もなければ大したトークもない。三分も満たない短い動画に誰か釣られたら面白いなと。
「サムネは、もちろん胸アップ!」
テスト勉強ははかどらないのに、なぜかこの詐欺動画は異様に集中できてしまった。中野かクラスの誰かが引っかかったらマジで爆笑もんだな。
ニヤニヤとしてアップロードをしたのはいいものの、そこからすぐに寝落ちしてしまい目覚めたら遅刻寸前の時間ということもあって動画を投稿したことなどすっかり忘れてしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる