婚約者の家に行ったら幼馴染がいた。彼と親密すぎて婚約破棄したい。

佐藤 美奈

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第29話

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「ジャック!」

エリザベスの騒がしい金切り声がジャックの家に響き渡る。

「エリザベス!?」
「おお、エリザベスか。そんな大声でどうしたんだ」
「エリザベスちゃん久しぶりね」

数ヶ月ぶりのエリザベスの登場にジャックと両親は嬉しそうな顔をして胸に喜びが湧く。

我がまま放題で子供みたいに世話の焼ける子でこちらが何倍も疲れるけど、やっぱりエリザベスが来てくれなくて寂しかったというのが本音でした。

「クロエいる?家にいないの!」

ジャックと両親と違いエリザベスは取り乱した口調で回りをキョロキョロしてる。

「クロエがどうしたんだ?」

一時は婚約までしていた元恋人のジャックはクロエに何があったんだ?と聞き返す。

「家からいなくなっちゃったの!i家の中どこを探してもいないからジャックの家にいるかなって…」

エリザベスはクロエの姿が見えないからジャックの家に探しに来たみたい。エリザベスからしたらそれが自然な感覚だった。

何しろクロエと父親のカインが結婚するまでは、ジャックの家でクロエと会っていたからです。だけどクロエがジャックの家に来ていた最大の理由はジャックと付き合っていたからで、とうの昔に別れているからクロエが来る意味がなく居るはずがない。

しかしエリザベスには、そういう意識はありません。ジャックの家に行けばクロエがいると頭の中にインプットされている。

「普通は僕の家じゃなくて実家に帰ってると思うけど?」
「そうなの?」

クロエは自分の家に帰ってるんじゃないの?とジャックがもっともな事を答えますが、エリザベスにはまだ理解ができないのか無邪気な瞳で不思議でならないという顔をしています。

「でも久ぶりだから今日はジャックの家で遊んでいく!」
「おお、ではゆっくりしていきなさい。泊まってもいいぞ!」
「エリザベスちゃんなにか食べたいものある?直ぐに用意するわ!」

エリザベスはクロエが現れるまではジャックの家がエリザベスにとってくつろぎの場所でした。しばらくぶりの癒しの空間で嬉しそうに顔を輝かせている。

両親も愛情を注ぐ目でここぞとばかりに甘やかして、エリザベスが部屋でだらだらと過ごすのを温かい目で見守っていました。

ちなみにジャックの家にはもう借金はありません。結果的にジャックからクロエを奪ってしまったので、後ろめたさを感じたカインが全て返済をした。

借金が無くなった時ジャックの両親は、カインの前でひれ伏して神様のような存在だと心から敬い、うれし泣きが止まらずその日は体を震わせて泣き続ける。

とは言え、ジャックの家の借金額はカインの財産からしたらほんの僅かな金額なので何ということはない。それに今でもエリザベスの家から金銭的援助を受け続けているジャックの家は本当に異常なほど優遇されています。

「ジャック遊んで!」
「おう!」

幼馴染との久しぶりの触れ合いにジャックも気持ちが明るくなる。エリザべスもしばらく見ないうちに綺麗になったなあと不意に思いましたが、実際には何も変わってないことに気が付いたりして、この日は珍しく賑やか過ぎる夜でした。
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