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失踪。
しおりを挟む消防署に戻ると、リーダーを始め、隊のみんなが心配そうに駆け寄ってきた。
「どうだった?」
「せっちゃんは無事か?」
雄大「・・・襲われてはいなかったんだけど・・・熱が高いからしばらく点滴で様子見ることになった。」
「せっちゃんの家族は?連絡できたか?」
雄大「弟がいるから・・・連絡したけど来るのに15時間はかかるみたいで・・・。」
「海外からか?何の仕事してるんだろな。」
雄大「さぁ・・・。」
「まぁ、ちょくちょく覗きに行けばいい。病院まで歩いて10分くらいの距離だし。」
雄大「迷惑かけます・・・。」
その日、俺は仕事に戻ったけどなかなか集中できなかった。
みんなが手伝ってくれて・・・なんとか仕事を進ませて・・・夜には少し時間が取れそうだった。
家に帰ってゆっくりする時間なんて取る気がない俺はまっすぐ病院に向かった。
ーーーーー
コンコン・・・ガラガラ・・・
雄大「雪華・・・。」
さっきと同じ姿で眠っていた雪華。
点滴の種類だけが変わったようだ。
雄大「2~3日は目が覚めないって言ってたけど・・・明日には起きてくれたらいいな。」
俺は雪華の首もとに手をあてた。
点滴の効果か・・・熱が下がってきてるような気がする。
雄大「そろそろ署に戻るよ。また明日来るから・・・。」
ずっとそばにいたい気持ちを押し殺し、俺は病院をあとにした。
ーーーーー
翌日の昼過ぎ・・・
仕事の隙間時間を作って病院に来ると、雪華の弟くんがいた。
ベッド脇にある椅子に腰かけて、なにやら書類を眺めていた。
雄大「あ・・・ユキくん・・・」
ユキ「こんにちは。雪華の容態は医師から聞きました。そばにいてくれてありがとうございます。」
雄大「襲われてないことも聞いた?」
ユキ「はい。」
雄大「ちゃんと守れなくて・・・ごめん。」
もっと最悪の事態を想定しておくべきだった。
後悔は・・・いくらしても過去に戻れない。
ユキ「でも・・・最速で助けに行ってくれたんですよね?」
雄大「それはそうだけど・・・」
ユキ「仕事があるからできないことも多いじゃないですか。ねーちゃんが無事ならよかったんです。」
雄大「ユキくん・・・。」
ユキ「あとは俺の仕事なんで。任せてください。」
そう言ったユキくんの言葉に、俺は疑問を抱いた。
俺はユキくんの仕事内容を・・・知らない。
雄大「ユキくんって・・・なんの仕事してんの?」
ユキ「え?ねーちゃんから聞いてないんですか?」
雄大「うん。」
ユキ「雪華め・・・自慢してくれてもいいのに・・・」
ユキくんはぶつぶつと雪華に文句を言いたそうだった。
雄大「?」
ユキ「俺、弁護士です。世界中にクライアントがいてて、世界を飛び回ってます。」
雄大「・・・え!?」
ユキ「依頼がきたら依頼主の国に行く・・・まぁフリーみたいなものですけどね。」
雄大「すごいな・・・!」
ユキ「だから・・・ねーちゃんの弁護は俺がします。任せてください。」
俺は姿勢を正して、ユキくんに深々と頭を下げた。
雄大「よろしく・・・お願いします。」
ーーーーー
雪華side・・・
雪華「ん・・・・・・あれ・・?・・・ここは・・・?」
目が覚めた私は、見慣れない天井を見つめた。
ユキ「!・・・起きた!?」
その声に顔を横に傾けると・・・ユキの姿が見えた。
雪華「ユキ・・?ここ・・・どこ・・・?」
ユキ「病院。雪華が高熱で運ばれた。」
雪華「高熱・・・・。」
私は熱を出した時のことを思い出した。
雪華「朝から熱があって・・・お店休むって電話して・・・春樹が来たんだ。」
痛む頭を手で押さえた。
どうやら包帯を巻かれてるようで・・・なんだか感触がおかしい。
雪華「私・・・春樹に・・・春樹に・・・っ。」
『襲われた』
そう確信して目から涙が溢れてくる。
ユキ「違う!!」
突然のユキの大きな声に驚いた。
雪華「え・・・・?」
ユキ「ねーちゃんは何もされてない。直前で・・・ねーちゃんの彼氏が助けてくれたんだよ。」
雪華「雄大さん・・・が・・?」
ユキはナースコールを押した。
看護師さんが病室に来るまでの間・・・私が気を失っていたときの話を詳しくしてくれた。
病院に運ばれて来た時に襲われたかどうかの診察がされ・・・襲われてないことが確認できたらしいことを。
雪華「私・・・無事なの・・・?」
ユキ「うん。・・・あいつは捕まったよ。これから裁判になる。」
雪華「裁判・・・・・。」
ユキ「雪華は出廷しなくていい。俺に・・・何してほしい?」
ユキは世界中にクライアントをもつ弁護士。
その連絡先は公開されてなく、『紹介』でしか連絡先を入手することができないくらいの・・・売れっ子弁護士だ。
そんな弟を自慢に思うからこそ・・・弟の職業をおいそれと人に教えることはできなかった。
雪華「もう二度と・・・会いたくない。」
ユキ「・・・おっけ。二度と近寄らないことを誓約させる。慰謝料は?好きな金額ぶんどってくるよ?」
雪華「・・・。」
カフェの開業資金にあてることもできるけど、そうすれば一生春樹を忘れることができなくなる。
そのお金を使って手に入れたものは・・・恐怖感と背中合わせになってしまう。
雪華「あの人のお金なんて・・・欲しくない・・・。」
ユキ「わかった。何か思いついたら言って?雪華の望む通りにしてやるから・・・。」
雪華「ありがと。」
ユキと話をしてる時、看護師さんが病室に入ってきた。
私の様子を確認して・・・医師を呼ばれ・・・私は点滴を外された。
医師「もう大丈夫そうですね。退院の日取りをあとで相談しましょうか。」
雪華「ありがとうございます。」
医師「いえいえ。お大事に。」
そう言って医師は看護師さんと一緒に病室から出て行った。
ユキ「よかったな。」
雪華「うん。・・・あ、ユキは仕事に戻るの?」
ユキ「あぁ。明日か明後日には戻る。」
ユキは基本的に海外在住。
日本に帰ってくるのは・・・私に会うためか仕事の都合くらいだ。
そんなユキに・・・私はお願い事をもちかける。
雪華「ユキ・・・お願いがあるの。」
ユキ「・・・うん?」
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