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食器の数の意味。
しおりを挟む雪華の元カレが頭にちらつく。
食フェスで雪華に突っかかってるとこからアイツが前に付き合ってたやつだってことはすぐにわかった。
雄大(まぁ・・俺のために捨ててなんて言えないし・・・。)
そんなことを考えながら食器を片付けてると、見覚えのあるものが食器棚の隣にあった。
あの食フェスで買った・・・キャンドルホルダーだ。
雄大「ここに飾ってたの?」
食器棚の隣にあった飾り棚。
その上に布じきとともに置かれていた。
雪華「うん。キャンドルを入れたいけど・・・なんだかもったいなくて・・・へへ。」
雄大「!!・・・じゃあどれにキャンドル入れるか悩むくらい揃えないとな。」
雪華の照れてる顔が可愛くて、食器の嫉妬なんてどこかに吹っ飛んでしまう。
カチャカチャと食器を片付けてると、雪華は冷蔵庫から鶏肉を取り出した。
さっき買ってきたパンもテーブルに出した。
雪華「さてと・・・。」
せっかく片づけが終わったのにまたまな板や包丁を出し始める。
雄大「・・なんか作んの?」
不思議に思いながら覗き込むと雪華は鶏肉をまな板の上に乗せた。
包丁を持ったまま悩んでるようだ。
雪華「今日の晩御飯の下ごしらえと、しばらく食べれるものを作っときたくて・・・。」
雄大「下ごしらえ?」
雪華「チキン南蛮にしようか・・・味噌漬け炒めにするか・・・醤油のパリ焼きにするか・・・・。」
雄大「!!」
雪華の言葉を聞いて、俺は尻尾を振る犬になった。
チキン南蛮とか・・・味噌漬け炒めとか・・・食べたいに決まってる・・・!
そわそわと雪華の身体に身を寄せる俺に、雪華が気がついた。
にこっと笑いながら・・・俺の希望する言葉を言ってくれた。
雪華「ふふ。食べて帰る?」
雄大「!!・・・いいの!?」
雪華「あははっ。食べたくて仕方ないって顔してるよ?(笑)」
雄大「うんうんっ、食べたいっ。」
雪華はまな板に置いた鶏肉を見つめながら俺に聞く。
雪華「じゃあ何食べたい?」
雄大「チキン南蛮!!」
雪華「男の人ってチキン南蛮好きよねー。なら下ごしらえはあまりないから・・・クルトン作ろっかな。明日のスープ用に。」
そう言って鶏肉を冷蔵庫にしまい、8枚切りのパンを2枚取り出した。
サラダ油を薄く塗り伸ばして・・・電子レンジに放り込んでいく。
雄大「クルトンって・・・レンチンで作れんの?」
雪華「うん。揚げてもいいけど・・・そのためだけに油を出すのも大変だからね。」
そう言って電子レンジのボタンを押した。
ほんの数十秒でレンジをし終わり、取り出したパンは程よい色になっていて、硬くなってる。
それを包丁でいいサイズに切っていき・・・保存容器に入れて行った。
雪華「よし。・・・ちょっと足も痛くなってきたし、休憩しよっかな。コーヒー淹れるから・・・雄大さんが買ってきてくれたケーキ食べよ?」
雄大「俺出す!」
冷蔵庫からチーズケーキを取り出す。
雪華は手際よくコーヒーを淹れていく。
それはカフェで見る姿と同じで・・・凛とした姿が格好良かった。
雄大(ずるいよなぁ・・・きれいで・・可愛くて・・・かっこいいとか・・・。)
思い返せば一昨年に会った雪華は・・・格好良かった。
火事で避難してきた人たちに声をかけながら温かい飲み物を配っていた。
それは・・・俺たち消防士にはできないことだった。
雪華「うん?どうかした?」
カップに入れてくれたコーヒーがテーブルに二つ置かれた。
俺はケーキを箱から出して・・・皿に乗せていく。
雄大「・・・なんでもない。」
雪華「?」
俺たちはテーブルを挟んでケーキを食べ始めた。
まるで新婚のような空気に、幸せを感じてしまう。
雪華とこの先ずっと一緒にいれば・・・こういう生活が待ってるのかもしれない。
雄大(結婚かー・・・。)
色々考えながらも雪華とたくさん話をし、時間は過ぎて行った。
あっという間に晩御飯の時間になってしまい、ご飯を作り始めた雪華の手伝いをしながら俺はチキン南蛮を楽しみにしていた。
雪華「・・味見する?」
そう言って一口くらいに切ったチキン南蛮を俺の口に放り込んできた雪華。
あまりの美味さに目を見開いてしまう。
雄大「美味すぎじゃない?」
雪華「卵乗せたらもっとおいしいよ?あ、豆腐取って?」
雄大「はいよ。」
俺にでもできるようなことは雪華が指示をくれる。
手伝いながら味見を繰り返して・・・食卓は彩り始めた。
チキン南蛮に、豆腐のサラダ、白ご飯に味噌汁。
どれも美味そうに見えて仕方がない。
雄大「食べていい!?」
雪華「あははっ、召し上がれ?」
雄大「いただきます!」
ぱくっと口に放り込んだチキン南蛮は卵を乗せたからかまた味が変わっていた。
タレが美味くて・・・白ご飯がよく進む。
サラダも味噌汁も・・・どれもこれも美味い。
雄大「おかずはもちろんめっちゃ美味いんだけど・・・白ご飯がやたら美味いのは気のせい?」
自分の家で炊くのと全然違う味を口の中で感じていた。
雪華「スーパーのやつだよ?5キロ2500円のやつ。」
雄大「あんまり金額は変わらないと思うけど・・・あ、炊飯器が違う?俺のめっちゃ安いやつ・・・。」
炊飯器の金額はピンキリある。
安いものなら数千円。
高いものなら10万超えてくる。
もちろん、金額の分だけ機能も違うもので・・・高性能なものほど美味くなるって聞いたことがあった。
雪華「あぁ、炊飯器が違うね。」
雄大「どこのメーカー?」
俺の言葉に雪華は予想の斜め上の答えをくれた。
雪華「土鍋だよ?」
雄大「・・・へ?」
雪華はキッチンにあるコンロを指差した。
コンロの上には・・・土鍋がある。
雪華「今日は雄大さんが食べるから土鍋で炊いたの。いつもは一人だから鍋で炊くんだけど・・・。」
雄大「え?待って待って・・・。米って鍋で炊けんの!?」
雪華「?・・・炊飯器より早いよ?」
もう今日は驚くことばかりだ・・・。
味噌に始まり、クルトンに米に・・・。
雪華の料理上手がいかにすごいことなのかを思い知らされた。
雄大「俺、ちゃんとしたところでちゃんと言うけど・・・フライングしてもいい?」
雪華「うん?」
雄大「俺と結婚してください!!」
雪華「!?・・・はい!?」
雪華は驚いたようで、目を丸くしていた。
口に入れようとしていたチキン南蛮がお箸から落ちるのが見える。
雄大「やばい、俺、雪華の料理ずっと食ってたい。絶対に幸せにするし、ちゃんとプロポーズもやり直すけど先に言いたい。俺と結婚してください!!」
俺の言葉に、雪華は笑いだした。
手を口元にあてて・・・目を細めて笑ってる。
雪華「あははっ・・・!私、雄大さんの胃袋つかんじゃった?」
雄大「うんうん!それはもうがっしりと!」
雪華「あははっ。じゃあ・・・幸せにしてくださいね?」
雄大「!!・・・もちろん!!」
俺はそのままご飯を食べ進めた。
雪華もご飯を食べ進めたけど、ときどき思い出してはクスクス笑っていた。
雪華「・・・・ふふっ。」
その姿を愛しく思いながら、雪華のご飯を全部食べていった。
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