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きっかけ。
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鈴「え・・・?」
鈴はきょとんとした顔をしていた。
俺は自分の口から出した言葉を思い返し、我に返った。
望「あっ!いやっ・・・その・・久しぶりだからさ!会ったの・・・。」
苦しい言い訳をしながら鈴を見た。
鈴「あぁ、そうだね。施設の外で会うことなんて無かったしね(笑)」
望「うんうん!だから・・・行かないか?」
食い下がるように二度目を言った。
鈴「私、病気持ちだよ?望くんに迷惑はかけれない。」
望「俺は迷惑じゃない。鈴は?出かけたくない?」
鈴は悩みながらも俺の気持ちをくんでくれた。
鈴「近くでもいい?お兄ちゃんが心配するし・・・。」
望「うん。フラワーパークとかどう?」
鈴「・・・行きたいっ!」
望「ははっ。んじゃ、決定。冬休みに入る前に日にち決めよう。」
鈴「うんっ。」
鈴はそのあと『散歩を続ける』と言って公園を出ていった。
考えごとがあるって言いながら。
鈴「またねー。」
望「またなー。」
俺は公園で鈴の笑顔を思い出しながらちょっとの時間、幸せに浸っていた。
望「ふにゃふにゃ笑う顔とか・・・ほんとヤバいくらいにかわいい・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鈴side・・・
冬休み直前のある日、私は翔平お兄ちゃんに呼び出されて病院に来ていた。
鈴「なに?病院までって・・・。」
翔平「薬、変えようと思うんだけど。」
鈴「変える・・・?」
今飲んでる薬は恭吾お兄ちゃんに渡された薬だ。
毎日欠かさずに飲んでるおかげで、心臓が苦しくなることはない。
鈴「今の薬は?しんどくならないよ?」
翔平「今の薬は『しんどくならない』薬だ。新しい薬は『もうしんどくならない』薬。」
鈴「・・・意味がわからないよ?」
理解力の乏しい私に、お兄ちゃんはゆっくり説明してくれた。
翔平「この薬が体に合えば・・・・治る。」
鈴「治る・・・?治るの!?」
翔平「合えばな。」
鈴「飲むっ!」
私は二つ返事だった。
翔平「前に恭吾が言ったと思うけど、めまい、吐き気とかいつもとおかしいことが起こったら言うんだよ?」
鈴「はいっ。」
新しい薬を1か月分受け取り、私は家に戻った。
キッチンの薬入れに薬を放り込んで2階の自分の部屋にいく。
鈴「お兄ちゃんの『もう』って言葉が引っかかったんだよね。」
私はお母さんのパソコンを立ち上げた。
お兄ちゃんたちに向けて用意されていたファイルをマウスで掴む。
鈴「この中身を見て・・・私を見つけたなら・・これは『もう』要らないよね?」
私はファイルをゴミ箱に入れた。
一つずつ順番に。
最後のファイルをマウスで掴んでゴミ箱に入れた時、思いがけないことが起こった。
鈴「・・・・新しいファイルがでてきた!」
画面上のファイルは全てゴミ箱に入れたハズなのに、一つ、『ベル』の形をしたファイルが出現したのだ。
鈴「これ・・・私にだ・・・きっと・・・。」
そう思ってファイルを・・・開いた。
カチッ・・・・!
『鈴。このファイル、見つけれたのね。』
鈴「お母さんだ!」
『あなたを置いて死んでしまってごめんなさい。できるなら・・・鈴が大きくなるまで側で見ていたかった。一緒の時間を過ごしたかった。鈴に・・・私と同じ病気が出てないことを祈るわ。ずっとずっと・・・大好きよ?お父さんと、お兄ちゃんと仲良くね?』
短い文章だったけど・・・私がまだ3歳の時に残してくれた言葉たちだ。
鈴「私も大好きだよ・・・お母さん。」
鈴はきょとんとした顔をしていた。
俺は自分の口から出した言葉を思い返し、我に返った。
望「あっ!いやっ・・・その・・久しぶりだからさ!会ったの・・・。」
苦しい言い訳をしながら鈴を見た。
鈴「あぁ、そうだね。施設の外で会うことなんて無かったしね(笑)」
望「うんうん!だから・・・行かないか?」
食い下がるように二度目を言った。
鈴「私、病気持ちだよ?望くんに迷惑はかけれない。」
望「俺は迷惑じゃない。鈴は?出かけたくない?」
鈴は悩みながらも俺の気持ちをくんでくれた。
鈴「近くでもいい?お兄ちゃんが心配するし・・・。」
望「うん。フラワーパークとかどう?」
鈴「・・・行きたいっ!」
望「ははっ。んじゃ、決定。冬休みに入る前に日にち決めよう。」
鈴「うんっ。」
鈴はそのあと『散歩を続ける』と言って公園を出ていった。
考えごとがあるって言いながら。
鈴「またねー。」
望「またなー。」
俺は公園で鈴の笑顔を思い出しながらちょっとの時間、幸せに浸っていた。
望「ふにゃふにゃ笑う顔とか・・・ほんとヤバいくらいにかわいい・・・。」
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鈴side・・・
冬休み直前のある日、私は翔平お兄ちゃんに呼び出されて病院に来ていた。
鈴「なに?病院までって・・・。」
翔平「薬、変えようと思うんだけど。」
鈴「変える・・・?」
今飲んでる薬は恭吾お兄ちゃんに渡された薬だ。
毎日欠かさずに飲んでるおかげで、心臓が苦しくなることはない。
鈴「今の薬は?しんどくならないよ?」
翔平「今の薬は『しんどくならない』薬だ。新しい薬は『もうしんどくならない』薬。」
鈴「・・・意味がわからないよ?」
理解力の乏しい私に、お兄ちゃんはゆっくり説明してくれた。
翔平「この薬が体に合えば・・・・治る。」
鈴「治る・・・?治るの!?」
翔平「合えばな。」
鈴「飲むっ!」
私は二つ返事だった。
翔平「前に恭吾が言ったと思うけど、めまい、吐き気とかいつもとおかしいことが起こったら言うんだよ?」
鈴「はいっ。」
新しい薬を1か月分受け取り、私は家に戻った。
キッチンの薬入れに薬を放り込んで2階の自分の部屋にいく。
鈴「お兄ちゃんの『もう』って言葉が引っかかったんだよね。」
私はお母さんのパソコンを立ち上げた。
お兄ちゃんたちに向けて用意されていたファイルをマウスで掴む。
鈴「この中身を見て・・・私を見つけたなら・・これは『もう』要らないよね?」
私はファイルをゴミ箱に入れた。
一つずつ順番に。
最後のファイルをマウスで掴んでゴミ箱に入れた時、思いがけないことが起こった。
鈴「・・・・新しいファイルがでてきた!」
画面上のファイルは全てゴミ箱に入れたハズなのに、一つ、『ベル』の形をしたファイルが出現したのだ。
鈴「これ・・・私にだ・・・きっと・・・。」
そう思ってファイルを・・・開いた。
カチッ・・・・!
『鈴。このファイル、見つけれたのね。』
鈴「お母さんだ!」
『あなたを置いて死んでしまってごめんなさい。できるなら・・・鈴が大きくなるまで側で見ていたかった。一緒の時間を過ごしたかった。鈴に・・・私と同じ病気が出てないことを祈るわ。ずっとずっと・・・大好きよ?お父さんと、お兄ちゃんと仲良くね?』
短い文章だったけど・・・私がまだ3歳の時に残してくれた言葉たちだ。
鈴「私も大好きだよ・・・お母さん。」
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