お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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迎え。

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望「お兄ちゃん?」





鈴はアイスココアを一口飲んでテーブルに置いた。




鈴「私ね、心配かけたくなくて・・・お兄ちゃんに言わなかったとこがあるのね?その時にお兄ちゃんの友達に言われたの。『一人で苦しんでる姿を見るほうが心配する。なんでも言ったほうがいい。』って。」

望「あー・・・。」

鈴「その言葉を聞いて・・・私はお兄ちゃんたちにちゃんと話すことに決めた。だから望くんも・・・・・って、何えらそうなこと言ってんだろ。ごめん。」





望(鈴に諭されるようじゃダメだな、俺・・・。)




年下なハズなのに・・・

いつの間にこんなに大人になったんだろう。

見た目よりずっと大人な鈴に言われ、俺も決意した。




望「帰ったら・・・言ってみるよ。」

鈴「!!・・・うんっ。」

望「--っ!」






全開で笑う鈴に、どきどきと高鳴る鼓動が治まらない。

幼いころの初恋を再燃させるには・・・十分な材料だった。





望(・・俺、鈴のこと・・・。)






自分の想いを伝いたい衝動にかられるけど、そこはぐっと我慢した。

鈴は俺の相談に乗ってくれた。

その結果を伝える方が先だ。





望「・・・親と相談して、進路が決まったらまた聞いてくれるか?」

鈴「もちろんだよっ。私の進路の時も聞いてね?」

望「あぁ、もちろん。」





そのあとも俺たちは喋り続けた。

今の生活の話や、昔話を。

二人でケタケタ笑い合う時間が2時間ほど過ぎた時、窓をコンコン・・・と、叩く音が聞こえた。




望「?」




窓の外を見ると、背の高い男が立っていた。

手をひらひらと振ってる。




鈴「・・・直哉お兄ちゃん!?」

望「え・・・?お兄ちゃん?」




その男はケータイを取り出して指を指した。

鈴のケータイも指差す。




鈴「ケータイ?」



その直後に鳴ったケータイ。

電話の相手は・・・窓の外の男だ。




ブブブ・・・ブブブ・・・




鈴「あっ、マナーモードにしてたんだった・・!」



ピッ・・・



鈴「もしもし?直哉お兄ちゃん?何してるの?」

直哉「こっちのセリフだ。今日出かけること翔平に言ってないだろ。あいつ心配してたぞ?」

鈴「!!・・・すぐ帰る!」

直哉「送ってやるよ。」ピッ・・・




鈴はケータイを確認し始めた。



鈴「うわっ!すごい不在着信入ってる・・・。ごめん、望くん!私、帰るね!?」

望「え?」

鈴「今日出かけることを言ってくるの忘れちゃってさ、お兄ちゃんが心配してる・・・!」

望「え?そこに立ってるの、『お兄ちゃん』じゃないのか?」

鈴「もう二人いるのっ。じゃあまたね!?」





鈴は伝票を持って慌ただしくレジに走っていった。

会計を済ませて外にいる兄の元へ駆けていく。




望「またな・・・鈴。」





外で俺に向かって手を振る鈴。

俺も手を振り返し、残ってたアイスコーヒーを飲み干した。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







直哉side・・・





仕事が終わって帰ろうとしたとき、翔平から電話がかかってきた。



ピピピッ・・・ピピピッ・・・



ピッ・・・



直哉「翔平?なんだ?」

翔平「直哉、鈴と一緒か?」

直哉「俺、今仕事上がったとこなんだけど?」

翔平「さっき帰ってきたら家にいなかったんだよ。ケータイ鳴らしても出ないし・・・どっか出かけたのかな・・・お前と一緒かと思ったんだけど・・・。」

直哉「買い物じゃね?帰りに街を探しながら帰るよ。見つけたら連絡する。」

翔平「あぁ。頼む。」ピッ・・・





ーーーーーーーーーーーーーーーーー








直哉(鈴が好きそうな店は・・・・・。)



仕事帰りに街をぶらつきながら鈴の姿を探した。

服屋、雑貨屋、本屋・・・


色々覗くけど鈴の姿は見つけれない。



直哉(もう帰ったか?)



そんなことを考えながらカフェの前を通った時、中に鈴の姿を見つけた。




直哉「いた!」




俺は翔平に電話をかけた。



ピッ・・ピッ・・ピッ・・・



翔平「もしもし?」

直哉「いたぞ。カフェでなんか飲んでる。」

翔平「やっぱ出かけてたんだな。・・・ったく、どこに行くのか言ってから行けっていつも言ってるのに・・・。」

直哉「ま、とりあえずお前が心配してたことは伝えとくよ。」ピッ・・・





電話を切った後、俺はカフェの窓ガラスを少し叩いて、鈴を呼んだ。

ケータイで『翔平が心配してたこと』を伝えると飛んで出てきた。




鈴「翔平お兄ちゃん・・・怒ってた・・・?」




しゅん・・・と、しながら聞いてきた鈴。



直哉「怒ってはいないと思うけど・・・まぁ、置手紙して出かけるか、ケータイは繋がるようにするかのどっちかがいいと思うぞ?」

鈴「そうだよね・・・ごめんなさい。」

直哉「お前、『墓事件』で前科があるからな。翔平が過度に心配するんだよ。一緒に怒られてやるから・・・・ところで、さっき一緒にいたのは友達?」










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