お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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出会い。

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ぷらぷら歩きながら時間を潰してると、住宅街の中に、雑貨屋さん・・・らしきお店を見つけた。


外から見える、お店の中はたくさんの商品が並べられてる。

窓に引っ付きながら中を見ると、1体のマネキンさんが・・ネクタイをしているのが見えた。

ネクタイの側にはタイピン。



鈴「・・・お兄ちゃんたちも、お父さんもワイシャツにネクタイでお仕事してた・・。」



初めてお兄ちゃんと会った時を思い出す。






鈴「いっぱいお手伝いして、プレゼントしたら・・喜んでくれるかな・・。」





そんなことを思いながら眺めてたら、急激な胸の痛みに襲われた。



どくんっ・・・!




鈴「いっ・・・!!」





私は胸を押さえてその場にしゃがみ込んだ。



鈴「はぁっ・・はぁっ・・なに・・?」



一瞬だけの痛み。

何が起こったのか分からなかったけど、病院に戻ったほうがよさそうだ。

呼吸を整えて立ち上がった時、全身の血の気が引いていくような感覚に襲われ、私の目の前の景色は真っ暗になった。




どさっ・・・!







ーーーーーーーーーーーーーーー







消防署・・・・





ビーッ!・・ビーッ!・・ビーッ!・・




けたたましいサイレンが消防署内に鳴り響いた。



『住宅街で女性が倒れてるとの通報!直ちに出動してください!』




出動命令が下り、救命士たちが出動する。





直哉「急げ!」

救命士「はいっ!」




通報のあった場所にかけつけると、女の子が1人倒れていた。

通報してくれたであろう人が付き添ってる。




直哉「この方とお知り合いですか?」

店主「いえ、うちの店の前で倒れたのを見たので・・・。」

直哉(1人か。何か身分証明書があればいいけど・・・)



そう思って鞄の中を漁った。

鞄を開けてすぐにあった紙。

手に取り、開いてみると『診察用紙』だった。

病院はすぐ近く。

日付は今日。


名前は・・・・・・




直哉「え?・・・翔平の名字と同じ?」



小学校からの幼なじみ『朝比奈 翔平』。

遊ぶのも、叱られるのもいつも一緒だった。

就職先は違うけど、今でも仲がよく、ご飯を食べにいったりもする。

そんな翔平の『朝比奈』という名字は珍しいハズだ。




救命士「直哉さん!どうしますか!?」

直哉「・・・近くの総合病院に連絡!診察用紙持ってるって伝えてくれ!」

救命士「わかりました!」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








ピーポー・・ピーポー・・・





病院に着いたあと、救急車から女の子を下ろした。

処置室に連れて行く道中で翔平が走ってきた。



翔平「鈴っ・・!!」

直哉「・・・やっぱり翔平の知り合い?」



ストレッチャーに乗っている女の子を心配そうに見てる。




翔平「・・・妹なんだよ。」

直哉「へ?お前ら2人兄弟だろ?お前と恭吾の・・・。」

翔平「詳しいことは今度話すよ。ここまでありがとな。」




そう言って処置室に入っていった。

救命士の仕事はここまでだ。

中に入っていった女の子と翔平の関係も気になるところだけど、俺は仕事に戻った。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






翔平side・・・




翔平「バイタルは?」

看護師「安定してます!」

翔平「・・・輸液入れといて。」

看護師「はいっ。」

翔平「あ、入れる時に血液取っといて?1本。」

看護師「わかりました!」




看護師に指示をしたあと、俺は寝てるだけの鈴の状態を確認した。

心臓の音は安定してる。

熱もない。

呼吸もしてる。




翔平「気を失ったっぽいな。心臓からか・・?」




鈴が起きてみるまではどうしようもなく、個室に寝かせることにした。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








鈴side・・・




鈴「ぅあ・・・?」




目が覚めた私は、天井が見覚えのないものだと理解した。

手には点滴が入ってる。


頭の中の・・記憶の糸を手繰り寄せた。



鈴「え・・と、病院にきて・・順番を最後にしてもらって・・・外をぶらぶらしてて・・・。」



思い出してると、ドアをノックする音が聞こえた。



コンコン・・・ガラガラ・・・




お父さん「・・・鈴っ。」



入ってきたのはお父さんだった。



鈴「お父さん・・・。」

お父さん「救急搬送されてきたって?なにがあったんだい?」

鈴「一瞬だけ胸が痛くなって・・・でもすぐに治まって・・立ち上がった・・・?」

お父さん「・・立ち上がったときに意識を失ったのか。」




お父さんは聴診器を取り出して、私の服の下から滑り込ませてきた。




鈴「?」

お父さん「うん、今は大丈夫。胸が痛くなる前、なにかおかしなことなかった?」

鈴「おかしなこと・・・?」




よく考えてみるけど特に何もなさそうだ。




鈴「なにも・・・?」

お父さん「そっか。体調でおかしなことがあったらすぐに言うんだよ?」

鈴「はい・・・ごめ・・・・」

お父さん「『ごめんなさい』はもう聞き飽きたかな?」




お父さんは私の頭を撫でた。




お父さん「検査の結果、鈴はお母さんと同じ病気の種を持ってなかったんだよ。」

鈴「持って・・なかった?」











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