上 下
17 / 67

検査が怖い。

しおりを挟む
翌日・・



カーテンの隙間から漏れる光に目を覚ます・・・・ことが多かったはずなのに、今朝は夜更かしのせいか起きることができなかった。

いつまで経っても起きない私を、お兄ちゃんが部屋まで起こしに来てくれた。




コンコン・・・ガチャ・・



恭吾「鈴?朝だよ・・・・って、え?」




私はうさぎをベッドに寝かせて、自分は床で眠っていた。

それを見て、あきれた恭吾お兄ちゃんが私を揺さぶって起こす。



恭吾「鈴ー?ほら、起きて。」

鈴「う・・?んー・・・。」

恭吾「今日は病院だろ?早く起きないと朝飯の時間無くなるぞ?」

鈴「んあ?」




目を覚ました私は、重たい瞼を擦って目を開けた。




鈴「おはよう・・ございます・・。」

恭吾「おはよ。・・・なぁ、鈴?」

鈴「ん?」

恭吾「うさぎがベッドで寝て、お前が床って・・・逆じゃね?」




私はベッドで寝てるうさぎを見た。



鈴「だって・・・かわいくて・・。」

恭吾「---っ。俺はお前がかわいいわ・・。」

鈴「?」

恭吾「ほら、朝飯。今日はパンケーキだってよ。」

鈴「パンケーキ!?」



私と恭吾お兄ちゃんは1階のダイニングに向かった。

テーブルに1皿のパンケーキが置かれてる。



恭吾「俺らはもう食べた。朝からそんな甘いもん食えないから違うメニューだけどな。それ、鈴の分。」

鈴「私の・・。」




私は席に座った。



鈴「いただきます・・。」




ぱくっと口の中に入れたパンケーキはふわふわしてて甘かった。

メイプルシロップが超おいしい。



鈴「!!・・・おいしいっ!」

翔平「よかったな。冷凍だけど。」

鈴「冷凍ってすごい!」



パクパクと食べ進め、あっという間に空になったお皿。



鈴「ごちそうさまでしたっ。」

翔平「よく食べました。」




昨日の『お手伝い』のことを忘れてなかった私は、食器をキッチンに下げに行った。

お皿を洗おうと水を出したとき、翔平お兄ちゃんに止められた。



翔平「ストップ、鈴。」

鈴「え?」

翔平「『洗う』って気持ちはわかる。でも今日はもう病院に向かわないといけないから着替えてきてくれる?」

鈴「あっ・・!はい・・。」




私は慌てて2階に上がり、服を着替えた。

病院って言ってたからちょっと大きめのトレーナーにガウチョパンツだ。



ダッシュで顔を洗って歯を磨いたとき、もう翔平お兄ちゃんは玄関で私を待っていた。




鈴「お待たせっ・・!しました・・!」

翔平「じゃ、行こうか。」



私は翔平お兄ちゃんの車に乗せてもらい、勤務先の病院に一緒に向かった。








ーーーーーーーーーーーーーーーーー






翔平「これ持って待ってて?名前呼ぶまで。」

鈴「はい。」




渡された診察の紙。

待合で待つように言われて、私は待っていた。

午前中だからか、待合は人でごった返してる。



鈴(私、最後でもいいんだけど・・・。)



そんなことを思ってると、スピーカーから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。




『朝比奈 鈴さん、診察室どうぞ。』





私は診察室をノックしてから中に入った。




コンコン・・・ガラガラ・・・



鈴「失礼します・・・?」



中にいたのは翔平お兄ちゃん。

なんか・・・針とか、注射器とかがたくさん用意されていた。




翔平「結果はどうする?ここで待つ?家で聞く?」

鈴「えっと・・・その・・・。」




お兄ちゃんが何か聞いてくれてるのに、私は注射器に目がいってしまって話の内容が頭に入って来ない。




翔平「鈴?」

鈴「・・・・・・・。」




今から針で刺されるのかと思うと、怖くなってしまって、私は俯いた。




翔平「・・・・・怖い?」

鈴「あの・・私、最後に・・・してほしいです。」




心の準備が整いそうになく、精一杯の『逃げ』だった。




翔平「それはいいけど・・・。じゃあ3時間後に待合に戻っておいで?」

鈴「はい・・・ごめんなさい・・・。」




私は診察室を出た。

さっき座ってた待合の椅子には他の誰かが座ってる。





鈴(3時間って言ってた・・。)



鞄に『診察の紙』を入れて、代わりにケータイを取り出した。

今の時間を確認する。



鈴(今が・・9時だから、12時に戻ってくる。)



どうやって心の準備を整えようかとケータイを見つめてると、近くにいた看護師さんが私に声をかけてきた。



看護師「院内はケータイ禁止ですよー?」

鈴「あ・・!ご・・ごめんなさい・・!」



私は急いでその場を離れ、病院の外まで出た。




鈴「はぁー・・緊張のしすぎかな、体が重い・・。」





まだある時間をどうしようか、顔を上げて悩む。





鈴「とりあえず、この辺歩いて見ようかな。」




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

シンデレラストーリーだけじゃ終われない!?

すずなり。
恋愛
身寄りのない子が暮らす養護施設。そこで暮らしていた13歳の女の子に『引き取りたい』との申し出がきた。中学生の彼女は施設で最年長であったことから自分を引き取ってくれる人はいないだろうと諦めていたのにチャンスが舞い込んできたのだ。しかもそれは彼女の本当の家族だった。 施設を出て晴れて本当の家族と一緒になった彼女。楽しいこともたくさんある中で色んな壁がやってくる。 施設の外を知らない彼女は一つ一つそれらを受けいれていくが・・・彼女には彼女も知らない才能が眠っていた。 そんな彼女は中学・高校と進学していく。 その中で出会った男が・・・彼女に近づいてくる。 「お前の全てが欲しい。」 ※お話は全て想像の世界です。現実とはなんの関係もありません。 ※メンタルが薄氷につき、コメントはいただくことができません。すみません。 ※スランプ明けなので文章が怪しいところが多々あります(以前もです。)。日々精進します。 ※ただただ暇つぶしに読んでいただけたら幸いです。 それではすずなり。の世界をお楽しみください。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?

すず。
恋愛
体調を崩してしまった私 社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね) 診察室にいた医師は2つ年上の 幼馴染だった!? 診察室に居た医師(鈴音と幼馴染) 内科医 28歳 桐生慶太(けいた) ※お話に出てくるものは全て空想です 現実世界とは何も関係ないです ※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます

4人の王子に囲まれて

*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。 4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって…… 4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー! 鈴木結衣(Yui Suzuki) 高1 156cm 39kg シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。 母の再婚によって4人の義兄ができる。 矢神 琉生(Ryusei yagami) 26歳 178cm 結衣の義兄の長男。 面倒見がよく優しい。 近くのクリニックの先生をしている。 矢神 秀(Shu yagami) 24歳 172cm 結衣の義兄の次男。 優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。 結衣と大雅が通うS高の数学教師。 矢神 瑛斗(Eito yagami) 22歳 177cm 結衣の義兄の三男。 優しいけどちょっぴりSな一面も!? 今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。 矢神 大雅(Taiga yagami) 高3 182cm 結衣の義兄の四男。 学校からも目をつけられているヤンキー。 結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。 *注 医療の知識等はございません。    ご了承くださいませ。

処理中です...