自称「未来人」の彼女は、この時代を指して「戦前」と呼称した

不思議美人の訪問者

第5話 未来の単位「マイクロフレーム」

　世界は同時に複数の世界が存在する、そして過去も。
　そこまではまあ聞いてあげよう。

「では、それをどのように証明すると？」

「申し訳ありません、この時代にはまだ、それを証明する術が無いのです。」

　うまく逃げたな、でも納得は出来ないぞ。

「では、私を納得させる説明をしてみせよ。」

「、、、そうですね、では、雄介様は電波をご存知ですか？」

「随分バカにしてくれるな、当たり前であろう。」

「では、その電波はどこに存在していますか？、雄介様はそれを感じる事が出来ますか？」

　あー、なるほど、解りやすいな、この説明。
　この人は、予備校の先生に向いてるな、きっと人気の講師になるだろう。

「うむ、つまり、電波と同じように、感じる事は出来ずとも、それを活用する過程で証明が出来ると言う事だな。」

「はい、その通りです。私たちのいた未来では、これら並行世界を認識した上で時間を超える事が出来るのです。」

「うむ、並行世界を概念とすると、時間と空間は、どこで交差するのだね？」

「さすが雄介様ですね、もうそこまでご理解されていますか。」

　え、俺、今、何かいい事言った感じ？
　でも、さすがに続かないぞ、聞いた事ないよこんな理論。
　わかんないって。

「いやいや、まあ、続けてくれたまえ。」

「そうなんです、この並行世界と言う言い方が、この理論を混乱させる事となるため、未来では並行世界と言う言い方を廃止しています。

　ん？、どう言う事？

「もうお解りですね、これら選ばなかった未来と過去は、常に相互干渉しているのです。」

「うむ、そこのところを詳しく。」

「はい、今人類が認識出来る時間軸と認識出来ない時間軸は、並行線ではありません。二次元的言い方をするならば、これは網の目をイメージして頂ければ解りやすいと思います。」

　あー、解った、なんだかちょっと理解出来た。
　つまり、時間軸とは単体で真っ直ぐ一本の線では無く、複雑に絡んで、相互移動していると言う事か、、、、。

「うむ、解りやすい例えだ。しかし、それが仮に網の目のように干渉していたとして、その網の目はどの程度荒い目なのか？」

　この辺は、本当に興味がある、これは知りたい、インチキ理論だとしても、なんだか凄い所にきているぞ。

「はい、戦前ではまだ証明されていない理論ですので、少し説明しにくいのですが、1マイクロフレーム毎に近似時間軸の全てが交差しています。」

　お、新しい単語、キタ！
　で、なんなんだ、そのマイクロフレームって。

「ほう、マイクロフレームとな。」

「はい、1マイクロフレームとは、この世界の時間を細分化した時に、もうこれ以上分割出来ない時間の最小単位の事になります。」

　ん、んんん？また凄いの来たぞ、
　映画のフィルムじゃあるまいし、この世界の時間に最小単位なんぞある訳が無かろうに。
　彼女の理論武装も、この辺が限界かな？

　ところがこの後、彼女のタイムトラベル理論は、ますます核心部へ進んでしまうのである。

　大丈夫なのか、こんな未来の事を話して（笑）。