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340 期待と不安

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「あぁ~……。疲れたぁ~……」

 広~い湯船に肩まで浸かり、今日一日分の疲れを癒す。ハルトとユウマは夕食も程々にすぐに寝入ってしまったから、今日は僕一人でのんびり……。

《 いっぱい、おしごとしたもんね! 》
《 《 おつかれさま~! 》 》
「うん! 皆もいい子にしててくれてありがとう」

 ……とはいかず、ノアとリュカ、テオと一緒に四人でお風呂に入っている。桶で作った小さな浴槽を湯船に浮かべ、僕の前をぷかぷかと行ったり来たり。
 きゃあきゃあとはしゃぐ可愛い三人の姿に、疲れもすっかり癒される。

「三人とも、明日もまた朝から忙しいよ~?」

 何を隠そう、明日は今回王都に来た一番の目的である王宮での料理教室が控えている。バージルさんやライアンくんがいるけど、王妃様やお兄さん二人と会うのは初めて。
 それに、お城で働く料理人さんも僕より遥かに経験豊富な人達ばかりだ。それなのに、僕みたいなほとんど素人の人間が凄い人達の前で教えるだなんて、正直不安しかないんだけど……。
 ハァ~……、優しい人達だったらいいなぁ~……。

《 おむかえ、くるんだよね? 》
「うん。でも、サンプソン達も皆で一緒に行くからね」
《 うぇんでぃにあえるね~! 》
「この間は少ししか会えなかったもんね?」
《 うん! だからたのしみ! 》
《 《 《 ね~! 》 》 》

 明日はウェンディちゃんにも贈り物があるからと、三人は会うのをとても楽しみにしている。もちろん、ニコラちゃんとリリアーナちゃんの二人もだ。

 それに、明日はやっとレティちゃんの大切な人達にも会える。
 奴隷として捕まっていても、レティちゃんの事を守ろうとしてくれていた同じ魔族の人達。もしかしたら村に戻って、“オリーブの樹”で一緒に働いてくれるかもしれないのか……。
 魔族と言っても、僕はまだレティちゃんとキースさんしか会った事がない。
 一体、どんな人達なんだろう……?

「ハァ~……。なんかドキドキしてきた……」
《 ゆいと、きんちょうしてるの~? 》
《 だいじょうぶだよ~! 》
《 ゆいとのごはん、おいしいもん! 》
《 《 《 ね~! 》 》 》

 ノア達はお湯をパシャパシャと撥ねさせながら、楽しそうに僕を見つめている。どうやら緊張を和らげようとしてくれているみたい。

「ふふ、ありがと! 明日も頑張るよ!」
《 《 《 がんばって~! 》 》 》
 
 可愛い三人の応援に、自然と笑みを浮かべてしまう。

「さ、のぼせない様に上がろうね~」
《 《 《 は~い 》 》 》

 羽が濡れて飛べない三人を抱え浴室を出る。後はもう寝るだけだ。
 明日は正直、上手く出来るか緊張と不安でいっぱいだけど、それと同時に楽しみでもある。仲良くなれたら、お城の料理も教えてもらえたりするかな?

 そんな事を考えながら、明日は寝坊しません様にと祈りつつ僕は眠りについた。

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