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11.二人で始める家探し①
しおりを挟む「ふっ……! ふっ……!」
ブン、ブンと。
朝日が登りレアルが目を覚ませば、目の前には剣を振るう美少女がいた。
「あ、おはようレアル。これ、今日そこの小川で取ってきたお魚。塩もなかったから味付けは微妙かもしれないけど、何も無いよりはマシかも」
飄々と言うのはリリシアだ。
汗でうなじに貼り付いた紅のポニーテールを振り払いながら、レアルに魚の串焼きを手渡した。
きょとんとした様子でレアルはリリシアを見上げる。
「あ、ありがとう、リリシア」
「取った魚に魔素がなさそうなのは私も食べたから確認済み。安心して」
再び剣を持ってリリシアは素振りを重ねていく。
ふわりと揺れるポニーテールに、剣を振れば垂れる汗。
朝日に反射しながら剣を磨くその少女の姿は、レアルにとって最高に勇気づけられる存在だった。
もぐもぐと焼き魚を咀嚼しながらレアルは聞いた。
「いつもこんなに早いの?」
「えぇ。それに今は特に腕を鈍らせる訳にもいかないわ。コカトリスほどの魔物がひょっこり出てくるようなこんな地帯で、いつSランクレベルの魔物が出てきてもおかしくないもの」
「それを考えると、夜はやっぱり危険になるよね……」
少し考え込むレアルに、リリシアは変わらぬ表情で告げる。
「炎魔法で作り上げた松明があるわ。灯しておけば、そう簡単には寄って来ない。安心して私たちのペースで進みましょ」
「……そうだね」
そう言いつつ、レアルは急いで焼き魚を口に入れた。
全てを飲み込んだレアルはごくりと生唾を飲み込んだ。
「生きようね、二人で」
リリシアの瞳の下に小さなくまがあるのを、レアルは見逃せはしなかった。
「……な、何よ突然、それ、それって、ぷ、プロ――!?」
突然声を掛けられたリリシアが顔を真っ赤にする。
汗で滑って、思わず剣を放り投げてしまうほどに。
剣はぼちょんと、大きな音を立てて底の浅い小川の中に沈んでいった。
「リリシアばかりに負担を強いるわけにもいかない。はやく、ぼくも……!」
万物を召喚する召喚能力。
まずは最初に綺麗な水を手に入れた。
食糧も、現状リリシアが何とかしてくれている。
次は――。
レアルは森の奥をじっと見つめていく。
「ぼく達二人がここに住める家を探そう」
「……ここに? 家??」
小川の中から滑り落ちた剣を回収しながら、リリシアは頭の上に大きなはてなを浮かべたのだった。
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